杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

145 / 241
杖くんと九歳の剣

日本中のPTAと教育委員会から、政府への非難の声が一斉に上がった。

「九歳の子どもが真剣を持つなど、到底許されません!」

「未成年者への武器所持は、日本憲法上も明確に違法です!」

「トオル君の行動は、他の子どもたちに悪影響を及ぼします!」

全国のPTA連合は緊急声明を出し、教育委員会も合同で文部省に要請書を提出した。

中には「杖くん(超魔導兵器)の没収も強く求めます」という過激な意見まであった。

国会でも、この問題が取り上げられた。

自民党の議員が苦い顔で言った。

「確かに、憲法上は武器の所持は厳しく制限されています。

しかし……ダンジョンを攻略しているトオル君に、その条項をそのまま適用できるのでしょうか?」

社会党の議員も、珍しく複雑な表情で頷いた。

「現実問題として、トオル君がいなければダンジョンの深部は誰も攻略できません。

三十階以降は自衛隊ですら死亡リスクが高い……

法と現実の狭間で、非常に難しい判断です」

そんな議論が続く中、宮内庁から政府に極めて重要な連絡が入った。

天皇陛下からの直々の意向だった。

「トオル君の足を止めるようなことは、決してしてはならない。

あの子が自ら望んで戦っている以上、それを阻害してはならぬ」

総理大臣・中曽根康弘は、その連絡を受け、静かに頷いた。

「陛下のお言葉、肝に銘じます」

数日後、PTAと教育委員会の代表者たちにも、天皇から直接の手紙が届いた。

そこには、穏やかでありながらも強い想いが記されていた。

「トオル君の活動を、必要以上に非難しないでいただきたい。

あの子は、九歳でありながら日本と世界を守るために戦っておる。

その純粋な心を、傷つけないようお願い申し上げる」

手紙を読んだPTAの代表者は、言葉を失った。

教育委員会の委員長も、ただ黙って手紙を握りしめた。

岩内基地では、トオルがそんな騒動など知らずに、いつものようにみんなと過ごしていた。

九歳の少年は、エウレカの二本の剣を大切に抱きながら、優しく笑った。

「みんな、元気だね……

僕、今日もがんばってくるよ」

胡蝶しのぶが、優雅に微笑みながら言った。

「ふふ……PTAや教育委員会の方々が、少し騒いでいるようですわね。

でも、天皇陛下がトオルくんを思ってくださっているそうですよ」

胡蝶カナエが、穏やかにトオルの頭を撫でた。

「あらあら……あなたはもう、みんなの希望です。

あまり気にしないでね」

トオルは少し首を傾げた。

「え? 何かあったの?」

煉獄杏寿郎が、大きな声で笑いながら言った。

「うむ! 何も心配するな!

お前はただ、堂々と自分の道を進めばいい!

陛下も、そうおっしゃっているのだからな!」

杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……天皇陛下が、あなたのことを守ってくださってるわ。

あなたの純粋な心が、陛下の心にも届いているのよ』

基地の外では、秋の風が優しく吹いていた。

ガンダムとザクが丘の上に立ち、犬型ゴーレムたちが山を守り、エルフの戦士たちが訓練を続ける。

トオルは、エウレカの剣を胸に抱き、静かに微笑んだ。

「僕、みんなを守りたいだけだよ……

それが、僕の道だもん」

九歳の少年は、PTAや教育委員会の非難を知りながらも、

天皇の温かな想いに守られ、静かに深淵への道を歩み続けていた。

人類史上最大の魔法使いは、神剣エウレカと共に、

世界の声と現実の狭間で、光を灯し続けていた。

霧の港町は、少年の優しさと、天皇の祈りに包まれながら、輝き続けていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。