杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~ 作:redhot
自衛隊基地の来客室は、雪の白い光が差し込み、静かな緊張が漂っていた。
トオルは、九歳の小さな体をソファに座らせ、杖くんを抱きしめたまま、目の前に立つ二人の男を見つめていた。
一人は、顔の左側に角のような突起を持ち、眼帯をした長身の男――ビックボスことヴェノム・スネーク。
もう一人は、片腕を失い、鋭い眼光を宿したカズヒラ・ミラーだった。
二人は、ダンジョンが誕生したことで世界から戦争や紛争が消えた今、傭兵業であるダイアモンド・ドッグズの仕事がなくなってしまったことを静かに語った。
煉獄杏寿郎が、トオルの隣で低い声で説明した。
「トオル……このお二人は、伝説の傭兵だ。
ビックボスは、数々の戦場を生き抜いた男。
自衛隊でも、その名声はよく知られている」
トオルは、優しい瞳で二人を見つめ、静かに頷いた。
「ビックボスさんと、ミラーさん……
ダンジョン探索の傭兵として、雇ってほしいんですね」
ビックボスは、静かに頷いた。
その声は低く、しかし確かな重みがあった。
「そうだ。
俺たちは戦うために生きてきた。
今、この世界に残された戦場は、ダンジョンだけだ」
トオルは、すぐに微笑んだ。
「わかりました。
二つ返事で了承します。
活動資金は、僕が出します」
そして、トオルは少し真剣な顔になって、一言だけ告げた。
「無理はしないで。
そして、絶対に死なないでね?」
その言葉に、ビックボスはわずかに目を細めた。
驚きと、どこか懐かしいような感情が、眼帯の奥の瞳に浮かんだ。
彼はゆっくりと手を伸ばし、トオルの頭を優しく撫でた。
「……ああ、約束する。
お前のような子供に、そんな言葉をかけられるとは思わなかった」
カズヒラ・ミラーは、片腕で軽く肩をすくめながら、
「ボス……この少年は、本当に規格外だな」
ビックボスは、トオルの頭から手を離し、静かにミラーに言った。
「カズ……北海道の自衛隊基地に、ダイアモンド・ドッグズの隊員たちを招集しろ。
ここが俺たちの新しい戦場だ」
トオルは、二人の言葉を聞きながら、優しく微笑んだ。
「みんな……一緒に、ダンジョンを守りましょう。
僕も、がんばります」
胡蝶しのぶが、優雅に微笑みながら、
「ふふ……トオルくん、伝説の傭兵さんたちを迎えるなんて……
本当に頼もしいですわね」
胡蝶カナエが、穏やかに頷いた。
「あらあら……活動資金まで出してくれるなんて。
トオルくんの優しさは、いつも世界を変えていきますわ」
杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。
『トオルちゃん……あなたは本当に、優しすぎるわ。
伝説の傭兵たちにまで、「死なないで」って……
それが、あなたの魔法よ』
基地の外では、雪が静かに降り積もり始めていた。
ガンダムとザクは白く染まり、犬型ゴーレムたちが静かに見守る中、
トオルは、今日もまた、みんなの笑顔を守るために、静かに歩み続けていた。
人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、新たな仲間と約束を胸に、
ただ、世界を優しく照らし続けていた。
霧の港町は、少年の光と、雪の白さに包まれながら、輝き続けていた。