それは新たな強敵出現の前触れだった!
大洗女子学園と聖グロリアーナ女学院の練習試合。
アウトレットに敷設された大型スクリーンの前には試合経過を見守る二人の少女の姿があった。
彼女達は今年新設された戦車道チームの隊長と副隊長だ。
「副隊長、今の試合をどう思う?」
「フェイントを入れつつ一度攻撃を当てた箇所を狙った戦術は見事でしたが、それを見抜いたグロリアーナ側が一枚上手でしたね。それでもⅣ号でマチルダIIを三両撃破は驚異的な戦果です」
「げに恐ろしきは西住流。戦車道において使用出来る戦車は1945年以前の物。センサーの類はないから箱乗りによって周囲の状況をつぶさに把握出来るというのは戦闘において極めて有利となる。とはいえ、私にはそんな勇気はないな」
ルールによって直接人間を狙うのは禁止されているし、狙撃兵もいない。
実際の戦争で起きた事だが、生身を晒していると砲手にも躊躇いが生じるだろう。
それでも誤射の危険は付き纏うし、跳ねた岩などの破片でも怪我を追う可能性はある。
隊長が恐ろしいと感じたのはあの戦車長が無謀ではあるが無知ではない事だ。
これらのリスクを知った上で勝つ為に必要だから実行する。称賛に値する胆力だ。
「大洗、今年の全国大会に出てくるでしょうか?」
「出てくるだろう。だがそれも、我々の鮮烈デビューに花を添えるだけだ」
屹然と言い放ち、アウトレットを後にする。
「レギュレーション違反です」
「……やはり駄目かな?」
「駄目です」
「……」
「そんな縋るような目で見られても駄目です。カール自走臼砲はまだ辛うじて議論の余地がない事もない、かもしれませんけどクルップK5なんかどう使う気だったんですか?」
「……大きければ強いかな、と」
「…………申し込みの期限まで後僅かですが時間があります。ですのでちゃんとした戦車を……」
「いや、その……購入費や訓練費でもう予算がなくて……」
「……」
「……」
出場断念!
ぶっちゃけ出落ちですね。