杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~ 作:redhot
自衛隊基地の資料室は、雪の降る窓から入る淡い光に照らされ、静かに息づいていた。
トオルは、九歳の小さな体で机に向かい、世界各国に送る書面の最終確認をしていた。
その内容は、蘇生魔法を使わない明確な理由についてだった。
トオルは、ペンを置いて静かに言った。
「死という概念は……執念深いんだ。
一度逃れても、さらなる凄惨な死が待っている。
周囲を巻き込んで、多くの命を奪う……
映画の『ファイナル・デスティネーション』みたいに」
胡蝶しのぶが、優雅に書類を整理しながら、
「トオルくん……あなたは本当に、優しくて賢いですわね。
蘇生魔法が一般的で、神々から使用が許可されている世界と、そうでない世界の差は大きい。
私たちの世界では、死の概念は遊びで人を殺そうとするほど、残酷ですもの」
胡蝶カナエが、穏やかに微笑みながら、
「あらあら……トオルくんが世界各国に送った書面は、すでに多くの国で共有されています。
『死の運命から逃れても、さらなる死が待っている』という一文は、特に重く受け止められているそうですわ」
トオルは、杖くんを抱きしめながら、静かに続けた。
「僕……人の生死を覆すことは、基本的にしない。
世界中の事故や災害で呼び出されることも多いけど……
死という概念は、人間と共にあるものだから。
生きるということは、死ぬということを理解しているから。
死を敵視しないよ。
ただ……もし死の概念が、遊びで人を殺そうとしたら……
その時は、僕、全力で立ち向かう。
それは、していいことじゃないから。
もう、神話の時代は過ぎ去ったんだから」
煉獄杏寿郎が、豪快に笑いながらも、真剣な顔で頷いた。
「うむ! トオルの考えは正しい!
死を安易に覆すことは、運命のバランスを崩す。
お前は、それをちゃんと理解している!」
炭治郎が、静かに目を細めて、
「トオルくん……君の優しさは、死さえも尊重する。
それが、君の強さだと思う」
孔雀が、煙草をくわえながら、苦笑した。
「はは……お前は本当に、九歳とは思えねえな。
死の概念を敵視しないって……俺でも、そこまでは考えねえよ」
王仁丸が、冷たい笑みを浮かべながら、
「甘いヤツだ。
だが……その甘さが、少なくとも今は正しい。
死の概念が遊びで人を殺そうとするなら、ぶっ飛ばせ。
それが、お前の正義だ」
ギムリが、髭を震わせて笑った。
「はっはっは! トオルよ、死という奴は、わしらドワーフにとっても重い。
お前がそれを尊重する気持ち、よくわかるぞ!」
トオルは、みんなの言葉を聞きながら、静かに微笑んだ。
「うん……僕、死を怖がらない。
でも、死が遊びで人を傷つけるのは、許せない。
だから、蘇生魔法は……本当に必要な時だけにしようと思う。
世界各国にも、そう伝えたよ」
杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。
『トオルちゃん……あなたは本当に、優しすぎるわ。
死の概念を敵視せず、ただ人間と共にあるものとして受け止める……
それが、あなたの魔法であり、心の強さよ』
基地の外では、雪が静かに降り積もり始めていた。
ガンダムとザクは白く染まり、犬型ゴーレムたちが静かに見守る中、
トオルは、今日もまた、みんなの笑顔を守るために、静かに歩み続けていた。
人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、死の概念と蘇生の境界を胸に、
ただ、世界を優しく照らし続けていた。
霧の港町は、少年の光と、雪の白さに包まれながら、輝き続けていた。