私の知ってる超かぐや姫!がなんかおかしいんだけど質問ある? 作:天空ラスク
動画のリンク貼りは規約違反にならないはず……土ー器土器土器土器土器土器土器土器
どうしてこうなった、と君の瞳が言っている。
「や、ヤチ子、それオハジキじゃない。ハジキや……」
「間違ってないよ〜? だって君はここで
彼女は銃口を向けられて青ざめさせながらも冗談を言う気概を見せた。仮想空間とはいえ、銃口を向けられてのセリフとは思えない。意外と肝が据わってるのかな。
「ちょいちょいヤッチョさん。人に向かってドロップなんて怖い単語使っちゃいけません! ネトゲでトロールされてロートル扱いされても知らないよ〜?」
「DO YOU WANNA DIE?」
「あ、ヤチヨドクスト見てるんだ。ショートでよく流れてくるんだけど本腰入れて見よ〜と思うと時間かかっちゃってね〜。や、別につまらないとかじゃないんだけど。ちなみにそれどういう意図で言ったの?」
「垢BANしちゃ〜うぞ☆」
銃口を眉間に押し付け、グリグリとねじ込んだ。
「ひょわっ!? 一回それ置こう、ね! もっとツクヨミっぽい演出で出迎えてよ〜。その方が楽しいからさ、ね! 許してヒヤシンス!」
「返答には気をつけた方がいいんじゃないかにゃ〜?」
「そ・れ・に〜〜、ヤッチョのヘッショで
「え、ええと〜、ここから入れる保険ってありますか?」
「う〜む〜〜……、そこに無ければ無いですね♪」
「ウソダドンドコドーン!! ヴェェ……」
──リアクションはオーバーだけど、感情の演出の仕方がよく
打出の小槌とカメラを上に投げた勢いで真っ直ぐ上に伸び上がって、ドミノのように前に勢いよく倒れる。VRでも現実でも実際にやってみると、床に勢いよく近づいて行く瞬間が怖いはず。現実でやれば顔を叩きつけるそれをVRとはいえ、なんの躊躇いもなくやれるのは才能と言ってもいい。
「どぼじでごん゙に゙ゃ゙ごどずる゙の゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙ぉ゙!」
これが水面にうつ伏せで倒れたまま言ったセリフ。水上にとっちらかった白髪の隙間からゴボゴボと音を立ててあぶくが弾け飛んだ。叩くと音が出るおもちゃみたいな子だなぁ。
それはそれとして、その後頭部に銃口を当てる。彩葉に手を出した責任は取ってもらうよ。
このヤッチョ容赦せん!
「そんなに怖がらないで〜。この銃なんだけど、
またの名を対月人用弾丸とも言う。まぁ、ご親切に教えないけど。
「その辺の人に撃ったらスマコンが落ちるだけだけどね〜」
「んえ? あー、……なるほどんぬ」
そう言うと海琴はいそいそと起き上がり、その場で綺麗な正座を見せた。その顔には不敵な笑みが浮かんでいた。
──ありり? 思ってた反応じゃないね。
ラーメン屋の店主さん並の堂々とした腕組みに、どこか余裕のある目つき。まさか、効かないと思ってるのかな。
「抵抗しよ〜、とは思ってない感じ?」
「どーせいつかは捕まるのです。ならば、ここでヤチヨ魂を見せて散って見せましょう!」
そう言いながら歌舞伎役者になり切ってポーズを決めた。
どうやら抵抗して大事になるより早々に終わらせる事を選んだ様子。……ところで、ヤチヨ魂について教えていただけるかな。
「散っちゃダメだと思うな〜。なんかそーやって自分を粗末にするところ、ヤッチョは心配なのです」
「ワイトもそう思います!」
「わかるマーン! ──そいでは〜、最後に何か言い残す事はあ〜る〜か〜な〜〜?」
意識を三割ほど打出の小槌が持つカメラに向け、高速で流れるコメントに目を通す。
・ヤッチョさん勘違いしてるー(°▽°)
・本当に重要な事は言ってないからなwww
・今までが上手く行きすぎてただけだしな
・酒カスは生身なんだよなぁ……
・公式を騙る違法アカウントみたいなもんだしなバグヤチヨ
・捕まったら新しくアカウント作ろうや
・酒ロリのキャラクリセンスに期待
・てかそろそろ俺らもツクヨミ行きたい
・今同接だけでも1500人いるから普通に買ったら一億八千万円かかるな
・オワタ
・バカみたいな桁で草w
・草に単芝を生やすな。もぐぞ
・なにを!?
・ナニを
──ああ、なるほど。余裕の原因はこれだね。
月人でも人間でも、どちらにせよ動きが止まる事には変わりない。スマコンの制御権も既に握っているからログアウトも制限した。アカウントを作り直すにはログアウトして現実で設定する必要がある。
どっちだろうと、詰みに入ってる。
接続を切って向き直ると、ちょうど言いたい事がまとまったらしい。気持ちキリッとした青い目と目が合った。
最後に君は一体何を言うのかな。後悔、楽観、願望、激昂……、いや、君が私の真似をするんならそんな事言わないか。【月見ヤチヨ】は明るくてミステリアスなAIライバー、だからね。
「……ヤチヨ。彩葉を助けてくれて、ツクヨミを作ってくれて、彩葉に合わせてくれて、どうもありがと〜〜。それから──」
ドラマの場面が切り替わるように表情が変わった。どこかふにゃふにゃしてた雰囲気が雪華の如く柔らかく、儚い微笑を浮かべて。
「──彩葉の事、よろしくね」
「……え、」
その
『──いろPの事、よろしくな』
その
「あー言えた言えたー。私、これずっとヤチヨに言いたかったんだー。……ぃよし! 覚悟は決まった!
それなのに君は頭の後ろで気楽そうに手を組んで、もう未練は無いと両腕を天高く突き上げた。
──どうして。
「っ、……それはヤチヨじゃなくて、かぐやに言ってあげるべきだと思うの。でも君のお願いはヤッチョの胸に閉まっとくね。うんうん、そんな健気な君にはオプーナを買う権利を上げよう〜」
「へへっ、要らなーい」
瞳に一瞬浮かんだ彩が嘘のように、澄んだ丸い青空が二つ弧を描く。
──どうして、そんな顔ができる。
八千年の中で何度か見た事がある。あれは恋を諦めた目だ。焦がれて、欲しくて、堪らなくて、愛おしくて……それを、心の奥底に押し込めて何も無いとばかりに誤魔化す
分からない、君が考えている事が分からない。
震えそうな手を力づくで抑えて、眉間に照準を合わせる。
「ねぇ、君は……」
「なんだいなんだい?」
無意識に口が問を投げかけようとして、上手く言葉にできずに止まってしまう。
やけに重く感じる撃鉄を起こす。
「君は彩葉の事、好き?」
「──うん。大好き」
ふ、と優しく笑う君の顔が、寂しそうに見えた。
引き金に指をかける。
「君は……彩葉とずっと一緒に居る気は無いの?」
──あれ、どうしてこんな事聞いてるんだろう。
この子は輪廻の輪を崩す存在だ。だから、邪魔されないように閉じ込めておかなきゃいけないのに。
引き金が重い。あの戦争の日から随分経ってるのに、慣れるために何本も銃や戦車が登場するゲームも映画もアニメも漫画も見てきたのに、まだ、指が動かない。
「だって、彩葉にはもう、かぐやが居るから。家族同然のかぐやが居て、最愛のヤチヨが居る。だったら偽物が入る隙間なんてないよ。こんななりして言えた事じゃないけどね」
君はそれが当然とばかりに語る。
「かぐやになれる訳でもない。ヤチヨになれる訳でもない。彩葉の隣に居る資格も無い。何より、ダメダメな私じゃかぐやみたいに彩葉を助けられない。そんな自分が何よりも許せない」
その言葉と共に瞳に浮かんだ彩で理解した。
黒だ。自分自身に向けた強過ぎる嫌悪感が、瞳の青を塗り潰している。
──あぁ、君は、君自身が大嫌いなんだ。
「だから彩葉が幸せになる所を見るだけでも
「そっ、か。…………そっかぁ」
言葉が出てこない。八千年の経験も愛とか恋とかが関係してくるとまるで役に立たなくなる。人によって悩みは違うし相手によっても変わってくる。
でも、君はもう既にその恋を終わらせている。もうその恋心が叶わないと知っていながら離れられない、離れる事ができない。枯れゆく水場に残された魚のように、最期を迎えるその日までただそこで過ごすんだ。
──我ながら……ここにいる私じゃないけど、残酷な事してるなぁ。
君の気持ちに安易に理解を示してはダメだって事は分かった。でも、かぐやは、私は、彩葉に迷惑ばっかかけてたから。君の言う程彩葉はかぐやの事を大切には思ってない。
──私のとこの彩葉、私が月に帰った後どうなったかな。配信で稼いだふじゅ〜全部送ったから大学も行けたかな。卒業して、良い人に会って、結婚して、子供も産まれて……あ、ヤバい拒否反応出そう。心臓がキューって締め付けられちゃう。心臓無いけど。
「うっけたっまかっしこっまつっかまっつり〜! 君の処遇はよ〜っく考えとくね☆ 大丈夫、ヤッチョが何とかみんなに受け入れて貰えるようにするから!」
重くなった場の空気が耐えられなくて、わざとおちゃらけた。ただバグヤチヨを捕まえようとしただけなのにどうして失恋確定恋愛相談し始めちゃったんだ私は。
「にへへ、なんかこの雰囲気最終回みたいだよね」
「君はこの後お説教が待ってるから先にヤッチョのプラベルームで待ってて。そいでは神々のみんな〜、また後でねー。……うーん、ここでさらばーいは違うかな〜。よし、たまには違うセリフで締めてみよう! See You Next Time!」
「えっちょそれSEIKI──」
──その前に君を売った子と話さないとだけどね。
チュン、と安っぽい光線銃を思わせる電子音が一瞬、夜空の下で木霊する。人を殺す為の火薬はツクヨミにいらないからこれで正解。
抵抗は無い。発言もない。ただ、倒れる君の後頭部を受け止めた水面が、バシャリ、と大きな波紋を描いた。
それっきり、ピクリと動く事も無かった。
「…………はぁ、終わった」
「お疲れ様。……ヤチヨ、大丈夫?」
──全然大丈夫じゃない。
FUSHIの言葉に首を横に振り、思わず空いた手で目を覆ったまま空を仰いだ。ああ、起きた君になんと言えばいいんだろう。
この子は、少雛海琴は自分が情報生命体だと自覚していない。だから海琴の視聴者は海琴を人間だと思ってて、今頃スマコンが落ちたーなんて呟いてるだろう。だけど本人は長時間意識が飛んでたら嫌でも気がつく。自分が人間じゃない事に。
──でも、自分が何者か分からないなんて。そんな事、本当にある?
大きな違和感が浮かんでは消えていく。当たり前だ。面と向かって話したのは今日が初めてだから(前は追いかけてただけだし)。都合なんて知る由もないし、仕方なく後回しにする。
倒れ伏した海琴を抱き上げる。すぅすぅと小さな呼吸が聞こえる。人肌の温もりも生きた肉の重さも感じない。けど人一人お姫様抱っこで持ち上げられるかと言ったら怪しいし、今はこれでいいや。
ほんの少しだけ水面から浮かび上がり、水上を滑るように鳥居に向かって飛んだ。
「さ、着いたよ。FUSHIは見張りをお願い」
任せて、とFUSHIが海琴の胸の上に乗る。それと同時に鳥居の足の間の空間が揺らぎ、
「ヤチ!」「ヤチヤチ!」「ヤッチャ!」「ヤチ~」「ア-ウ」「ヤー!」「パワー!」「イックゾー!」「ヤッチヤチニシテヤンヨ!」「ヤハリヤッチョ、ヤッチョハスベテヲカイケツスル!」「ヤッチョイズジャスティス」「ヤ-チ-」「ウ-ラ-ヤハヤハ」「プルャ」「パンジャンパンジャンパンジャンパンジャン」「ヤチヨチャンカワイイッテイッテ?」「ヤ-チヤチヤチヤチ!」「ススルゼ、コレハ」「ヤァ……ア……」「ナイチャッタ!」「チバシガサガ」「ヤッチコンロテンカ!」「ヤチチチチチ……ボッ!」「ヤチヨッタラサイキョ-ネ!」「ソ-ナノカ-」
イワシの群れのように無数のミニヤチヨ達が飛び出した。一塊になったミニヤチヨの上に海琴を横たわらせると、空飛ぶミニヤチヨ絨毯が眠り姫とウミウシを乗せて鳥居の奥へと消えていく。
「……これで条件達成、かな?」
あとには私とカメラと打出の小槌だけが残された。
少雛海琴と打出の小槌との距離を大きく離す事、そして私一人で待機する事。それがメッセージの主と直接コンタクトを取る為の方法。
何が一人と判定されるか分からないし、念の為配信も切ろう。
「ねぇ、カメラ貸してもらってもいいかな。なーんて、小槌は話さないか! だってお口無いからね〜!」
私の頭くらいの高さで私をカメラに収めるように浮かび続ける打出の小槌に声をかけた。けど犬DOGEともFUSHIとも違う、道具が話す訳が無い。
声もかけたから大丈夫と判断してカメラに手を伸ばして、……?
「あれ、電源落ちてる?」
いつの間にかカメラの画面がブラックアウトしていた。一体いつの間に止まったのかな。
「う〜〜ん。なぁぜなぁぜ……って!? わわわ、そっちはダメだよ!」
カメラを片手にまじまじと見つめながら悩んでいると、打出の小槌がクラゲのようにふわふわと鳥居に向かって飛んでいくのが目に入った。
名も知れない誰かと待ち合わせしているのに、早速条件が崩れてしまう。今まで見てきた感じだと少雛海琴は打出の小槌から離れない。起きた時にまた引き離せるかどうか……とにかく、追いかけないと。
「待って! そっちはヤチヨの
収納メンダコにカメラを入れて、慌てて打出の小槌の後を追いかける。するりと鳥居の間の空間を抜けてしまった小槌の背(どこ?)を追って鳥居を通って、
「──────────なに、ここ」
──鳥居を抜けると、そこは異世界だった。トンネルを抜けたら雪国に着くけど、今私が通ったのはツクヨミの鳥居だ。間違ってもこんな場所では無い。
一ミクロンも凹凸が無い鏡面仕上げの床がどこまでも続いている。直径二メートル程の光球が無数に浮かんでいて、その周りを土星の環のように様々な形や大きさの道具と思わしき物が廻っている。
天井には星が敷き詰められていた。生きているように小さな光がゆらゆらと波のように揺れて、それが床に反射して宇宙の真ん中に立っている、そんな錯覚すら感じる。
まるで星の一つ一つが私を見ているような気がした。
「夢でも見てるのかな。ヤッチョ働き過ぎ?」
あまりにも非現実的な光景に天井を見上げながら立ち尽くしていると、いつの間にか私の頭上の天井に大きな黒い穴が空いていた。
じっと見つめていると、はらり、と天井に空いた穴から星の雪が私目掛けて降ってきた。
「綺麗……」
それはまるでファンタジーのような美しい光景だった。螺旋を描いて天井と私を繋ぐように星の雪が光を放ちながら降ってくる。月から地球に戻って来た時に見た宇宙をぎゅっと集めたような星の川が私に流れ込んでくる。
私は迎え入れるように星の川に向かって手を伸ばして──、
『警告。鼠浄土、それは
瞬間、出処不明の声が響く。男性のような女性のような、少年のような老婆のような不可思議な電子音声がどこからともなく響いてきた。
えっ、と声にもならない吐息が漏れ出る。上に伸ばされた手を星の川が一撫でして、重力に逆らって天井の穴に登っていく。
ちぃちぃ、と金属を擦り合わせた音が今聞いたばかりの名前と重なって鼠の鳴き声に聞こえた。
『謝罪。対象名・月見ヤチヨ。申し訳ありません。アレは無限に増殖する関係上、新しく製造された個体にデータが読み込まれてない伝達ミスが起こりやすい技術なのです』
「だ、誰!?」
この声の主が言ってた話通りなら、今私は食べられかけていた。なら、この声の主も私を油断させて襲ってくるかもしれない。
周囲を見回すと先に飛んで行ってしまったはずの打出の小槌が前方に浮かんでいた。
『感謝。対象名・月見ヤチヨ。貴女様が協力関係を結んで頂ける事、当機等は非常に喜ばしく捉えております』
声が響く。広い空間にいるのにまるで洞窟の中のように反響して聞こえる電子音声。案内人のように佇む打出の小槌。
──まさか。
「もしかして、打出の小槌がヤチヨに海琴の情報を渡したの? ていうか、しゃぁべっったぁぁぁぁぁぁぁ!?!?」
ここがギャグ漫画の世界だったら驚きのあまり目玉がポーンテンテンテン……と飛び出していただろう。目まぐるしく動く展開におばあちゃんはついていけてません。よよよ……。
『肯定。続けて訂正。当機を表す名称は打出の小槌だけではございません。ですが、まずはこの空間の説明から入らさせて頂きます』
打出の小槌がその場で辺りを見回すようにくるりと回った。
『ここは、どこでもあってどこでもない時空の狭間。月の
物語を語る詩人かのごとく、つらつらと電子音声が語る。
『──ようこそ、ここは月の
説明を締め括り、白くぼんやりとした光を放つ打出の小槌。小槌を縦に貫く柄が内側からぼんやりと蜂蜜色に輝いた。
月にいる間も一回も聞いたことが無い内容を耳にして。
──あ、この場所……姫様クラスの極秘案件?
宇宙の全てを知ってしまった猫のように、私はその場で固まっちゃうのでした。とってんぱらりのぷう太郎。
トッシュさん、博天さん、誤字報告ありがとうございます!
小槌は振るものじゃなくて物を叩く為の道具ですよ初見さん
楽曲コード
N00653470 IMAWANOKIWA
大規模コラボってあり?
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アリ
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ナシ