一般採用整備員の日常~欧州支部第13開発ドック機密アーカイブ~   作:わたぬき※

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第5.5話:第13開発ドック 人事考査報告書及び運営記録

【機密】第13開発ドック 人事考査報告書(改竄済み)

作成者: 管理部職員 フランチェスカ・モレッティ

閲覧制限: レベル4(支部長承認必須)

 

■ 査定対象:少尉 ベアトリーチェ・デルソラーレ(開発設計主任)

公的評価: 技術力は認めるが、資材管理能力に致命的な欠陥あり。前任地での過剰な試作費計上により更生プログラム(当ドック配属)を執行中。

特記事項(内部ログ): 狂気的な設計思想の持ち主。既存の規格を「制限」と断じ、詳細不明品(M.S.G)の強引な組み込みを画策する、当ドック予算食いつぶしの元凶。

 

■ 査定対象:曹長 ゲラルト・ワーグナー(整備主任)

公的評価: 熟練工。上官への暴行歴があるため、前線から隔離。

特記事項(内部ログ): 現場の防波堤。新人の教育係。本人の「現場第一主義」がしばしば本部の意向と衝突するが、彼なしではドックの稼働は不可能。

 

■ 査定対象:一般採用整備員 A

公的評価: 同世代では平均的な能力の持ち主。教練課程終了時に実家に近い当開発ドックへの配属を希望し、決定。現在、実家から当ドックまで通勤中。

特記事項(内部ログ): [検閲済み(ホワイトアウト)]。平均的な新人。新兵教練課程にてエグザマクスの移動資格を取得済みであり、ハンガー内での改修機体の移動業務を一手に引き受けている。現在、整備主任(ゲラルド)による現場教育の途中段階である。

 

 

【内部資料】第13開発ドック 運営記録:地政学的特性

管轄: 欧州連合軍(EFA)セクター55

通称: 廃棄場(スクラップヤード) / 内部呼称:楽園(ヘブンズベース)

 

1. 軍内部における立ち位置と評価:

当ドックは、上層部から「維持コストに見合わない不要な最終ナンバリング」として扱われている。本部はここをバイロン軍の南進を食い止めるための「使い捨ての防波堤」と定義し、最低限の予算で放置している。この「廃棄場」という蔑称こそが、監視の目を逸らし、内部で独自の戦力拡充を行う「楽園」としての機能を維持するための最良の隠れ蓑となっている。

 

2. 地理的特性と「鉛色の雲」:

旧工業地帯の地下施設を利用。周辺は「鉛色の雲(重金属微粒子)」の停滞域であり、本部の偵察衛星から物理的に遮断されている。この電磁ノイズ環境が、非正規パーツの試験運用を秘匿する一助となっている。

 

3. 周辺勢力・拠点位置関係:

当ドックから西方の原生林一帯(アルゴンヌの森)に、バイロン軍の前哨基地が存在すると推測される。両地点の中間領域は、散発的な交戦が繰り返される主戦場鉄の墓場(アイアン・グレイブ)であり、この泥濘地が事実上の国境線として機能している。

 

 

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