杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

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杖くんと家族の再会

岩内自衛隊基地の正門前は、秋の澄んだ空の下で穏やかな風が吹いていた。

炭治郎は、制服姿のまま基地のゲート近くに立ち、遠くからやってくるバスを待ち続けていた。

彼の家族が、メフィスト北海道病院で父親の治療を受けるために、はるばる岩内までやって来る日だった。

バスが到着すると、まず飛び出してきたのは高校生になった禰豆子だった。

続いて、幼い弟妹たちが元気よく降りてくる。

母の葵も、疲れた顔ながらも優しい笑みを浮かべていた。

炭治郎は、すぐに家族のもとへ駆け寄った。

「お母さん、禰豆子、みんな……よく来てくれた!」

禰豆子は、兄の顔を見て目を輝かせた。

「お兄ちゃん! 基地の中って本当にすごいの?

テレビで毎日見てるけど……」

幼い弟の竹雄が、周囲を見回しながら興奮気味に言った。

「外国の人、いっぱいいる!

日本人より外国人の方が多いよ!」

母の葵も、少し驚いた様子で辺りを見渡した。

「本当に……観光地みたいね。

テレビでは見ていたけど、実際に来ると驚くわ」

炭治郎は、家族を優しく案内しながら説明した。

「うん。この基地は、トオルくんがいるおかげで、世界中から人が集まるんだ。

ダンジョン産の食材を求めて、世界中のシェフや食通が来るから……日本人より外国人の方が多い日もあるよ」

家族が基地内に入ると、トオルが自衛隊員に付き添われて迎えに来ていた。

九歳の少年は、杖くんを抱きしめながら、にっこりと笑顔で言った。

「炭治郎さん、みんな、ようこそ!

お父さんの治療、ちゃんとできるようにメフィスト先生に頼んであるよ。

それと……今日はみんなでレストランで食事してほしいなって思って、予約しておいたんだ。

みんなで仲良く食べると、食事ももっと美味しいよね!」

禰豆子が目を丸くして、

「トオルくん……本当に?

ありがとう!」

竹雄や他の弟妹たちも、目を輝かせて喜んだ。

トオルは、少し照れくさそうに笑った。

「うん。

炭治郎さんがいつもお世話になってるから……

家族みんなで、ゆっくり食べてほしいな」

レストラン側も、トオルからの予約に大騒ぎになっていた。

超がつく大物の少年からの依頼とあって、シェフたちは腕によりをかけて準備を進めていた。

ダンジョンサーモン、チーズラビット、サーロインキノコ、ネオトマト……トオルが持ち帰った最高級の食材をふんだんに使い、特別コースが組まれていた。

夕方、家族はトオルに連れられて基地近くの高級レストランに入った。

店内は、外国人の客で賑わっていたが、トオル一行が来ると、シェフ自らがテーブルまで出てきて挨拶した。

「トオル様のご予約、ありがとうございます。

本日は、最高の食材でおもてなしさせていただきます」

食事は、予想を超える美味しさだった。

炭治郎の家族は、一口食べるたびに目を丸くし、感動の声を上げた。

母の葵が、涙ぐみながら言った。

「こんな美味しいもの……初めてだわ。

トオルくん、本当にありがとう」

禰豆子も、幸せそうに笑いながら、

「お兄ちゃん、トオルくんのおかげで、こんな素敵な食事ができるなんて……」

トオルは、みんなの笑顔を見て、胸がいっぱいになった。

「みんなが喜んでくれるなら、僕も嬉しいよ。

お父さんの治療も、きっとうまくいくよ」

炭治郎は、トオルの頭を優しく撫でながら、静かに言った。

「トオルくん……本当に、ありがとう。

お前は、俺たちの家族の恩人だよ」

杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……あなたの優しさが、炭治郎さんの家族の心を温かくしてるわ。

これで、また新しい絆ができたのね』

レストランの窓から見える基地の灯りは、優しく輝いていた。

トオルと炭治郎の家族は、秋の夜に、温かな食卓を囲みながら、静かな幸せを分かち合っていた。

人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、遠く離れた家族の笑顔を守り続けていた。

霧の港町は、少年の優しさと、家族の絆に包まれながら、輝き続けていた。

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