杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

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杖くんと新たな日本人

岩内自衛隊基地の特別会議室は、厳かな空気に満ちていた。

長テーブルを挟んで座るのは、昭和天皇、総理大臣・中曽根康弘、外務大臣・安倍晋太郎、防衛庁長官、そしてエルフの指導者エレンディル、コッコロ、そしてトオルと杖くんだった。

天皇は穏やかな眼差しで一同を見渡し、静かに頷いた。

中曽根総理が、ゆっくりと口を開いた。

「本日、ここに集まっていただいたのは、極めて重要なご相談のためです。

エルフの皆さん……あなた方を、新たな日本人として迎え入れたいと考えております」

エレンディルは、長い銀髪を揺らし、静かに息を飲んだ。

コッコロはトオルの隣で、青い瞳を大きく見開いた。

総理は続けた。

「現在の住所は自衛隊基地内ですが、ご要望があれば別の土地で暮らせるよう、準備を進めます。

日本国は、あなた方を正式に国民として受け入れ、権利と義務を共有したい。

これは、天皇陛下のご意向でもあります」

天皇は静かに頷き、優しい声で言った。

「君たちが地上で暮らすのに、不自由がないよう願っておる。

日本という国は、さまざまな者が手を携えて生きる国だ。

どうか、ここを新しい故郷としてほしい」

エレンディルは深く頭を下げ、落ち着いた声で答えた。

「陛下、総理大臣……このような厚遇、光栄に存じます。

しかし、私どもはまだ、ダンジョン攻略のお手伝いをさせていただきたいと考えております。

トオル様や自衛隊の皆さんには、命の恩義があります。

まずはその恩を返したい。

それが、私たちの願いです」

コッコロも、トオルの袖をそっと握りながら、はっきりと言った。

「トオル様……私たちも、基地に残って皆さんと一緒に戦いたいです。

地上の暮らしは便利ですが、まだ恩返しが足りません」

トオルは、みんなの顔を順番に見つめ、優しく微笑んだ。

「みんな……ありがとう。

僕も、一緒にがんばりたい。

でも、みんなが安全でいてくれるのが一番だよ」

中曽根総理は、穏やかに頷いた。

「わかりました。

エルフの皆さんのご意志を尊重します。

ダンジョン攻略への協力は、引き続き自衛隊と連携して進めましょう。

住居についても、基地内を希望される場合は、そのまま快適に暮らせるよう整備いたします」

天皇は、トオルに向かって静かに微笑んだ。

「トオル君……君の優しさが、多くの者を繋いでおる。

これからも、どうか体を大切に」

会談の様子は、厳重な管理のもとで一部報道関係者に公開され、写真と映像が即座に全国に配信された。

翌日の新聞は一面で大きく報じた。

「天皇陛下、トオル君とエルフの指導者を慰問

『新たな日本人として迎える』 総理が正式表明」

テレビでは、会談の模様が短く中継され、国民の間で大きな話題となった。

「エルフが日本人になるって……すごい時代になったな」

「トオルくん、本当にすごいよ……」

トオルは、会談の後、基地の広場でコッコロと一緒に座っていた。

九歳の少年は、杖くんを抱きしめながら、照れくさそうに笑った。

「みんなが、日本人になるんだね……

僕、嬉しいよ」

杖くんが耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……あなたの優しさが、また新しい絆を作ったわ。

これで、エルフさんたちも、安心して地上で暮らせる』

コッコロが、トオルの手を握り、微笑んだ。

「トオル様……私たちも、これからは日本の皆さんと一緒に、ダンジョンを守っていきます」

基地の外では、夏の風が優しく吹いていた。

ガンダムとザクが丘の上に立ち、犬型ゴーレムたちが山を守り、エルフの戦士たちが訓練を続ける。

新たな日本人となったエルフたちは、トオルを中心に、静かに、しかし確かに日本という国に根を下ろし始めていた。

人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、世界の絆を、静かに広げ続けていた。

霧の港町は、少年の光と、新たな家族の温もりに包まれながら、輝き続けていた。

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