杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~ 作:redhot
岩内自衛隊基地の地下格納庫は、異様な熱気と興奮に包まれていた。
トオルは杖くんを握り、仮面ライダーたち、デスナイト、エルダーリッチ、グイン、D、マシュ、ニンジャスレイヤー、そしてバーゲストを従えて、百階を超える深層を探索していた。
そこに現れたのは、全長六百メートルに迫る老竜――伝説級の巨体を持つ古代のドラゴンだった。
鱗は銀と金が混じった輝きを放ち、翼を広げれば空を覆うほどの大きさ。
咆哮一つで洞窟全体が震え、吐き出す炎の息は戦車を一瞬で溶かす。
トオルは静かに息を吐いた。
「ごめんね……でも、みんなを守りたいから」
即死の魔法が奔流となって放たれる。
老竜は最後の咆哮を上げようとした瞬間、体を震わせ、巨大な翼を畳んで地面に崩れ落ちた。
痛みなく、安らかに。
トオルは両手を合わせ、短く祈った。
「ありがとう……無駄にしないよ」
遺体は収納空間に収められ、基地へ持ち帰られた。
その日のうちに、格納庫は科学者と企業関係者で埋め尽くされた。
老竜の鱗は、ミスリルに匹敵する強度と軽量性を持つことが即座に判明した。
骨はさらに硬く、加工すれば航空機のフレームや戦車の装甲に革命を起こす。
血は癌治療や難病の治療薬として、肉は高級食材として、爪と牙は切断工具として……一匹で一流企業の年収を遥かに超える価値があった。
特に鱗と骨は、ミスリルの代用品として自動車産業で即座に重用されることになった。
大手メーカーが競って買い取り、株価が急騰。
翌日の新聞は一面で大々的に報じた。
「老竜一匹で企業価値爆上げ! トオルくんがもたらした新素材、自動車株が史上最高値更新」
「ミスリル超えの鱗・骨、加工成功! 次世代自動車革命の幕開け」
世界中の富豪と企業が、再び岩内に目を向けた。
競売会場は連日熱狂し、遺体の各部位が天文学的な価格で落札されていった。
トオルは基地の食堂で、そんな騒ぎを知らずにみんなと一緒に食事をしていた。
七歳の少年は、杖くんを抱きしめながら、優しく笑う。
「みんな、元気だね……僕、もっと採ってくるよ」
煉獄杏寿郎が大声で笑い、
「うむ! お前の老竜一匹で、自動車産業が大喜びだぞ! トオル、よくやった!」
胡蝶しのぶが優雅に微笑み、
「ふふ……鱗と骨の価値が、ミスリル並みですって。トオルくん、世界を変えてますわね」
胡蝶カナエが穏やかに頷き、
「あらあら、血や肉もすごいって。みんな、トオルくんに感謝してるわよ」
炭治郎が静かに、
「トオルくん……ありがとう。これで、また新しい技術が生まれるよ」
トオルは少し照れくさそうに頭を掻いた。
「僕、ただ……みんなが幸せになるようにって思って……」
杖くんが耳元で優しく囁いた。
『トオルちゃん……あなたの優しさが、また世界を動かしたわ。一匹の竜が、こんなにたくさんの希望を生むなんて』
基地の外では、雪解けの風が吹き始めていた。
ガンダムとザクが広場に立ち、犬型ゴーレムたちが山を守り、エルフの戦士たちが訓練を続ける。
老竜の遺産は、世界中の産業と科学を、再び大きく変えようとしていた。
人類史上最大の魔法使いは、七歳の心で、深淵の宝物を、静かに地上へ届け続けていた。
霧の港町は、少年の優しさと、巨竜の遺産に包まれながら、輝き続けていた。