俺の平穏は果たしてどこにあるのだろうか? 作:只今更新凍結中
後輩を保健室へと運び、さて帰る……というわけにいかず……
アルシアはそれなりに早く意識を取り戻し、結果俺はグランドに引き摺られていった。
え?抵抗しないのかって?出来るわけないだろ……容姿もあるのだろうが……袖をほんの少し掴み、潤んだ上目遣いで「来て……くれないんですか?」と頼まれてみろ。
本人は自覚なしのようだが大概の男なら墜ちるぞ?あんな小動物のような行動されれば俺も流石に振りほどけない。
と言う事で結果部活に参加させられ、後輩の面倒を見ることになったり(正式な部員が見ろよと思うが)挙句にはあまり来てなかったということで鍵の返却までさせられるとは……
「……流石に先輩もいないよな」
鍵を返却した後、俺はそう考えた。時間的にもそうだが、そう言えば依頼の作品を作っているはずだからいるわけがないか。
そう考えながら廊下を歩いていると何やら歌声が聞こえてきた。
それは遠いがはっきりと、まるで耳に、体に、脳に浸透するような涼やかな響き。
音に導かれるように、俺は音楽室の前に立っていた。
「……ここか……」
俺は扉の前に立ち、考える。ここまで来た理由はほかでもない。
もう夜8時で下校時間を超えていると歌っている人に言うためだ。
え?歌に導かれたというか、誘われたんじゃないのかって?
そりゃすごくいい歌声だと思うぞ?だが……実際何度か放課後
俺は扉をそっと開くとそこには窓を開き、外を眺めながら口ずさむように生徒がいた。
リボンからして先輩。女性としても結構小柄で150あるだろうか?
薄い水色とも言える髪を風に靡かせる姿は幻想的とも言える。
心当たりはあった。確か先輩に【天使の歌声】とまで言われる声を持つ生徒がいると。
しかしその人は詩音から全く歌わないとも聞いていた。
偶然にも俺がちょくちょく聞いていたのはそのレアな状況だったようだ。
名前は……そこまで興味がなかったので覚えていない。
しかし、人前で歌わないということは何かしらの理由があるんだろう。特に聞かれないようにしてるあたりがそれだ。そう考えると声をかけるのは忍びないというかなんというか……
しかし下校時間を遥かに過ぎているのも事実。
俺はドアを閉じ、ノックする。すると中からビクッと驚きの気配を感じ、
「そろそろ下校したほうがいい。ここの門は8時半にロックされるから、出れなくなるぞ?」
それだけを聞こえるように言うと足早に階段に向かった。
これでいいはず。きっとこれで誰が聞いたかもわからないだろうし、分かっても男子である、の一点だけ。
俺は急ぎ足で寮に帰る。晩は何を食べるか……と考えながらドアを開けると、ベッドでマンガを読む詩音。
とりあえず不法侵入ということで説教しながら思う。
やっぱなにかしらと疲れた……