杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

208 / 241
いつの間にか200話超えてました。当初は30話前後だったのに。


杖くんと美女たちの小さな不満

自衛隊基地の女性用休憩室は、雪の降る夜の静けさに包まれていた。

胡蝶しのぶと胡蝶カナエ、そして須佐之男命の巫女である石戸霞、葵喜美、浅間智の五人が、湯上がりの温かな湯気を纏いながら、静かに話し合っていた。

しのぶが、優雅に髪を梳きながら、ため息混じりに言った。

「トオルくんも……もう、そういうお年頃なのはわかっていますわ。

人間なら誰しも持つ欲求ですもの。

でも……」

カナエが、穏やかな笑顔のまま、しかし少し頰を膨らませて続けた。

「あらあら……女性を召喚しなくても、目の前に私たち美女がいるのに、どうして相談してくれないのかしら?

それが、少し不満ですわね」

霞が、頰を赤らめながら、巫女服の袖をぎゅっと握った。

「私たちも……トオル様のお世話は、ちゃんとしています。

お風呂の時だって、あれだけ胸を触ったり、吸ったり……

なのに、ゲームの女の子を召喚するなんて……」

喜美が、恥ずかしそうに目を伏せながら、

「本当に……トオル様は、優しいのに、男の子らしいところはちゃんとあるんですよね。

でも、相談してくれれば……少しは、嬉しいのに……」

智が、弓を磨きながら、静かに頷いた。

「ええ……私たちも、トオル様の欲求を、ちゃんと受け止めてあげたいのに。

召喚なんてしなくても……」

しのぶが、くすっと笑いながら、しかし瞳は少し冷たかった。

「ふふ……お風呂の時は、あんなに甘えてくるのに。

胸に顔を埋めて、寂しそうに……

なのに、ゲームの女の子には素直に興味を示すんですもの。

少し、複雑ですわね」

カナエが、優しく微笑みながら、

「トオルくんは、いつもみんなの笑顔を優先して、自分の欲求を後回しにする子です。

だからこそ、たまにこうして素直な欲が出ると……

私たちも、ちゃんと向き合ってあげたいのに、って思います」

霞が、決意を込めて、

「次にトオル様が何か召喚しようとしたら……

私たちから、ちゃんと話してみましょうか?

『私たちでいいのに』って……」

休憩室に、女性たちだけの柔らかな笑い声と、ほんの少しの不満が混じった。

一方、トオルは自分の部屋で、杖くんを抱きしめながら、今日のことを振り返っていた。

九歳の少年は、頰を赤らめながら、

「僕……また、胡蝶さんたちに怒られちゃった……

でも、みんな優しいよね……」

杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……胡蝶姉妹も、霞ちゃんたちも、あなたの欲求をちゃんとわかっているわ。

ただ、目の前にいる美女たちを素通りして、ゲームの女の子を召喚するところが、少し不満みたいよ?

お風呂の時の甘えん坊ぶりとは、ずいぶん違うんですって』

トオルは、ますます顔を赤くして、杖くんに顔を埋めた。

「うう……ごめんなさい……

僕、ただ、どんな人か知りたくて……」

基地の外では、雪が静かに降り積もり始めていた。

ガンダムとザクは白く染まり、犬型ゴーレムたちが静かに見守る中、

トオルは、今日もまた、みんなの笑顔を守るために、静かに歩み続けていた。

人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、美女たちからの小さな不満と優しさを胸に、

ただ、世界を優しく照らし続けていた。

霧の港町は、少年の光と、雪の白さと、女性たちの温かな視線に包まれながら、輝き続けていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。