それと、かぐやが月に帰った直後の時系列です。
さらに曇らせ注意です。
「あれ……こんなに広かったっけ……?」
泣きつかれて、目が覚めて、ふとよぎる。考えれば当たり前の話。住人が1人減ってしまったんだ。2引く1は1。そんなの小学生でもわかる。
「でもなんかこう言うのって声に出ちゃうんだよね……」
今まで騒がしかったお姫様はもう居ない。呼べばヒョコッと出てきそうな気がするが、部屋をもう何周も見回した。帰ってしまった。その事実だけが、ある。
辛くなってしゃがみ込む。熱が出たときは、しゃがんだら心配してくれた事を思い出し、また悲しくなる。
「このままで居たら、また来てくれないかなぁ……」
どうにか立ち上がり、思い出ばかりの部屋を見渡す。どこに居ても、心が痛い。
「……ハッピーエンドじゃないじゃん……ばか」
私のわがままだ。かぐやは楽しんでた。そんなことはわかっていても言葉は抑えられない。栓をしても止まる気配はない。彼女の着けていた腕輪を包むように抱き、ベランダに立つ。
鬱陶しいほどの満月が煌々とそこにあった。綺麗なまん丸だったからか彼女の好きな物がよぎってしまう。
「……パンケーキ、もっと、作って、あげれば、よかったなぁ……」
涙は止まることを知らない。何が優等生だ。大切な友達すら守れないで。無力な私でごめんなさい。
「なんだっけな……『月が、綺麗ですね?』そんな訳、無いじゃん」
今はあの月が嫌になる。
……私が介入すれば変わったのだろうか。みんなが幸せに笑えるハッピーエンドに行けたのだろうか。
でも、それをしてしまうと、イロハが私と出会えずに死んでしまう可能性も出てくる。
「それは……いやだなぁ……」
それでも、ログアウトする瞬間の彼女の表情が忘れられない。星の光すらない、真っ黒な瞳。私が、引き裂いてしまったのだろうか。
その事実が、胸を刺す針のように、痛みを感じさせる。
「もう、感じる身体も、ないのになぁ」
涙が静かに頬を伝う。私が悲しませた。私のエゴで。こんなマッチポンプな涙は意味がない。そう分かっていても、止まらない。まるで止め方を忘れてしまったようだ。
「イロハぁ……ごめんなさい……何もできない私でごめんない……」
うずくまり、ポロポロと涙を落とす。それはポリゴンになり消えていく。私がここでしか存在できないことの証明のようで嫌になる。
「なんだっけ……『死んでもいいわ』だったかなぁ……」
そういう訳にはいかない。
貴方のためなら、生きていたいわ。