アビドス高校に通う一年生。
キヴォトスに現れた唯一の男子生徒である。

これは、彼が味わった絶望の物語。


これは試作品となります。初めての曇らせです。
多分ですが、別の曇らせを作る予定はないです。

奥空アヤネをヒロインにしたいという気持ちから生まれたものです。
んど、本編書く前に試作品で別世界作っておこうと思った次第です。あくまで試作品なので、本編と内容が変わる可能性もあります。
見切り発車なのもあるので、ご了承ください。
このオリ主の本編【青春の物語】は、五話ぐらい作ったら投稿しようかなと思います。

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絶望のアビドス

暗く沈んだ空気だけが蔓延る病院。

その一つの病室の中に一人の男の子が座っていた。男の子の目の前には、女の子が一人。今も息をしているのを知らせるように、近くには生態情報モニターの音が一定のテンポを刻みながら鳴り続けている。

その女の子の周りには、何かの機会の管がたくさん付いており、彼女の状態をわかりやすく見せた。

 

少し前、いつも通り治安維持に奔走していた三人はオペレーターの少女のドローンと共に指名手配犯倒して、賞金をもらっていた。

その日、少女が一人帰宅している際にその子は攫われた。ヘルメット団の基地に乗り込みそいつらを一掃。だが、助けに行った時には、拷問でもされていたのか意識不明の状態で見つかった。それから約一月……彼女はずっとこの状態だった。命があるだけ、まだマシだった。

 

「………………」

 

彼はただ、隣にいるだけだった。

それだけしか、できなかった。毎日のようにお見舞いに行き、その日のことを話した。残った二人の先輩達と学校に通いつつバイトをしたり、不良を倒したりなど、あとは…………。

と、これといった変わらない毎日を面白おかしくしてできるだけ笑って話す。バイトの時間が迫ると、少年は「また来るね」と昏睡状態の少女に背を向けて病院を後にする。

 

バイト先は行きつけのラーメン屋。いなくなった同級生が紹介してくれたバイト。そこの大将はとても良い人で、自分だって苦しいはずなのに、大将は少年に色を付けて多く渡してくれた。一緒に戦ってくれる先輩もまた、彼に気を遣い早く下校させてくれる。

みんなの温かみが、温もりが、少女が、彼の救いだった。少年は、今も昔も、この学校に来て良かったと心からそう思った。

これ以上、酷いことにはならないと希望を抱きながら歩く。

 

 

――しかし、その期待は最悪な形で裏切られた。

 

 

その日は、久しぶりに先輩達と一緒にその子のお見舞いに行った。

先輩にも、久しぶりに顔を合わして欲しかった……そんな思いで連れてきた。

病室に入る。前と変わらず、ベッドの上で横たわる彼女が見える。

 

「来たよ……みんなで」

 

彼女に近づく。だが、近づいて彼は気付いた。なんと、少女の目は開いていた。本当に、ついさっき目覚めたのだろう。開いた目は細く焦点があっていなかった。

 

「あやね……?」

 

「……………………ぁ」

 

少年は、全力の笑顔を作る。本当に、起きてくれた事が嬉しくて、大粒の涙をただひたすらに流す。

その子は、とても頭が良かった。こんなバカな自分に、いろいろな事を丁寧に教えてくれる子だった。同い年の子に、かっこ悪いとこばっかり見せてた気がするな。

だからこそ、なのだろう……少女は察したのだ。少女の手が伸び、彼女を繋ぎ止める機械、生命維持装置を掴む。

 

「…………えっ?」

 

自分の存在が、みんなに負担を掛けているのだと……それに気が付いてしまった。そんなこと、賢い彼女なら気付くことくらいわかっていたのに。

 

「ごめ、んなさい…………マサル、先輩」

 

「あやね……?アヤネ!!!」

「そんな!…アヤネちゃん!!」

「……ん!!?」

 

少女が、少年の手に手を添える。

苦しそうに、必死な顔で笑みを作って――。

 

「――――――――――――。」

 

最後に少女が告げた言葉は、一言一句頭には残らなかった。全くもって、入ってこなかった。いや、本当はちゃんと聞こえた。だから、俺はそれに頷いた。そんな、できもしない事を、頷いてしまった。

次に音がしたのは、彼女の命を知らせる機械の心の無い、鳴り止まない音だった。

 

 

――そうして、少年は絶望した。

 

 

翌日。いつも明るく元気だったもう一人の先輩が急に姿を消した。先輩が探してくれたらしいけど……帰ってきたのは銀髪の先輩ただ一人だけだった。畳み掛けるように、状況だけが悪化していく。水漏れしたダムの穴が、急激に亀裂を起こして決壊するように、波となって押し寄せたのだ。

 

少年は無力だった。何もできなかった。なにも知らなかった。何も知れなかった。なにも、成せなかった。何も、してあげられなかった。いや、そもそも――

――何も、する気が起きなかった。

 

もはや、二人だけになった部室。

少年は項垂れて、ただ委員会室で一人座る。

 

「……それじゃあ、行ってくるね」

 

先輩は、一声かけて学校を出た。行方不明の仲間を探しに……。でも、もう……きっと、あの人もいないのだろう。先輩も余裕が無くて……慰める事もない。

 

「戻りたい。戻りたいよ……あの頃に」

 

一番上の先輩が会議中なのにいつも寝てて、猫耳の同級生がその先輩を叱りながら自分は怪しい商売に引っかかってて、それを生暖かい目でみんなが見てる。プラチナブロンドの明るい先輩が朗らかに後輩をからかい、アイドルを提案して先輩達に断られたり、銀髪の先輩は銀行を襲う計画を立てて、その光景に眼鏡をかけた同級生が机をひっくり返して憤る。そして少年は、それを宥める。その近くで先生が、それを見て笑う。

この幸せに……戻りたい。

でも、もう戻らない。

 

先生は爆発事故により重症、意識不明。

一番上の先輩のヘイローは砕けた。

猫耳の同級生は飛び出して行方不明に。

元気で明るい先輩は急に去っていって。

一番いなくなってほしくなかった少女も、自らに命を絶った。

 

「……あぁ、そうか」

 

なんで、今気づいたんだろう。

 

「好きだったんだ俺って」

 

今になって気づいた恋心。そうか、俺は好きだったんだ。どうしようもなく、土井マサトは、奥空アヤネの事を愛していたのだと。

乾いた笑いが、溢れる。自分を嘲るように、笑う。それと同時に、遅過ぎた自分に呆れた。

 

――もうなにもかもがどうでもいい。

 

少年は一人動いた。だが、その目は酷く濁っていて、死んでいた。

そして、たった一人。砂漠を歩き出した。

先輩はきっと、心配しているだろう。他の仲間みたいに、一人で行動した自分を、あの先輩は必ず探すだろう。学校に自分の学生証を置いてるから、きっとすぐ気付く。

これは、ケジメだ。今から自分がする行為は、立派な犯罪だ。それをする自分に、あそこに残る資格はない。

 

見つかりたくないな……と、少年は心の中で呟く。

 

対物ライフルとあの子のハンドガンをホルスターから抜いて確認して、元のとこにしまう。恨むべき因縁の紋章を携えたその建物に、単身で前に立つ。

大量のオートマタが鎮座し、少年に銃口が集まる。

敵は……借金をしていた相手だ。

 

「――――せ……だ」

 

「……ぜんぶ」

 

「――――のせいだ」

 

「――お前らのせいで!アイツは!!!!」

 

――許せない――

 

許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許せない許してはならない許してはダメだ許す価値はない許すな許していいわけがない許してなんになる生きる価値もない

 

「ぜんぶ――ぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶぜんぶゼンブゼンブゼンブゼンブ全部!!」

 

テメェらも……そして自分自身も。

 

「――正義の名の下に!!その魂を持って!!――――ここで」

 

――――――死ね。

 

瞬間。目の前の敵の脳天に、風穴が空いた。

 

「………………はっ」

 

突然の現象に、少年は呆然とする。

すると、背後から聞き覚えのある声が響いた。それは今朝、少年を残して出かけていった、少女だった。

 

「……あ」

 

「……せん、ぱい……?」

 

「………そこに、いたんだね」

 

振り返ると、そこには自分の知る先輩はいなかった。目の前の銀髪の少女は、見慣れないドレスを着ていた。髪は腰まで伸び、身長も高くなっていた。どう見ても別人だが、後輩である少年にはすぐにその人が誰か理解した。

 

「ダメだよ。勝手にいなくなっちゃ……私、心配したんだから」

 

「……先輩。どうして、どうして……こんな」

 

二人の周囲には、先ほど倒したオートマタとは他に、普通の獣人の民間人やヘイローを宿していた少女が血を流して倒れていた。

少年には、なぜ先輩がこんなことをしたのか理解できなかった。でも、その言葉の続きを言おうとして詰まる。だって、自分もその一人だったのだから。

 

「それ、自分で言うんだね」

 

「っ…………」

 

「……ごめんね。私はもう、止まれないところまで来ちゃったから。だから――」

「――ごめんね」

 

そこで、彼の意識は完全に途絶えたのだった。

 

□□□

 

少年は、思い出す。

 

「マサト……、お願いが、あります」

 

「どうか…………」

 

「どうか、せんぱいたちのことを、よろしくおねがい、します」

 

あー。そうだ、そうだな、そうだった。

ド忘れしてたと思ったけど。違うんだ。

それを、思い出したくなかったのか。

心のどこかで、まだ信じたかったんだ。

生きてるかもしれないって。

現実を見たはずなのに……諦めが悪いな。

 

少年の意識は、絶えたはずだった。それでもまだ、少年は生きていた。

 

「どうして?………なんで??」

 

先輩の酷く驚いたような声が聞こえる。そこには、足音が二つ。

音がする方向を見て、一瞬、シロコは後ずさった。

だって、そこには……。

 

「……せん、せい。に、ア――――」

 

立っているはずの無い者がいたんだから。

 

――お前に許されたのは、その終わりへと導く事のみ――

 

――殺せ。その男を殺すのだ――

 

瞬間。銃声が響く。ガラスが割れるような音が響いた。

先生の持つタブレットは割れ、画面が暗転。それは、先生を守って来た最強の武器であり盾。先生を守る物は、もう亡くなった。

 

「シロ、コせんぱい……。やめて、ください」

 

「……ごめん。それは無理かも」

 

「先生……さようなら」

 

“…………シロコ”

 

その後に残ったのは、反響する銃声だった。




名前:土井マサト

学校:アビドス高等学校一年生

所属:アビドス対策委員会 役員

身長:160㎝

趣味:漫画

性別:男子

誕生日:不明

年齢:15歳

記憶喪失でやってきた少年。対物ライフルを手に持ち、謎のヘルメット集団に攻撃されながら砂漠を彷徨っていたが、なんとか街に辿り着いたはいいもののそこで力尽き倒れた。
丁度登校途中だった二人の女の子達により一命を取り留めると、アビドス高校に来て入学する。所属学園もなかったし、身寄りも行き場もなかったのですぐ了承した。

「性格」
礼儀正しくまっすぐだが常識が足りないので何が正しくて誤っているかわかっていない。デリカシーも足りない為男女の良識も通じない。
先生から漫画というものをもらって感性を磨く。それでわかった事だが、感情移入がしやすく涙脆いようだ。わからない言葉があると、アヤネに聞くかスマホで調べる。自分のために飲み物を分けてくれたアヤネにはとても懐いている。
漫画などの影響により、ヒーローものが好きになり、正義に燃え始める。足が速い。体力があるように見えるが夢中で走るとブレーキが効かない。飲み込みは早いが、ド忘れする事もある。

「特徴」
黒髪黒目だが、瞳孔は少し青みがかっている。
髪はセミロングぐらいで、後ろに髪を結んでいたが入学と同時にバッサリ切りショートになる。
童顔寄りだが、目を細めた時の印象はキリッとしていて少しクールだ。使用する対物ライフルの銃砲にはダチョウの羽模様があしらわれた赤のスカーフが巻き付けられている。

武器:SR(バレットM82)
 対戦車用対物ライフル。防弾の先端近くには、ダチョウの羽の模様があしらわれた赤のスカーフが巻いてある。セミオート式の銃で発射から次弾装填が速い。
力持ちなので、対物ライフルも軽々と扱う。組み立てるのがめんどくさいと思っているためケースなどはあってもあまり使ってない。流石に手入れはしている。

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