杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~ 作:redhot
自衛隊基地の奥深くにある鍛冶場は、火の粉が舞い、鉄を打つ音が絶え間なく響いていた。
刀鍛冶の名人たちと肩を並べて働くのは、オベロンとティターニアが紹介したドワーフの職人たちだった。
彼らの槌は、まるで大地の鼓動のように重く、正確だった。
ビックボスことヴェノム・スネークとカズヒラ・ミラーは、トオルに案内されてその場を見学に来ていた。
眼帯の男は、火を背負って働く小さな屈強な者たちを見て、わずかに目を細めた。
一人のドワーフが、槌を置いてビックボスの方をじろりと見た。
髭を長く伸ばし、汗と煤にまみれた顔で、太い声を出した。
「お前さん。人間にしては中々やるな。
どんな武器がいい?
トオルから話は聞いている。作ってやると」
ビックボスは、一瞬言葉を失った。
戦場を渡り歩き、数え切れないほどの死線を越えてきた男が、ドワーフの率直な言葉に驚きを隠せなかった。
カズヒラ・ミラーも、片腕を軽く上げて苦笑した。
「ボス……これは本物のドワーフだ。
トオル少年の召喚した者たちとは、まるで違う迫力だな」
ドワーフは、豪快に笑いながら、再び槌を手に取った。
「はっはっは! 驚くのも無理はない。
お前さんのような戦士の匂いは、遠くからでもわかる。
ミスリルにドラグライト、老竜の骨……
お前さんに相応しい一振り、打ってやろう。
トオルが頼むなら、わしらも全力だ」
ビックボスは、静かに頷いた。
その声は低く、しかしどこか懐かしげだった。
「……頼む。
俺に相応しい、戦場で生き残れる武器を」
トオルは、少し離れた場所からその様子を見て、優しく微笑んだ。
「ドワーフさんたち、すごいよね……
ビックボスさんたちに、いい武器を作ってあげて」
胡蝶しのぶが、優雅に微笑みながら、
「ふふ……伝説の傭兵さんも、ドワーフの職人さんに一目置かれたようですわね」
胡蝶カナエが、穏やかに頷いた。
「あらあら……基地の鍛冶場が、こんなに賑やかになるなんて。
トオルくんのおかげですわ」
杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。
『トオルちゃん……あなたが繋いだ人たちと、ドワーフたちが一緒に武器を打つ。
本当に、素敵な光景ね』
基地の外では、雪が静かに降り積もり始めていた。
ガンダムとザクは白く染まり、犬型ゴーレムたちが静かに見守る中、
トオルは、今日もまた、みんなの笑顔を守るために、静かに歩み続けていた。
人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、伝説の傭兵とドワーフの出会いを胸に、
ただ、世界を優しく照らし続けていた。
霧の港町は、少年の光と、雪の白さと、鍛冶場の火の粉に包まれながら、輝き続けていた。