杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

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杖くんと子供たちの理屈と守りの手

岩内の港町は、雪に覆われた静かな冬の午後を迎えていた。

漁師たちの家々から立ち上る煙が、白い空に溶けていく中、トオルの地元である佐藤家周辺は、いつもとは違う緊張に包まれていた。

トオルの家族を排除しようとする動きが、町の子供たちの間で生まれていた。

「トオルが特別扱いされている」「基地に入れるなんてズルい」「家族も一緒に町から追い出そう」――

そんな子供らしい、しかし歪んだ理屈が、小さなグループの中で囁かれていた。

計画はまだ幼稚なもので、手紙を投げ込んだり、噂を広めたりする程度だったが、

それでも深刻に受け止めたのは、周囲の大人たちだった。

警察と自衛隊は即座に動いた。

計画はまだ実行段階に至る前に、子供たちの親や教師によって発見され、

関係者全員が厳重に注意を受けた。

トオルの家族には、警察と自衛隊の精鋭による24時間体制の警備が敷かれ、

危険と判断された人物には、数人の警察官が常に見張りを付けていた。

「子供には子供の理屈があるのだろう」

自衛隊の担当者が、静かに言った。

「しかし、喧嘩を売る相手は選んだ方が良い。

ヤクザの方が、まだ生き残れる可能性がある」

トオルの家族は、基地から届けられるダンジョン産の食材を囲みながら、穏やかに過ごしていた。

父親は漁師の仕事を続け、母親は家を守り、姉と妹は学校でトオルの話を聞くたびに胸を熱くしていた。

警備の存在は、家族に安心を与えていた。

しかし、基地内でこの話を聞いた胡蝶しのぶと胡蝶カナエは、静かに、しかし激しく怒りを燃やした。

二人は同時に立ち上がり、基地の出口に向かおうとした。

「許せませんわ……子供とはいえ、あの子と家族を排除しようなどと……」

「ふふ……ちょっと、町までお話しに行ってきますわね」

その瞬間、煉獄杏寿郎、炭治郎、孔雀、王仁丸、ギムリたちが全力で二人を押さえにかかった。

五人の男たちが、必死に胡蝶姉妹の腕を掴み、背中を抱き止めていた。

「待て、胡蝶の二人! 子供に手を出してはならん!」

「しのぶさん、カナエさん……落ち着いてください!」

孔雀が、煙草をくわえたまま必死に、

「俺も腹は立つが……子供だぞ! お前らが本気を出したら、町が吹き飛ぶ!」

ギムリが、髭を震わせながら、

「はっはっは! わしらドワーフでも、こんなに押さえるのは大変だぞ!

二人とも、落ち着け!」

王仁丸が、冷たい笑みを浮かべながらも、

「甘いヤツらだな……だが、今回は俺も同意見だ。

お前たちが暴れたら、トオルが悲しむ」

胡蝶姉妹は、冷たい視線を向けながらも、ようやく動きを止めた。

しかし、二人の瞳には、まだ静かな怒りが燃えていた。

トオルは、そんな騒ぎを知らずに、基地の休憩室で杖くんを抱きしめていた。

九歳の少年は、窓の外の雪を見つめながら、静かに微笑んだ。

「みんな……元気かな。

僕、今日もがんばってきたよ」

胡蝶しのぶが、ようやく落ち着きを取り戻し、優雅に近づいてきた。

「ふふ……トオルくん、何も心配いりませんわ。

私たちが、ちゃんと守っていますから」

胡蝶カナエも、穏やかな笑顔を浮かべながら、

「あらあら……トオルくんは、ただ笑顔でいてくださいね。

それが、私たちの一番の願いですわ」

トオルは、二人の優しさに包まれ、純粋な笑顔を返した。

「うん……ありがとう。

みんながいるから、僕、がんばれるよ」

杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……胡蝶姉妹の怒りは、あなたを守るためのものよ。

子供たちの理屈も、大人たちの守りも、全部、あなたの優しさが呼んだもの……

本当に、愛されているわね』

基地の外では、雪が静かに降り積もり始めていた。

ガンダムとザクは白く染まり、犬型ゴーレムたちが静かに見守る中、

トオルは、今日もまた、みんなの笑顔を守るために、静かに歩み続けていた。

人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、地元の小さな波風と、大きな守りの手を胸に、

ただ、世界を優しく照らし続けていた。

霧の港町は、少年の光と、雪の白さに包まれながら、輝き続けていた

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