杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~ 作:redhot
自衛隊基地の会議室は、雪の白い光が差し込み、静かな熱気が満ちていた。
トオルは、九歳の小さな体を椅子に座らせ、杖くんを抱きしめたまま、真剣な表情で二人の男に向き合っていた。
「新しい装備を開発したいんです。
戦場を経験してきたビックボスさんとミラーさんなら、僕が見落としている部分を教えてくれると思うので……
意見を聞かせてください」
ビックボスことヴェノム・スネークは、眼帯の奥の瞳を細め、ゆっくりと頷いた。
低く、しかし重みのある声で答える。
「隠れる装備だ。
敵から見つからない迷彩、音を殺すブーツ、気配を消すマント……
ダンジョンでは視界が悪い階層も多い。
敵の位置が分かる装備も欲しい。
小型の探知機や、魔法で周囲をスキャンできるもの。
仲間との連絡も重要だ。
距離が離れても確実に声を届けられる通信機……
実戦で命を拾ってきた者なら、誰もが欲しがるものだ」
カズヒラ・ミラーは、片腕を軽く振りながら、鋭く続けた。
「銃火器のアップグレードも必要だ。
銃弾の代わりに、チャージ式の魔法を撃てるように改造する。
魔力を込めて撃てる仕組みがあれば、弾薬の心配が減る。
携帯型の回復薬も小型化してほしい。
衝撃に強く、荷物の重量をできるだけ下げる。
接近戦用には、刀や槍以外にもナイフ、小型の斧、銃剣……
状況に応じて使い分けられるものが欠かせない」
そして、ビックボスが少し声を柔らかくして付け加えた。
「もう一つ、強い要望だ。
美味しい携帯食も必要だ。
ダンジョンは食材が豊富だが、いつも狩れるわけじゃない。
長時間の探索で、空腹は命取りになる。
味が良ければ、士気も上がる」
トオルは、二人の言葉を一つ一つ丁寧に聞き、目を輝かせた。
「隠れる装備……仲間との連絡……魔法を撃てる銃……
小型の回復薬と、携帯食……
確かに、僕が見落としていた部分がたくさんあります。
やっぱり、凄い人たちだ……」
少年は、自然と笑顔になった。
九歳の純粋な笑顔に、ビックボスはわずかに口元を緩め、
ミラーは、珍しく満足げに頷いた。
トオルは、杖くんを抱きしめながら、元気よく言った。
「わかりました!
みんなの意見をちゃんと取り入れて、新しい装備を作ります。
ダンジョンで、みんなが少しでも安全に戦えるように……」
胡蝶しのぶが、優雅に微笑みながら、
「ふふ……トオルくん、伝説の傭兵さんたちから、こんなに実践的な意見が出るとは。
本当に頼もしいですわね」
胡蝶カナエが、穏やかに頷いた。
「あらあら……携帯食まで。
トオルくんが開発すれば、きっと美味しいものができますわ」
煉獄杏寿郎が、豪快に笑いながら、
「うむ! ビックボス殿、ミラー殿!
お前たちの知恵は、トオルの力になるぞ!」
トオルは、みんなの顔を見て、嬉しそうに微笑んだ。
「うん……僕、がんばって作るよ。
みんなが笑顔で帰ってこれるように」
杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。
『トオルちゃん……あなたは本当に、優しすぎるわ。
戦場を知り尽くした傭兵たちから、学びながらも、みんなの命を一番に考える……
それが、あなたの魔法よ』
基地の外では、雪が静かに降り積もり始めていた。
ガンダムとザクは白く染まり、犬型ゴーレムたちが静かに見守る中、
トオルは、今日もまた、みんなの笑顔を守るために、静かに歩み続けていた。
人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、伝説の傭兵たちからの実践の知恵を胸に、
ただ、世界を優しく照らし続けていた。
霧の港町は、少年の光と、雪の白さに包まれながら、輝き続けていた。