ある日の遠征支援委員会室。
一族のいつもの集まりで、ゴールドシップがこんなことを言い出した。
「よっしゃー!今日は全てが白になる日、ホワイトデー!トレーナーからもらったプレゼントを晒して、一番の恋愛巧者ウマ娘を決めようぜ!」
「その勝負、私も乗った。もらったのはこれだ。」
そういってナカヤマフェスタが見せたのが、いつもくわえている棒つきキャンディの詰め合わせ。
ホワイトデーにキャンディを送る場合『あなたのことが好き』と言う意味がある。
「高級バームクーヘンからうまい棒まで集めてロシアンプレゼントをしたんだが、いつものだったな。」
「つまんねーの。次はアタシだな!トレーナーがアタシの誘いを断ってコソコソしやがってたからさ、あとをつけるとかわいいリボンのお菓子買ってたから隙を見てかっぱらってやったぜ!」
ゴールドシップが見せたのは金平糖詰め合わせ。
金平糖の意味は『あなたのことが好き』
何やらメッセージカードが添えられている。
『Gへ
一緒にいて退屈しないウマ娘は初めてだよ。これからもお手柔らかに頼みたいけど、できない相談だったな。
Tより』
カードを読んで激昂するゴールドシップ。
「んだコラー!Gってジェンティルか?帰って、簀巻きにして問い詰めねーと!」
『お前だよ』とここにいる誰もが内心突っ込みを入れる。
「次は本官でありますな。もらったのはこれであります。」
見せたのはキャラメル詰め合わせ。
「ボスからトレーニングに熱心だと褒められまして。これをいただいたであります。」
キャラメルの意味は『一緒にいると安心できる』
淡々と語るフェノーメノに絡むゴールドシップ。
「まめちんのくせに生意気だぞ!」
「羨ましかったらプレゼントをもらえるよう頑張るでありますよ。」
「次は余だな、献上されたのはこれだ。」
見せたのは高級洋菓子店のマカロン。
マカロンの意味は『あなたは特別な人』
(杖から愛を告白されて抱擁と接吻を下賜してやったが、ここでは言わぬ方が良かろう)
空気を読んだオルフェーヴルは内心そう振り返る。
「それでは、私はこれを。」
ドリームジャーニーが見せたのはバームクーヘン。
バームクーヘンの意味は『幸せがずっと続きますように』
(トレーナーさんを讃える歌を歌うとお返しに婚約指輪をいただきましたが、皆には内緒にしておいたほうがよろしいでしょう)
ドリームジャーニーも妹と同じく空気を読んだ。
そこで遠征支援委員会室の扉がガラリと開かれる。
「ようお前たち、今日も楽しそうだな。」
遅れてやってきたのはステイゴールド、一族の長である。
「あんたなら何をもらってても驚かない。」
「なあ親父、ホワイトデーに何もらった?」
「本官はキャラメルをいただいたでありますよ。」
「余も知りたい、疾く見せよ。」
「いや、食べ物はもらってないぞ?」
そう言ってステイゴールドは首を傾げる。
その胸元からかすかに見える、小さな赤い印。
「アネゴ、その印は…。」
ドリームジャーニーだけはステイゴールドの胸元に気がつき、そう問いただした。
「ああ、これか。…そうだなあ、もらったのはあいつ、かな?」
そこにステイゴールドのスマホに電話がかかってくる。
「もしもし、私だ。今から飯か?わかった。」
電話を切ってから、ステイゴールドは皆にこう言った。
「あいつから飯に誘われたから行ってくる。じゃあな」
飄々と去っていくステイゴールド。
しばらく五人は呆然としていたが、ゴールドシップとナカヤマフェスタが猛然とステイゴールドを追撃し始めた。
「ナカヤマ!親父をとっ捕まえてあらいざらい吐かせるぞ!」
「一人なら逃げられそうだが、ゴルシと挟み撃ちにすれば…!」
ぽつりとフェノーメノに尋ねるドリームジャーニー。
「メノさん、アネゴは取り締まらないのですか?」
「ステゴさんは成人済みですので、学園外のことなら本官が指導する範疇にないのであります。それでは本官も失礼致します。」
去っていくフェノーメノ。
姉妹はしばらく無言だったが、ドリームジャーニーが口火を切った。
「オル、私は次の休暇に外泊届を出すよ。」
「奇遇だな姉上、余もそうするつもりであった。」
「私は湾岸沿いのホテルを使うつもりだよ、オルはどうする?」
「親戚の別荘を借りる。」
「お互いに、健闘を祈っているよ。」
一族のホワイトデーを書きたかった