杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~ 作:redhot
岩内自衛隊基地の武器庫は、厳重な二重の電子ロックと生体認証、そしてトオルが施した魔力結界によって守られていた。
その奥深く、特別保管棚に並ぶのは、ミスリル製の日本刀たち。
一本一本が、刀鍛冶の名人たちが心血を注いで打ち上げた逸品。
刃文は銀色の奔流のように流れ、柄にはドラグライト鉱石の装飾が輝く。
重さは普通の日本刀とほとんど変わらず、しかしその切れ味と耐久性は、常識を遥かに超えていた。
ダンジョン攻略を専門とする自衛隊員――三十階以降に挑む精鋭たち――には、このミスリル刀が支給されていた。
銃火器以上に管理は厳重だ。
使用者は一人ずつ登録され、刀のシリアルナンバーと魔力結界が紐づけられている。
刀を離れた瞬間、トオルの魔法が自動で反応し、持ち主以外が触れようとすれば警告音が鳴り響き、デスナイトやエルダーリッチが即座に現れる仕組みだった。
「盗難など、考えられませんね」
煉獄杏寿郎三佐は、武器庫の前で部下に言った。
部下の一人が頷き、
「はい。
基地に入って窃盗をしようとする度胸の持ち主など、存在しません。
それに……この刀を盗んだところで、トオルくんの結界が発動すれば、即座に捕まるだけです」
ミスリル刀は、国家機密の最上位に指定されていた。
刀鍛冶の名人たちも、参加する際に厳格な守秘義務契約を結んでいた。
「ミスリル刀の製法、素材の特性、トオルくんの魔力供給方法……一切を他者に漏らさない」
違反すれば、即座に国家反逆罪に問われる可能性もある。
だが、刀鍛冶たちは喜んで契約した。
村正の末裔は、ミスリル刀を打ち上げた後、涙を浮かべて言った。
「こんな機会、二度とない。
俺の生涯で最高の仕事だ。
契約など、喜んで結ぶさ」
正宗の流れを汲む老鍛冶も、静かに頷いた。
「この刀は、ただの武器じゃない。
トオル殿の優しさと、日本を守る想いが宿っている。
それを守るためなら、口を閉ざすことなど容易い」
菊一文字の職人も、完成した刀を眺めながら呟いた。
「これを打てただけで……俺の人生は満たされた。
誰にも話さない。
約束する」
トオルは、そんな刀鍛冶たちの想いを知り、食堂でみんなに話した。
「みんな、ミスリル刀を大事にしてくれてるんだって。
僕、嬉しいよ」
煉獄が大声で笑い、
「うむ! お前の刀は、俺たちの誇りだ!
誰も盗めんし、誰も壊せん!」
胡蝶しのぶが優雅に微笑み、
「ふふ……トオルくんの結界が、刀を守ってるんですのね。
これで、三十階以降も安心ですわ」
胡蝶カナエが穏やかに頷き、
「あらあら、刀鍛冶さんたちも、みんな喜んで契約してくれたのね。
トオルくんの優しさが、みんなの心を動かしたわ」
炭治郎が静かに、
「トオルくん……ありがとう。
この刀で、僕たちもあなたを守れるよ」
トオルはみんなの笑顔を見て、胸が温かくなった。
「うん……僕も、みんなと一緒にがんばるよ。
刀が、みんなを守ってくれるように」
杖くんが耳元で優しく囁いた。
『トオルちゃん……あなたの刀は、ただの武器じゃないわ。
守るための想いが、宿ってるのよ』
基地の外では、雪が静かに降り続いていた。
ガンダムとザクが広場に立ち、犬型ゴーレムたちが山を守り、エルフの戦士たちが訓練を続ける。
ミスリル刀は、国家機密として厳重に守られながら、ダンジョン攻略の切り札となっていた。
人類史上最大の魔法使いは、七歳の心で、守るための刃を、静かに鍛え続けていた。
霧の港町は、少年の優しさと、銀色の刀の輝きに包まれながら、輝き続けていた。