杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

190 / 241
杖くんと無限の図書館の影

世界中の研究機関と大学は、静かな衝撃に包まれていた。

トオルが850階で発見した「無限の図書室」の存在が、公式資料として各国に伝えられた。

現代の知識では解読できない古代文字、失われた文明の記録、過去にあったはずの技術や歴史の空白……。

未だに解明できない謎が、無限に詰まった空間であることが明らかになった。

それは、トオルだけが自力で到達し、所有権を得た場所だった。

各国政府は、研究機関や大学に通達を出した。

「トオル君は、他者を図書室に招かない。

理由は、自力で850階まで到達できない者が入ると、脳が破壊される危険性があるため。

これは、トオル君が知識を独占したいからではなく、保護のための措置である」

考古学者たちは、会議室でため息をついた。

「現代の知識では解読できない文字が、無限にあるという……

過去の文明の謎が、すべてそこにある。

一度でいいから、行ってみたい……」

歴史学者も、目を輝かせながら言った。

「失われたアトランティスや、ムー大陸の記録もあるかもしれない。

トオル君がすべてを知っているという事実は、衝撃的だ。

しかし、彼が招かない理由は理解できる。

我々が勝手に入れば、命を落とす可能性が高い」

ある老考古学者は、資料を握りしめながら呟いた。

「トオル君は、まだ九歳だ。

あの子が、あの図書室で何を見たのか……想像もつかない。

人類の歴史を、一人で背負っているようなものだ」

トオルは、そんな世界の動きを知らずに、基地の食堂でみんなと一緒に食事をしていた。

九歳の少年は、杖くんを抱きしめながら、優しく笑う。

「みんな、元気だね……

僕、今日もがんばってきたよ」

煉獄杏寿郎が、大きな声で笑いながら言った。

「うむ! トオル、お前の図書室の話が、世界中で話題だぞ!

考古学者たちが『一度行ってみたい』と嘆いているらしい!」

胡蝶しのぶが、優雅に微笑み、

「ふふ……現代の知識では解読できない文字が、無限にあるんですって。

トオルくん、あなたは本当に、世界の謎をすべて知っているのね」

胡蝶カナエが、穏やかに頷き、

「あらあら、トオルくんが招かない理由も、各国にちゃんと伝わっていますわ。

あなたの優しさが、みんなを守っているのよ」

炭治郎が静かに、

「トオルくん……お前のおかげで、人類の歴史が少しずつ明らかになっていく。

本当にすごいよ」

トオルは、みんなの言葉に、少し照れくさそうに笑った。

「僕、ただ……みんなの役に立ちたいだけだよ。

図書室の知識も、いつかみんなが安全に使えるようになればいいな……」

杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……世界中の学者さんたちが、あなたの図書室に憧れているわ。

でも、あなたが招かないのは、みんなを守るため。

その優しさが、ちゃんと伝わっているのよ』

基地の外では、秋の風が静かに吹いていた。

ガンダムとザクが丘の上に立ち、犬型ゴーレムたちが山を守り、エルフの戦士たちが訓練を続ける。

無限の図書室は、トオルだけの聖域として、世界中の研究者たちの夢と憧れの対象となり続けていた。

人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、失われた知識の海を、静かに守り続けていた。

霧の港町は、少年の光と、世界の好奇心に包まれながら、輝き続けていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。