杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

231 / 241
杖くんと守りの武具と深淵の過酷さ

北海道の自衛隊基地は白い雪に包まれていた。

開発工房では、炉の炎と魔力の光が交差し、夜を徹して作業が続いていた。

トオルは、九歳の小さな体を作業台に寄せ、杖くんを抱きしめたまま、静かに手を動かしていた。

無限の図書館とゲームの知識を基に、世界中のトップ探索者や軍隊のために、新しい守りの武具を次々と生み出していた。

「みんなが……少しでも生きて帰ってこれるように。

これで、死ぬ人が減ればいいな」

まず完成したのは、回復魔法ベホイミを込めた「力の盾」だった。

盾の表面に淡い緑の光が宿り、装備者が傷ついた際に自動的にベホイミを発動する。

重傷でも即座に命を繋ぎ、戦闘中の回復を大幅に強化した。

次に「みずのはごろも」。

水の精霊を宿したローブで、炎属性の攻撃を大きく軽減する。

炎を浴びても、まるで冷たい水に包まれるような感覚しか残らない。

「まほうのよろい」は、魔法攻撃全般を軽減する鋼と魔力の融合防具。

敵の火球や雷撃が、直撃しても致命傷になりにくくなった。

「みかがみの盾」は、ブレス攻撃を大幅に反射・軽減する鏡のような輝きを持つ盾。

竜の炎息や毒の霧を、持ち主に被害を及ぼさず跳ね返す。

「いかづちの杖」は、使用時にベギラマの効果を発動する雷の杖。

戦闘中に即座に範囲攻撃を放てる強力な武器となった。

さらに、各属性魔法を強化する「〇〇の杖」シリーズも完成した。

「ほのおの杖」「こおりの杖」「いなずまの杖」など、対応する属性の威力を大幅に高める。

どれも軽量で扱いやすく、魔力消費も抑えられている。

そして、ミスリルシリーズ。

軽くて丈夫で、魔法耐性に優れた鎧や武器の総称。

ミスリル製の胸当て、兜、剣、槍……どれもが従来の装備を遥かに超える性能を持ちながら、動きを妨げない軽さを保っていた。

これらの武具は、ダンジョン攻略のトップ探索者や自衛隊、ダイアモンド・ドッグズの精鋭に優先的に配備された。

ビックボスは、新たな「力の盾」を手に取り、静かに頷いた。

「これは……命を拾う盾だ。

トオル、よく作った」

カズヒラ・ミラーも、「みずのはごろも」を羽織りながら、

「炎の階層でも、これがあれば生存率が跳ね上がる。

お前の優しさが、俺たちの命を伸ばしているな」

トオルは、みんなの顔を見て、少し照れたように微笑んだ。

「うん……みんなが、無事に帰ってこれるように、がんばったよ。

でも……」

少年は、わずかに目を伏せた。

「これだけの装備でも、50階以上はまだ過酷だよね……

環境が変わるたびに、新しい脅威が出てくる。

僕も、もっと強くなって、みんなを守れるようにしないと」

胡蝶しのぶが、優雅に微笑みながら、

「ふふ……トオルくん、あなたの武具はすでに多くの命を救っていますわ。

それでも、まだ先がある……それがダンジョンの恐ろしさですものね」

胡蝶カナエが、穏やかに頷いた。

「あらあら……ミスリルシリーズだけでも、自衛隊の死亡率が大きく下がっています。

あなたは、十分にがんばっていますよ」

煉獄杏寿郎が、豪快に笑いながら、

「うむ! トオルの武具があれば、我々はもっと深くまで行ける!

50階の壁など、いつか必ず越えてみせるぞ!」

炭治郎が、静かに微笑みながら、

「トオルくん……君の作ったものが、僕たちの希望だ。

ありがとう」

トオルは、みんなの言葉に、優しく頷いた。

「うん……僕も、みんなと一緒にがんばるよ。

死ぬ人が、一人でも減るように」

杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……あなたは本当に、優しすぎるわ。

力の盾、みずのはごろも、まほうのよろい、みかがみの盾、いかづちの杖……

そして属性強化の杖とミスリルシリーズ。

どれもが、あなたの「みんなを守りたい」という気持ちから生まれたもの。

50階以上が過酷でも、あなたがいる限り、希望は消えないわ』

基地の外では、雪が静かに降り積もり始めていた。

ガンダムとザクは白く染まり、犬型ゴーレムたちが静かに見守る中、

トオルは、今日もまた、みんなの笑顔を守るために、静かに歩み続けていた。

人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、魔法の武具と過酷な深淵を胸に、

ただ、世界を優しく照らし続けていた。

霧の港町は、少年の光と、雪の白さに包まれながら、輝き続けていた。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。