杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~ 作:redhot
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夏のアメリカは、静かに、そして激しく揺れていた。
K・K・Kは、各地の有力者たちに熱心に働きかけていた。
上院議員、州知事、大企業の重役、宗教指導者……白いフードの下から送られる手紙や、秘密の会合で、彼らは同じ言葉を繰り返した。
「アジアの魔女、佐藤トオルを排除せよ。
あれは白人の優位を脅かす異端だ。
神の名の下に、即刻抹殺すべきだ」
しかし、返ってくる反応は冷ややかだった。
デトロイトの自動車産業本社では、フォードの重役がK・K・Kの使者を前に、鼻で笑った。
「君たちの主張は理解した。
だが、ミスリルとドラゴン素材がもたらす利益を考えれば、そんな馬鹿げた話に乗る気はない。
あの少年は金の卵を産む鳥だ。
鳥を殺すのは、愚か者だけだ」
ボーイングの幹部も、同じ答えを返した。
「ドラゴンの鱗と骨があれば、次世代戦闘機の重量を半分にできる。
耐久性は現在の三倍以上。
そんな素材の供給源を、自ら潰す馬鹿がどこにいる?」
ロックヒードの会議室では、もっと露骨だった。
「K・K・Kの皆さん。
あなた方の『白人至上主義』は結構だが、ビジネスは別だ。
トオル・サトウがもたらす素材は、軍事産業全体の革命だ。
排除など、論外だ」
兵器産業だけでなく、製薬会社も同様だった。
老竜の血から作られる癌治療薬や難病薬の特許争いが激化する中、
「トオルがいなくなれば、素材の供給が止まる。
我々はそんなリスクを負えない」
K・K・Kの使者は、どの有力者からも同じような答えを突きつけられた。
「金の卵を産む鳥を殺すのは馬鹿者だけである」
デモは続いていたが、有力者たちの協力は得られず、運動は徐々に勢いを失っていった。
一部の過激派はなおも暗殺者を雇おうとしたが、ゴルゴ13をはじめとする一流の暗殺者たちは、すべて依頼を拒否した。
岩内基地では、そんなアメリカの動きなど知らぬまま、トオルがいつものようにみんなと食事をしていた。
九歳の少年は、杖くんを抱きしめながら、優しく笑う。
「みんな、元気だね……僕、もっと採ってくるよ」
煉獄杏寿郎が大声で笑い、
「うむ! お前はもう、世界の希望だぞ!」
胡蝶しのぶが優雅に微笑み、
「ふふ……トオルくん、あなたの素材が、世界中の産業を変えてるんですのよ。
誰も、あなたを簡単に手放したりはしませんわ」
胡蝶カナエが穏やかに頷き、
「あらあら、金の卵を産む鳥を殺す馬鹿はいないって……本当ね」
炭治郎が静かに、
「トオルくん……あなたは、みんなの宝だよ」
トオルは少し照れくさそうに笑った。
「僕、ただ……みんなが幸せになればいいなって……」
杖くんが耳元で優しく囁いた。
『トオルちゃん……世界中の大人が、あなたの価値をちゃんとわかってるわ。
金の卵を産む鳥を、誰も殺したりしない』
基地の外では、夏の風が吹いていた。
ガンダムとザクが丘の上に立ち、犬型ゴーレムたちが山を守り、エルフの戦士たちが訓練を続ける。
K・K・Kの叫びは、遠いアメリカの空に虚しく響き、
トオルのもたらす「金の卵」は、世界の産業と希望を、静かに、しかし確実に変え続けていた。
人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、世界の欲望と現実を、静かに受け止め続けていた。
霧の港町は、少年の優しさと、黄金の遺産に包まれながら、輝き続けていた。