杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~ 作:redhot
北海道の自衛隊基地は雪にすっかり覆われていた。
基地の開発工房は、炉の熱気と魔力の光が混じり合い、夜通し明かりが灯されていた。
トオルは、九歳の小さな体で作業台の前に座り、杖くんを抱きしめたまま、静かに手を動かしていた。
無限の図書館から得た知識と、自らの魔法を融合させ、世界中の探索者や軍隊のために、新しい武具を次々と生み出していた。
「みんなが……少しでも生きて帰ってこれるように。
死ぬ人を、減らしたい」
トオルは、優しい声で呟きながら、鉄の塊に魔力を注ぎ込んだ。
まず作ったのは、一般的な「鉄の鎧」や「鋼の鎧」に似た防具だった。
ドラクエの防具を参考に、軽量でありながら驚異的な耐久性を持つもの。
ミスリルやマカライトを織り交ぜ、基本的な物理防御に加え、各属性耐性を付与した。
火属性の攻撃を半減させる赤い輝きの鎧、水属性を防ぐ青い鱗の鎧、雷属性に強い黄銅色の胸当て……
どれもが、通常の戦車装甲を上回る強度を持ちながら、動きやすさを損なわないよう調整されていた。
次に武器の開発。
剣、槍、斧、鎚など、多彩な種類に属性を付与した。
炎を纏う「火炎剣」、氷の刃を持つ「凍結槍」、雷撃を放つ「雷斧」、大地の力を宿した「大地の鎚」。
これらは、単なる物理攻撃だけでなく、魔力を込めることで属性魔法を同時に発動できる優れものだった。
トオルは、一つ一つの武器に丁寧にエンチャントを施しながら、
「これで……モンスターの弱点を突きやすくなるよね」
さらに、傷の治癒を早める指輪も開発した。
装着するだけで自然治癒力が大幅に向上し、軽い傷なら数分で塞がる。
重傷でも、致命傷を免れる時間を稼げる貴重なアイテムだった。
回数制限付きの魔導書も作った。
込められた初級攻撃魔法――ファイアボールやアイスボルト、ライトニング――を自動発動できるもの。
一冊につき十回程度の使用制限を設け、誰でも簡単に使えるよう調整した。
これらの開発は、兵器産業との共同作業で行われていた。
日本企業だけでなく、アメリカやヨーロッパの軍需企業からも技術者が派遣され、トオルの魔法と現代科学を融合させる実験が連日続けられていた。
目的はただ一つ――「少しでも死亡する人間を減らす」こと。
トオルは、作業の合間に静かに呟いた。
「僕の力で、みんなが生きて帰ってこれるなら……
それでいい」
魔法を撃てる銃の開発も進んでいた。
通常の銃火器に魔力を込められる仕組みを組み込み、チャージ式の属性弾を発射できる試作機が完成に近づいていた。
さらに、普通の銃弾を魔法で強化する実験も始まっていた。
これにより、自衛隊やダイアモンド・ドッグズの戦闘力が飛躍的に向上することが期待されていた。
ビックボスは、試作品の魔導書を手に取り、静かに頷いた。
「これは……使える。
戦場で、誰でも即座に魔法を放てる。
トオル、お前の優しさは、俺たち傭兵の命を確かに伸ばしている」
カズヒラ・ミラーも、属性剣を振ってみせ、
「重量と威力のバランスが完璧だ。
これがあれば、深い階層でも生存率が上がる」
トオルは、みんなの言葉に照れながらも、笑顔で答えた。
「うん……僕、もっとみんなが安全に戦えるように、がんばるよ。
死ぬ人が、一人でも減ればいいな」
胡蝶しのぶが、優雅に微笑みながら、
「ふふ……トオルくん、世界中の軍隊があなたの武具を待っていますわ。
本当に、すごいことです」
胡蝶カナエが、穏やかに頷いた。
「あらあら……鉄の鎧から始まり、属性武器、治癒指輪、魔導書……
どれもが、トオルくんの優しさが形になったものですわね」
煉獄杏寿郎が、豪快に笑いながら、
「うむ! トオルの武具があれば、我々はもっと深くまで潜れる!
死を減らすための戦い……素晴らしいぞ!」
炭治郎が、静かに微笑みながら、
「トオルくん……君の作ったものが、きっと多くの命を救うよ」
トオルは、みんなの顔を見て、静かに言った。
「僕……ただ、みんなが家族の元に帰れるようにしたいだけだよ。
それが、一番の願いだから」
杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。
『トオルちゃん……あなたは本当に、優しすぎるわ。
世界中の人が、あなたの武具を求めている。
でも、あなたの心はいつも、ただ「死を減らしたい」だけ……
それが、あなたの最大の魔法よ』
基地の外では、雪が静かに降り積もり始めていた。
ガンダムとザクは白く染まり、犬型ゴーレムたちが静かに見守る中、
トオルは、今日もまた、みんなの笑顔を守るために、静かに歩み続けていた。
人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、魔法の武具と死を減らす願いを胸に、
ただ、世界を優しく照らし続けていた。
霧の港町は、少年の光と、雪の白さに包まれながら、輝き続けていた。