杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~ 作:redhot
北海道の自衛隊基地の隣に、新たな施設が急ピッチで建設されていた。
ダイアモンド・ドッグズ基地――ビックボスの要望で、研究棟や訓練施設、倉庫、居住棟が次々と完成に近づいていた。
雪の降る白い大地に、鉄骨とコンクリートの音が響き渡る。
基地が完成に近づいた日、ダイアモンド・ドッグズの隊員たちが続々と到着した。
世界各地の戦場を渡り歩いてきた歴戦の傭兵たち。
彼らは自衛隊員の日常的なダンジョン探索を見て、静かに感心していた。
「自衛隊の連中……優秀だな。
毎日のようにあの化け物どもと戦っている」
ビックボスことヴェノム・スネークは、完成したばかりの広場に隊員たちを集め、静かに立っていた。
眼帯の奥の瞳は、いつものように鋭く、しかしどこか穏やかだった。
彼は、低く、しかしよく通る声で告げた。
「今日から、ここが俺たちの戦場だ。
俺たちが知らないモンスターが山ほどいる。
だが、俺たちは傭兵だ。
人からモンスターに変わっただけだ。
恐れるな。
装備もトオルが作ってくれる。
そして――驚け。
毎食、ダンジョン産の食材だそうだ。
ここ以外ではまず食べられない物ばかりだ」
その言葉に、隊員たちから一斉に歓声が上がった。
「うおおおっ!」「本当かよ!」「毎日あばれうしどりか!?」
戦場を渡り歩いてきた男たちの顔に、久しぶりの活気が戻っていた。
建設費については、トオルが「僕が出します」と申し出たが、
すぐに軍事産業各社から無数の寄付が殺到した。
彼らにとっては、トオルとのコネクションができるだけで、安い金額だった。
トオルは、基地の完成を見届けながら、杖くんを抱きしめていた。
九歳の少年は、少し照れたように微笑んだ。
「みんな……これからよろしくね。
無理はしないで、絶対に死なないで」
ビックボスは、トオルの頭をもう一度優しく撫で、
「ああ、約束したな。
お前がいる限り、俺たちは死なない」
カズヒラ・ミラーは、片腕で肩をすくめながら、
「ボス……この基地、なかなかいいじゃないか。
トオル少年のおかげで、飯も装備も最高だ」
ダイアモンド・ドッグズの隊員たちは、新たな戦場に胸を高鳴らせながら、
自衛隊員たちとすでに挨拶を交わし始めていた。
胡蝶しのぶが、優雅に微笑みながら、
「ふふ……トオルくん、また頼もしい仲間が増えましたわね」
胡蝶カナエが、穏やかに頷いた。
「あらあら……ダイアモンド・ドッグズの皆さんも、トオルくんの優しさに救われたようですわ」
トオルは、みんなの顔を見て、静かに言った。
「うん……みんなで、ダンジョンを守ろう。
僕も、がんばるよ」
杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。
『トオルちゃん……あなたは本当に、優しすぎるわ。
伝説の傭兵たちにまで、新しい戦場と希望を与えるなんて……』
基地の外では、雪が静かに降り積もり始めていた。
ガンダムとザクは白く染まり、犬型ゴーレムたちが静かに見守る中、
トオルは、今日もまた、みんなの笑顔を守るために、静かに歩み続けていた。
人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、新たな仲間と約束を胸に、
ただ、世界を優しく照らし続けていた。
霧の港町は、少年の光と、雪の白さに包まれながら、輝き続けていた。