杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

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杖くんとの神剣と奉納の道

岩内自衛隊基地の会議室は、いつもより重い空気に包まれていた。

テーブルの中央に置かれたのは、一振りのミスリル刀。

銀色の刃が柔らかな光を放ち、柄にはトオル自身が描いた小さな花の模様が彫られている。

トオルが皇室に献上したのと同じ刀――いや、厳密には同じ素材で新たに鍛え上げられた一本だ。

会議の出席者は、煉獄杏寿郎三佐、胡蝶しのぶ一尉、胡蝶カナエ二尉、そして数名の高級幹部たち。

皆、刀を前にして、しばし言葉を失っていた。

最初に口を開いたのは、しのぶだった。

いつもの蝶のような微笑みを浮かべながら、しかし真剣な声で。

「ふふ……この刀、皇室に献上したものと同等以上の出来ですわね。

トオルくんが『陛下のお役に立てれば』と、喜んで作ってくれたもの。

でも……これを伊勢神宮にも奉納したら、どうかしら?」

カナエが穏やかに頷いた。

「あらあら……一日本人としては、奉納した方がいいと思うわ。

ミスリルは、神話の金属。

伊勢神宮に奉納すれば、天照大御神への供物としてふさわしいかも……」

煉獄が腕を組み、力強く言った。

「うむ! 俺も賛成だ!

トオルが作ったこの刀は、日本を守る象徴だ。

皇室に献上したように、神宮にも奉納すれば、国全体の守りが強くなる気がするぞ!」

しかし、一人の幹部が慎重に手を挙げた。

「待ってください。

確かに気持ちはわかりますが……これは国家機密級の素材です。

勝手に神宮に奉納すれば、外交問題や宗教問題に発展しかねない。

まずは政府と神宮に正式に確認を取るべきです」

一同が頷いた。

「そうだな……急ぐ必要はない。

トオルくんにも相談しよう。

本人が『いいよ』と言ったら、政府ルートで進めればいい」

会議はそこで一旦終了した。

ミスリル刀は厳重に保管され、誰もが同じ思いを抱いていた。

――いつか、新たな神剣として。

後に、この刀は「真銀の刀」と名付けられ、伊勢神宮に奉納されることになる。

神宮の神職たちが、刀を受け取った時、静かに呟いた。

「これは……神の御使いがもたらした剣か」

だが、それはまだ先の話。

今は、基地の食堂で、トオルがみんなと一緒に食事をしている。

七歳の少年は、杖くんを抱きしめながら、優しく笑う。

「みんな、元気だね……僕、もっと採ってくるよ」

胡蝶しのぶが微笑みながら、

「ふふ……トオルくん、あなたの刀が、いつか神宮に奉納されるかもしれませんわね」

胡蝶カナエが穏やかに頷き、

「あらあら、そんな日が来たら……きっと、トオルくんも喜ぶわ」

トオルは首を傾げた。

「神宮に……? 僕の刀が?」

煉獄が大きく頷き、

「うむ! お前が作った刀は、日本を守る象徴だ。

いつか、神様に捧げられる日が来るかもしれないぞ!」

トオルは少し考えて、静かに微笑んだ。

「うん……それなら、僕、嬉しいよ。

みんなが、もっと安心できるように……」

杖くんが耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……あなたの優しさが、神様にも届くわ。

いつか、真銀の刀として、みんなを守ってくれる日が来るのよ』

基地の外では、秋の風が吹いていた。

ガンダムとザクが丘の上に立ち、犬型ゴーレムたちが山を守り、エルフの戦士たちが訓練を続ける。

ミスリル刀は、まだ静かに保管されていた。

だが、その刃には、少年の優しさと、日本を守る願いが、確かに宿っていた。

人類史上最大の魔法使いは、七歳の心で、未来の神剣を、静かに鍛え続けていた。

霧の港町は、少年の光と、神聖なる未来に包まれながら、輝き続けていた。

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