杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

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杖くんと軍事産業の野望

東京のとある大手軍事産業の地下研究施設は、異様な熱気に満ちていた。

会議室の中央に置かれたのは、トオルが討伐した老竜の鱗と骨のサンプルだった。

銀と金の混じった鱗は、ライトの下で神秘的な輝きを放ち、骨は鋼鉄を遥かに超える硬度と軽さを併せ持つ。

ミスリルと同等の強度――いや、それ以上だという解析結果が、すでに何度も確認されていた。

企業の技術者たちは、息を飲んでそれを見つめていた。

一人のベテランエンジニアが、震える手で鱗を触れながら言った。

「……これで装甲車を作れば、戦車砲を真正面から受けても無傷だ。

ミスリル車を見た時は驚いたが……このドラゴン素材は、さらに上を行く。

重量は半分以下、強度は三倍以上。

衝突しても乗員は無傷、衝撃すら感じない……空想の中の話だったはずだ」

隣の兵器開発担当者が、目を細めて呟いた。

「航空機のフレームに使えば、燃料燃費が劇的に向上する。

戦闘機がこれまで以上の機動性と耐久性を手に入れる。

ミサイルの外殻、戦艦の装甲……どれもが革命的に変わる」

部屋の空気が一気に熱くなった。

「ドラゴンの骨を加工すれば、ミサイルの弾頭や砲身も可能だ。

ミスリルと組み合わせれば……既存の戦車など、子供のおもちゃになる」

「軍事産業全体が塗り替わる。

この素材を独占できれば、世界の軍事バランスすら変わる」

彼らはすでに、ドラゴン素材を使った新兵器のイメージを頭の中で膨らませていた。

「ドラゴン・アーマー」と名付けられた次世代戦車、鱗を織り込んだ飛行服、骨で作られた超軽量ミサイル……どれもが、従来の常識を遥かに超える性能を秘めていた。

だが、それだけではなかった。

ランポスやギアノス、ブランゴ、ザザミの皮や鱗、殻、マカライト鉱石……。

これらもまた、軍事産業に革命を起こせるポテンシャルを秘めていた。

軽量で高耐久の防具、衝撃吸収材、特殊合金……ダンジョンの素材をふんだんに使った軍隊は、通常の装備では到底対抗できないだろう。

さらに、血虫やドクターアロエ、クスリバチも軍事行動中の怪我を即座に治療できる。

量産できれば、どれだけの価値になるか……戦場での生存率が劇的に向上し、兵士の消耗を最小限に抑えられる。

会議室の空気が、欲望と興奮で重く淀む中、一人の技術者が静かに言った。

「トオルくんがいる限り……これらの素材は、いつでも手に入る。

だが、彼が『みんなの為に』としか考えていないことが、一番恐ろしいのかもしれないな」

一方、岩内基地の食堂では、トオルがみんなと一緒に食事をしていた。

七歳の少年は、杖くんを抱きしめながら、優しく笑う。

「みんな、元気だね……僕、もっと採ってくるよ」

煉獄杏寿郎が大声で笑い、

「うむ! お前のドラゴン一匹で、軍事産業が大騒ぎだぞ!

でも、お前はただ、みんなが幸せになるようにって思ってるだけだな!」

胡蝶しのぶが優雅に微笑み、

「ふふ……世界中の企業が、あなたの素材を欲しがってるんですのよ。

でも、トオルくんは変わらない……それが一番素晴らしいことですわ」

胡蝶カナエが穏やかに頷き、

「あらあら、血や臓器も薬になって、世界中の人を救ってるわ。

あなたは本当に、みんなの希望ね」

炭治郎が静かに、

「トオルくん……ありがとう。

これで、また新しい技術が生まれるよ」

トオルはみんなの笑顔を見て、胸が温かくなった。

「うん……僕、もっとがんばるよ。

みんなが、もっと幸せになるように」

杖くんが耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……あなたの優しさが、世界の軍事と産業を変えてるわ。

でも、あなたはただ優しいだけ。それが、一番強いことよ』

基地の外では、秋の風が吹いていた。

ガンダムとザクが丘の上に立ち、犬型ゴーレムたちが山を守り、エルフの戦士たちが訓練を続ける。

軍事産業の面々は、ドラゴンの骨と鱗を前に、夢のような兵器を想像し続けていた。

人類史上最大の魔法使いは、七歳の心で、世界の欲望を、静かに受け止め続けていた。

霧の港町は、少年の優しさと、竜の遺産に包まれながら、輝き続けていた。

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