学園に星の数ほどいるアイドル全てにプロデューサーがついているわけではない。
これはそんな、人にアイドルとしてまだ認知されてすらいない私達星屑の物語だ。
「クソが…。」
アイドルが言葉にしてはいけないような言葉が夕日が差し暗くなり始めた部屋の中で一人響いた。そこまで大きな声ではないので隣の部屋には聞こえていない…はずだ。
また一人同期が辞めた。それも同部屋の同期が。私が通うのは初星学園。アイドル育成の難関校だ。当然、志望者の数は膨大。入るだけでも相当の努力が必要になる。
そんな学園に何かを夢見て来たはず筈なのに。そんな夢を話して学友と共に努力をしていた筈なのに、努力も人間関係も夢もそれらを全て捨てて学園を退学する彼女の心の内はもう私では考えられない。
…私は何も聞けなかった。いや、話すらしなかった。退学するかもしれないという噂を聞いてから私は彼女とできるだけ話さないようにした。話しても退学等の話は絶対に口に出さない。現実を正直に見たくなかった。…学園を去ろうとする彼女の姿はまるで明日の自分の姿のようで。
私ももう2年生になる。切り捨てるようだが、人の事ばかり言ってられる状況ではない。あと、2カ月もすれば新たな1年生が入ってくる。後輩ができる。悪く言えば学内でのライバルが増えるということだ。当然、焦りも出てくる。
「…ふー…。落ち着けよ。落ち着け私…。」
…一先ず現状の整理をしよう。私は平崎れいか、初星学園の1年生である。プロデューサー等はついていない。いわゆるセルフプロデュースアイドルだ。現在は3月下旬、夏、冬のHIFには未参加。参加資格を満たすことができなかったのだ。
現状の目標はHIFに出場するための試験、HIF選抜試験に出場するための前提条件である定期公演で1位評価を取り、HIF選抜試験への参加資格を得ること。
来年の夏のHIFに出場するためにとにかく自分を高めるしかない。今までは1年生だからと言い訳できたかもしれない。
だがこれから1年が入ってくる事でそんな薄っぺらい理由は千切れてなくなる。考えるだけで頭が痛い。
…もしも、自分よりレベルが高い1年が入ってきたら?
…いや、そんな事を考えても無駄か。どんな年にも他とは桁違いにレベルが違うイレギュラーというのがいるものだ。それこそ偉業となるHIFの2連覇を成し遂げた現在のプリマステラなどの特異点が。
一定数のライバル達が出てくると考えておいたほうがいい。物事とは常に想定よりも最悪をいくものだ。
一応、定期公演以外にも選抜試験に出場する道もあるにはある。それこそ校外の公演やイベントで実績を積み、その実績を担保に選抜試験に参加する道もあるが、プロデューサーのいないセルフプロデュースアイドルである自分にはほぼ不可能。
よって私は前者の選択になる。
初、HIF等の学内での催しはアイドルとしての人気で順位が決まるわけではない。
そのためプロデューサーのついていないような私のようなアイドルでも実力次第で下剋上がある。
得点による順位を競う要素があるためスポーツに近いと言えるだろう。ダンスやボーカル等の技術力や観客を魅了する世界観に表現力。それらを評価するという点ではフィギュアスケートなどの競技に近いのかもしれない。
今までの初での最高順位は4位。この順位ではどうしょうもない。アイドルとしてのパフォーマンス等の実力もメディア露出等も当然ないので知名度も皆無だ。足りない、必要な時に必要なものが何もかもが足りない。
「…は…っ」
苦しい。胸を抑えて少しでも気持ちを落ち着けようと深く呼吸を重ねる。
…将来の自分のことを考えると何も考えたくなくなる。今すぐどこか手の届くところにゴールを作ってそこに向かってしまいたかった。
しかし、その度に今までの日々を思い出す。入学の為に繰り返し対策勉強やレッスンをしたあの日々を。テレビで見たアイドルに憧れた遥か遠い昔の小さな己を。
私は定期公演初で1位を取る。そして…
そのためにはレッスンで自分を磨き続けるしかない。何も特筆したものがない一般アイドル見習いの自分にはそれしかないのだ。
迷いながらも、藻掻き苦しんでも。ただひたすら初に見た夢の星に憧れて。
思いつきで書いたので正直続きを全く考えてないです…。
というか、初めての投稿がこんな思いつきのポン書きでホントに良いのでしょうか…。