杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

105 / 241
杖くんとミスリルの波紋

トオルが持ち帰ったミスリルで作られた試作車「ミスリル・ドリーム」のスペックが公表された瞬間、世界の自動車産業は凍りついた。

 

車両重量:従来鋼鉄車の約1/4(約300kg台)

衝突安全性:時速200km正面衝突でも乗員室ほぼ無傷(エアバッグ不要レベル)

燃費:市街地モードで従来車の3.5倍以上(リッター30km超)

耐久性:ミスリルボディのため、経年劣化ほぼゼロ。錆びない、へこまない、壊れない

加速性能:0-100km/h 2.8秒(スーパーカー並み)

価格(試作段階):約8,000万円(高級超高級車クラス)

 

これらの数値は、物理法則の限界を嘲笑うかのようだった。

従来の自動車工学では「不可能」とされてきた領域が、たった一つの素材で突破されたのだ。

ドイツのメルセデス・ベンツ本社では、技術者たちが試作車のスペックシートを前に呆然としていた。

あるベテランエンジニアが、震える声で呟いた。

「……これが本当なら、我々のSクラスはもう時代遅れだ。

重量が四分の一で、この強度……空力設計すら根本から見直さなければならない」

アメリカのフォードでは、幹部会議が緊急招集された。

CEOがテーブルを叩いて叫ぶ。

「日本にミスリルを輸入しろ!

いくらでも払う!

工場を日本に作ってもいい!

この技術を手に入れられなければ、十年後には市場から消えるぞ!」

イタリアのフェラーリ、ランボルギーニも同様だった。

「ミスリル・ドリーム」の燃費と安全性を前に、スーパーカーのコンセプト自体が揺らぎ始めた。

フランスのプジョー・シトロエン幹部は、ため息をつきながら言った。

「我々は環境規制で苦しんでいるのに……この車は燃費が三倍以上だ。

これが一般化したら、欧州の自動車産業は壊滅するかもしれない」

中国の新興自動車メーカーは、もっと直接的だった。

「日本政府に直談判だ。

ミスリル供給契約を結べなければ、中国市場での販売権を剥奪する」

各国企業は一斉に日本政府へ圧力をかけた。

「ミスリルの輸入を認めてほしい」

「優先供給契約を結びたい」

「技術提携をさせてくれ」

「日本に工場を建設するから、ミスリルを分けろ」

経済産業省は連日、各国大使館からの要請に追われていた。

担当官僚は頭を抱えながら呟く。

「トオルくんが採ってくる量は限られているのに……

これだけ各国が殺到したら、供給が追いつかない」

トオルは、そんな世界の動きを知らずに、基地の食堂でみんなと一緒に食事をしていた。

七歳の少年は、杖くんを抱きしめながら、優しく笑う。

「ミスリルで車ができたんだって?

みんなが、安全に運転できるなら……嬉しいね」

煉獄杏寿郎が大声で笑い、

「うむ! お前のミスリルが、世界の道を変えてるぞ!

事故が減って、みんなが笑顔になるんだ!」

胡蝶しのぶが優雅に微笑み、

「ふふ……各国が『もっとくれ』って騒いでるんですのよ。

トオルくん、あなたはもう世界の中心ですわ」

胡蝶カナエが穏やかに頷き、

「あらあら、ミスリル・ドリーム……素敵な名前ね。

トオルくんの優しさが、形になったのよ」

炭治郎が静かに、

「トオルくん……ありがとう。

これで、家族が車で出かけるのも、もっと安心できるよ」

トオルはみんなの笑顔を見て、胸が温かくなった。

「うん……僕、もっと採ってくるよ。

みんなが、もっと幸せになるように」

杖くんが耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……あなたの優しさが、世界の道を変えてるわ。

ミスリルが、みんなの笑顔を運ぶんだよ』

基地の外では、秋の風が吹いていた。

ガンダムとザクが丘の上に立ち、犬型ゴーレムたちが山を守り、エルフの戦士たちが訓練を続ける。

ミスリル・ドリームの試作車は、テストコースを静かに走り続けていた。

その軽やかで、安全な走りは、世界を変える第二の波を起こそうとしていた。

人類史上最大の魔法使いは、七歳の心で、夢の自動車を、現実の希望に変え続けていた。

霧の港町は、少年の優しさと、鋼の奇跡に包まれながら、輝き続けていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。