アメリカ合衆国憲法修正第22条
第1節
何人も、2回を超えて大統領の職に選出されてはならない。他の者が大統領として選出された場合、その任期内に2年以上にわたって大統領の職にあった者または大統領の職務を行った者は、何人であれ1回を超えて大統領の職に選任されてはならない。ただし、本条の規定は、本条が連邦議会によって発議された時に大統領の職にある者に対しては適用されない。また、本条の規定は、それが効力を生ずる時に任期中の大統領の職にある者またはその大統領の職務を行う者が、その任期の残余期間中大統領の職にあり、または大統領の職務を行うことを妨げるものではない。
第2節
本条は、連邦議会がこれを各州に提出した日から7年以内に、全州の4分の3の議会によって憲法の修正として承認されない場合は、その効力を生じない。
このように、アメリカ大統領の3期目は
日本国:東京都 首相官邸
「……なんて事だ……」
官邸の執務室で時の総理大臣は頭を抱えていた。
スキャンダル?いや、そんな事態ではない。彼はさらに重要な事で頭を抱えていた。寧ろ彼はそれまでの総理に比べたら断然国民から支持されていた。
《国民の安全無くして国は無し!》をスローガンに掲げて選挙に挑むと、移民問題や左派の的外れな言動や媚中派に飽き飽きしていた国民は彼を支持、野党がいくら徒党を組もうが左寄りな連中がネガティブキャンペーンをぶち撒けようが国民には通じず、圧倒的な支持のもと彼は総理大臣になった。
就任後はお隣の大国を除いて各国から祝辞を受け、関係も良好的である事をアピールした。
税金の引き下げや移民問題に対する明確な方針を打ち立て、さぁこれから!……という矢先、《アメリカ合衆国の崩壊》という信じがたいニュースが舞い込んで来た。
確かにこの時点での大統領は決して悪い人物では無かったが、余りにも権威主義的だった為、アメリカ国民からの受けは決して良いとは言えなかった。
中南米の独裁者の逮捕や中東への軍事介入などである程度の信頼は取り戻したかに見えたが、ここに来て『FBIの解体』や『移民への報復として行った自国領内での空爆』は国民と各州の逆鱗に触れ、瞬く間にアメリカは分裂した。ミシシッピ川を境に東西で分裂し内戦状態へと陥った。
世界の意図に反して突如として【世界の警察】が消滅した事により各国は動揺を隠しきれなかった。
アメリカと背中を合わせていた欧州各国は急遽会合を開きEUを再編、中東諸国は直前までアメリカが過激派を一掃し民主政権が確立していた事もあり、直様欧州とは協力関係を築いた。
一方、旧東側諸国と呼ばれる国々は表向き何の反応も示さなかったが裏ではその野心を果たそうと動きを見せていた。
ロシアはウクライナへの侵攻で兵力をここ数年で大幅に消耗した事もあり、未だ消極的だった。
ただ中国は違った。
彼の国は「これで我々は再び台湾統一を果たす準備ができるようになった」と開き直る。ただ先述した内容もある通り世界的な脱中国が進んでおり、中国国内も経済が揺れに揺れている為瓦解一方手前であった。
しかし油断はできない。
兵器の品質もイマイチとはいえ、頭数だけは立派な中国。
アメリカが崩壊し、大きな後ろ盾を失った日本と台湾と韓国。
多少の政治的、領土的な問題があるとしてもそれはこの事態を前にしては蝸角之争。
三カ国の首脳部は直ちに会談を開き、来るべき中国の侵攻に備える事にした。
ある程度の問題は解決したが、日本と韓国が特に困った内容があった。
それが【在日米軍】【在韓米軍】の扱いであった。
崩壊の事実が確実となるや否や、両国は直様国内にある米軍基地を包囲した。
何せ場合によっては暴徒と化す可能性も無いとは言い切れない為、仕方なく包囲した。
無論海軍も艦艇へ乗り込みや出航を禁じ、横須賀湾は直ちに海自護衛艦が封鎖、寄港していたニミッツ級原子力空母『ジョージ・ワシントン』も直ちに抑えられた。
「……ともかく…動かねば…」
国民の命を預かる以上、やる事をやらねばと決めた彼はその重い腰を上げて閣議室へと足を運んだ。
その日の閣議決定では『南シナ海のシーレーン防衛強化』『東南アジア諸国との連携強化』
「……では当面はこの方向を強めていく事でいいな?」
閣僚一同は何も言わずに頷いた。
ただその目には緊張の色が見られ、全員とも日本を守らんとする意思が感じられた。
「……総理…お待ちを」
突然防衛大臣が何事かの電話を受けてそれの応答をしていた。
途中何処か動揺したような表情を浮かべたり、反応を示した後電話を切った。
「防衛大臣、何かあったのですか?」
特命大臣の問いかけに対して彼はどう答えて良いのか分からず顎に手を当てて視線を泳がせていた。
「何かあったのか?どんな情報でも良い、端的に話してくれないか?」
「………分かりました」
総理の一言に気持ちを整理した彼は深く深呼吸をして、こう告げた。
「瀬戸内海に、太平洋戦争中の連合艦隊と思われる艦艇が出現したと呉地方総監部から報告がありました」
その一言に閣僚全員の思考が停止した。
瀬戸内海:柱島
通報を受けた呉基地所属の護衛艦部隊は目の前の光景に開いた口が塞がらなかった。
現代の艦艇ではあり得ない黒塗りの船体、ビルのように高く聳える艦橋、甲板に設置された巨大な二基の三連装砲、それを見て言わずにはいられなかった。
「大和だ………」
日本人に生まれたならば一度はその名を聞き、口にした事はあるであろう。
かつて大艦巨砲主義の頂点に達していながらその力を存分に発揮する事なく暗く冷たい海底へとその身を沈めた艦が、今目の前にある。
海自隊員らは思わず見入っていた。
一方で、また違った様子で状況を受け入れられていない人物もいた。
白い海軍服に身を包み、首から下げた双眼鏡を除いて上空を浮遊するSH-60Jや接近する護衛艦を見ている人物。肩や首に付けられた階級章は2本の黄色線に三つの白桜があしらわれていた。
「妙だな…MIに向けて出撃したはずなのに、何故内地に我々はいるのだ?」
双眼鏡を目から離しながら【海軍大将:山本五十六】は呟いた。