杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

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杖くんと日本一の基地

夏の岩内自衛隊基地は、日本全国の自衛隊員の間で「伝説の基地」として知られていた。

まず、食事が美味い。

それが一番の評判だった。

朝食にはダンジョンサーモンの塩焼きとベーコンの葉の炒め物、

昼食にはサーロインキノコのステーキとチーズラビットのグリル、

夕食にはフライヤダックの丸焼きと軍隊ガニの甲羅焼き。

さらにデザートには餅石のきなこ餅や酒ヤシの実のゼリー。

基地の食堂は、毎日が一流レストラン並みの豪華さだった。

隊員の一人が、フォークを置いてため息をついた。

「ここに来てから、体重が増えた……

でも、止められないんだよな」

隣の隊員が笑いながら頷く。

「他の基地じゃ考えられない。

ここは毎日がごちそうだ」

実力も、全国の自衛隊基地で単独トップだった。

当然である。

三十階以降は、毎日が死闘。

ミスリル刀を手に、仮面ライダーや十二天将、魔神たちと共に戦う経験は、他の基地では絶対に得られない。

装備も超高性能。

ミスリル刀はもちろん、マカライト製の盾とプロテクター、ドラグライトの槍……

トオルが精製した簡易ポーションも常備され、負傷しても即座に回復できる。

配置を希望する隊員は全国から殺到したが、審査は極めて厳しかった。

「ダンジョンは脅威そのものだ。

三十階以降は、自衛隊員では生き残れない」

新城直衛大佐は、希望者たちに厳しく告げた。

「トオル君は単身で四百階まで探索できる。

しかし我々は、三十階が限界。

環境の変化に耐えられないし、死亡事故のリスクが大きすぎる。

だからこそ、選ばれた者だけがここにいられる」

実際、トオルは自衛隊員を同行させなかった。

少年はいつも一人で、または召喚した仲間たちと共に深淵へ潜る。

自衛隊は三十階までの支援と、地上での防衛に徹していた。

基地の食堂で、トオルはみんなと一緒に食事をしながら、静かに言った。

「僕、一人で大丈夫だから……

みんなは、地上で待っていてね」

煉獄杏寿郎が大きな声で笑った。

「うむ! お前は俺たちの希望だ!

地上は俺たちが守るから、安心して深くまで行け!」

胡蝶しのぶが優雅に微笑み、

「ふふ……トオルくんが四百階まで行けるのは、あなたの力があればこそですわ。

私たちは、ここでしっかり支えます」

胡蝶カナエが穏やかに頷き、

「あらあら、全国から配置希望が来てるんですって。

でも、審査が厳しいのも当然よね」

炭治郎が静かに、

「トオルくん……お前が一人で戦ってる分、俺たちは絶対に地上を守るよ」

トオルはみんなの顔を見て、優しく笑った。

「ありがとう……

僕、もっとがんばるよ。

みんなが安心して暮らせるように」

杖くんが耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……この基地は、あなたのおかげで日本一になったわ。

食事が美味しくて、装備が最強で、実力もトップ……

でも、一番すごいのは、あなたの優しさよ』

基地の外では、夏の風が吹いていた。

ガンダムとザクが丘の上に立ち、犬型ゴーレムたちが山を守り、エルフの戦士たちが訓練を続ける。

岩内自衛隊基地は、食事が美味しく、実力が抜群で、装備が最先端――

そして、九歳の少年が単身で四百階まで挑み続ける、日本で最も特別な基地となっていた。

人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、深淵の闇と、地上の希望を、静かに繋ぎ続けていた。

霧の港町は、少年の光と、日本一の基地の誇りに包まれながら、輝き続けていた。

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