Another HOPE‼︎ 未来への咆哮   作:ガイグル

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悟飯の気付き

 

暗闇の中で、見覚えのある人影がゆっくりと遠ざかっていく。

 

(……待ってください……)

 

声を出そうとしても、喉がうまく動かない。

 

(俺には……!!

まだ……父さんが……必要なんだ……!!)

 

必死に手を伸ばす。

 

だが、その手は虚しく空を掴むだけだった。

 

頼り甲斐のあるその背中は、何も言わず、ただ暗闇の奥へと消えていく。

 

(待ってくれ……父さん……!!)

 

――その瞬間。

 

悟飯は、はっと目を覚ました。

 

「……っ!」

 

荒い息を吐きながら体を起こそうとする。

 

だが、全身に鈍い痛みが走った。

 

「ぐっ……!」

 

視界がまだぼやけている。

 

ゆっくりと周囲を見回すと、そこは見慣れた部屋だった。

 

白い天井。

整然と並んだ機械。

かすかに聞こえる電子音。

 

ここは――

 

カプセルコーポレーション。

 

「……そうか……」

 

ぼんやりしていた記憶が、少しずつ戻ってくる。

 

瓦礫だらけの街。

人造人間との戦い。

 

そして――

 

強烈な閃光。

 

思わず歯を食いしばる。

 

「トランクス……」

 

小さく名前を呟いた、その時だった。

 

「悟飯さん!?」

 

扉が勢いよく開く。

 

そこに立っていたのは――

 

トランクスだった。

 

「起きたんですね!?悟飯さん!!」

 

その声からは強い安堵が感じられる。

 

「あ、ああ、トランクス。俺はどのくらい寝ていた?」

 

「え、えっと…12時間くらいです…」

 

トランクスは少し戸惑いながら答える。

 

「…そうか」

 

俺は小さく息を吐く。身体中が鈍く痛む。

まだ頭も少しぼんやりしている。

 

だが、少しずつ記憶は戻ってきていた。

 

「ご、悟飯さん……腕が…」

 

震える声だった。

その言葉でようやく俺も視線を落とす。

本来だったらあるはずの左腕。

 

そこには、包帯の巻かれた肩だけが残っていた。

 

「……」

 

少しだけ、妙な感覚があった。

 

痛みよりも先に来る、違和感。

身体の一部が、急に軽くなったような。

 

だが、それもほんの一瞬だった。

 

「大丈夫さ」

 

俺は軽く笑う。

 

「トランクスだっているだろ?」

 

トランクスの目が揺れる。

 

「で、でも……!俺のせいで……!」

 

「違う」

 

俺は首を振った。

 

「守れたんだ」

 

「え……?」

 

「君をな」

 

トランクスは言葉を失う。

 

俺はもう一度、肩の方へ視線を落とした。

 

実のところ、左腕は完全に失われていた。

 

けれど、不思議と後悔はない。

 

そして少し、あの時のことを俺は思い出した。

 

崩れて行く街。逃げ惑う人々。

 

そして___

18号の放った強烈な閃光。

 

回想

 

『トランクス!!』

 

18号が掌をトランクスに向けた時に俺は痛む体を突き動かし、トランクスの間に立つ。

 

『悟飯さん!?』

 

『大丈夫か……トランクス……』

 

声をかけたところまでは覚えている。

トランクスを守れた安堵によるものか。それともこれまでの戦闘の疲労か。

 

そのまま俺は、意識を闇へと落とした。

 

回想終了

 

「…街は?」

 

俺がそうトランクスに聞くと、トランクスが少し言い淀んだ。

 

「…住民はなんとか逃がせました……でも、いくつかの区画は…もう」

 

その先は言葉にならなかった。

 

医療室の中に、静かな沈黙が落ちる。

 

俺はしばらく窓の外を見ていた。

 

遠くの空には、まだ黒煙が上がっている。

 

……また守れなかった人たちがいる。

 

拳を握る。

 

だが、ふと気付く。

 

さっきから、呼吸が少し荒い。

 

胸の奥で、まだ何かがざわついている。

 

戦っていた時の感覚が、完全には消えていない。

 

あの時――

人造人間18号と戦っていた時。

 

怒りに任せて、ただ力をぶつけていた。

 

……結果は、この通りだ。

 

俺は自分の右手を見つめた。

 

「悟飯さん……?」

 

後ろで

トランクスが不安そうに声をかける。

 

俺は小さく息を吐いた。

 

「……トランクス」

 

「はい」

 

「俺、戦い方を間違えてたかもしれない」

 

トランクスが驚いた顔をする。

 

「え……?」

 

俺は静かに言った。

 

「怒りに任せて戦っても……あいつらには届かない」

 

あの時の自分を思い出す。

 

超サイヤ人に変身した状態。

力は強いが、極度の興奮状態に入り、あまり冷静ではいられなくなる。

 

「……あいつらは、遊び半分で戦ってる」

 

俺は呟く。

 

「なのに俺は、毎回全力で頭に血が上ってる」

 

トランクスは黙って聞いている。

 

「それじゃ……勝てない」

 

医療室の静かな空気の中で、その言葉だけが落ちた。

 

俺は窓の外を見上げる。

 

「超サイヤ人のままだと……どうしても気が荒くなる」

 

そして小さく呟いた。

 

「……どうすればいい」

 

しばらく沈黙が続く。

 

俺はもう一度、拳を握った。

 

「……もっと、落ち着いて戦えないと」

 

超サイヤ人の力を使いながら。

 

それでも――

 

冷静でいられる方法。

 

「……何か、やり方があるはずなんだ」

 

そう呟いたところで、言葉が止まった。

 

まだ答えは見つかっていない。

 

だが――

 

きっとある。

 

俺はそう思った。

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