杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~ 作:redhot
皇居の奥深い書斎は、静かな灯りに包まれていた。
昭和天皇は、机の上に置かれた一冊の本を、静かに手に取った。
トオルと杖くんが編集した『精霊魔法入門――人類のためのやさしい魔法』。
資質さえあれば、誰でも魔法が使えるように調整された書だった。
天皇は、ページをゆっくりとめくりながら、深いため息をついた。
「これ一つ作るだけで……どれだけの苦労があったのだろうか」
少年の小さな手が、無限の図書室で得た知識をまとめ、精霊魔法を中心として人類に扱いやすい形に整えた労力を思うと、胸が痛んだ。
特異な才能があっても、全ては人のために。
まだ九歳の子供なのに、考えることは常に人々の幸せのためだった。
皇室では、資質のある人物は見当たらなかった。
それでも、この本は人類に新たな歴史を刻んだ。
過去に消えたはずの技術を復活させたのだ。
しかも、言語が異なる全人類向けに。
それは、称えられるべき偉業だった。
天皇は、本を閉じ、静かに目を閉じた。
「彼の歩みを止めるわけにはいかない……
それが、残念でならない」
書斎の外では、宮内庁の側近が控えていた。
天皇は、穏やかな声で言った。
「トオル君の活動を、可能な限り支えるように。
あの子は、まだ子供だ。
その純粋な心が、傷つかぬよう……見守ってやってくれ」
側近は、深く頭を下げた。
「陛下のお言葉、確かに承りました」
天皇は、再び本に視線を落とし、静かに祈った。
「トオル君……どうか、無事で……
君の優しさが、世界を照らし続けますように」
岩内基地では、トオルがそんな皇室の想いを知らずに、みんなと一緒に食事をしていた。
九歳の少年は、杖くんを抱きしめながら、優しく笑う。
「みんな、元気だね……
僕、魔法の書を配ったよ。
少しでも、みんなの役に立てたらいいな」
胡蝶しのぶが、優雅に微笑みながら、
「ふふ……皇室にも献上されたそうですわ。
陛下も、トオルくんのことを想ってくださっているそうですよ」
胡蝶カナエが、穏やかに頷き、
「あらあら、天皇陛下が本をお手に取って、どれだけの苦労があったのだろうとお考えになったそうです。
トオルくん、あなたは本当に特別な子ね」
炭治郎が静かに、
「トオルくん……お前のおかげで、魔法が『希望』になり始めている。
皇室の方々も、そう感じてくださっているよ」
トオルは、みんなの笑顔を見て、胸が温かくなった。
「うん……僕、もっとがんばるよ。
みんなが、笑顔でいられるように……」
杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。
『トオルちゃん……天皇陛下も、あなたの優しさを認めているわ。
この本は、人類に新たな歴史を刻んだのよ』
基地の外では、秋の風が静かに吹いていた。
ガンダムとザクが丘の上に立ち、犬型ゴーレムたちが山を守り、エルフの戦士たちが訓練を続ける。
皇居では、天皇が本を胸に抱き、静かに祈りを捧げ続けていた。
人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、世界の祈りを、優しく受け止め続けていた。
霧の港町は、少年の光と、皇室の温かな想いに包まれながら、輝き続けていた。