杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~ 作:redhot
イギリスでは、トオルの講演内容が全国に報道され、大混乱が起きていた。
「エクスカリバーが実在し、今もアーサー王と共に眠っている」
この一言が、国民を震撼させた。
エクスカリバーは、アーサー王の剣であり、王を選定する伝説の聖剣。
それが現れたら、王位継承や政治的バランスが大きく揺らぐ可能性があった。
新聞の見出しは連日これで埋め尽くされた。
「トオル少年が語った聖剣エクスカリバー」
「アーサー王の眠る場所を知る者――九歳の魔法使い」
イギリス王室と政府は、緊急会議を開いていた。
バッキンガム宮殿の会議室で、王室関係者と政府高官が顔を揃えた。
一人の政府高官が、緊張した声で言った。
「トオル少年が、エクスカリバーの場所を知っている。
アーサー王と共に眠っていると……
彼なら、無暗に人には話さないだろうが……
王室として、正式に確認する必要がある」
王室顧問が、慎重に頷いた。
「招いて、直接聞くべきだ。
エクスカリバーは、単なる伝説ではない。
王を選定する剣。
もし本物なら、政治的にも大混乱になる可能性がある」
別の閣僚が、声を低くした。
「トオル少年は、九歳だ。
しかし、彼の知識は神話の領域を超えている。
エクスカリバーの場所を知っているという事実は、重い」
会議は、トオルをイギリスに招く方向で進められた。
しかし、キリスト教系の学者たちも、別の聖遺物について関心を寄せていた。
ある神学者が、会議の合間に呟いた。
「聖杯、ロンギヌス、聖骸布……
それらの場所も、トオル少年は知っているのかもしれない。
彼に聞きたい」
イギリス王室と政府は、トオル招致の準備を急いだ。
九歳の少年が持つ知識が、王国に与える影響は計り知れなかった。
トオルは、そんな動きを知らずに、基地の食堂でみんなと一緒に食事をしていた。
九歳の少年は、杖くんを抱きしめながら、優しく笑う。
「みんな、元気だね……
僕、今日もがんばってきたよ」
胡蝶しのぶが、優雅に微笑みながら、
「ふふ……イギリスでは、トオルくんのエクスカリバーの話が大騒ぎになっているそうですわ。
王室が、あなたを招きたいと言っているとか」
胡蝶カナエが、穏やかに頷き、
「あらあら、聖剣の話……
トオルくん、あなたの知識は、世界を変え続けているわね」
トオルは、少し驚いた顔で、
「エクスカリバー……?
僕、ただ本当のことを話しただけだよ……」
炭治郎が静かに、
「トオルくん……お前は、知っていることを優しく話すだけだ。
それが、世界を動かしている」
杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。
『トオルちゃん……イギリス王室が、あなたに会いたがっているわ。
エクスカリバーの話が、大きな波紋を呼んでいるのね』
トオルは、みんなの顔を見て、静かに微笑んだ。
「うん……みんなが、困らないように……
僕、話せることは話すよ」
基地の外では、秋の風が静かに吹いていた。
ガンダムとザクが丘の上に立ち、犬型ゴーレムたちが山を守り、エルフの戦士たちが訓練を続ける。
イギリスでは、王室と政府がトオル招致の準備を急ぎ、
キリスト教系の学者たちは、聖杯やロンギヌス、聖骸布の行方を、静かに期待していた。
人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、伝説の剣と聖遺物の秘密を、
優しく、世界に語り続けていた。
霧の港町は、少年の光と、遠いイギリスの波紋に包まれながら、輝き続けていた。