杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

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杖くんと深淵の新たなる脅威

上層はまだ比較的安定していたが、50階前後から下層にかけて、脅威度の高い新種のモンスターが次々と姿を現し始めた。

それまでの階層とは明らかに異なる、圧倒的な存在感を放つ怪物たちだった。

最初に確認されたのは、ショウグンギザミ。

巨大な甲殻を持ち、鎌のような鋭い爪で獲物を切り裂く甲殻種の王者だった。

続いてディアブロスとモノブロス。

地中を高速で移動し、角と尾で全てを粉砕する恐るべき双子の角竜。

バサルモスは溶岩を纏い、グラビモスは重力すら操るような巨体で大地を震わせた。

さらに、イヤンガルルガの俊敏な雷撃、ティガレックスの圧倒的な突進、ナルガクルガの影のような暗殺術、フルフルの電撃、ジンオウガの雷狼形態、ドドブランゴの氷の咆哮、タマミツネの泡と水の舞い、そしてイソネミクニの神秘的な毒と幻惑――

50階前後だけで、これだけの強力な新種が確認された。

自衛隊の精鋭部隊でさえ、一体と遭遇しただけで撤退を余儀なくされるほど消耗した。

ミスリル製の装備とトオルが開発した魔法の武具を身に着けていても、

一戦交えるだけで魔力と体力の限界を迎え、命からがら地上に戻ってくるのが精一杯だった。

「これが……50階の現実か……」

隊員の一人が、基地に戻ってから震える声で呟いた。

煉獄杏寿郎でさえ、ティガレックスと対峙した時は、豪快な笑顔を崩さずとも、額に汗を浮かべていた。

炭治郎は、ナルガクルガの影のような動きに翻弄されながらも、仲間を守るために必死に立ち回った。

しかし、そんな怪物たちが群れを成して襲いかかってきたとしても、

平然と、まるで散歩のように倒し続けられる存在がただ一人いた。

トオルだった。

少年は、杖くんを抱きしめながら、静かにダンジョンを進む。

ティガレックスが咆哮を上げ、ディアブロスが突進してきても、

トオルは優しい瞳のまま、手を軽く振るだけで即死魔法を放つ。

ナルガクルガの影すら捉えられず、ジンオウガの雷撃も無効化され、

タマミツネの泡も、イソネミクニの幻惑も、トオルの前では意味をなさなかった。

「みんな……ごめんね。

苦しませないように、ちゃんと安らかに……」

トオルは、倒れたモンスターの前に必ず短く黙禱を捧げた。

その姿は、九歳の少年とは思えないほど穏やかで、優しかった。

基地に戻ったトオルは、いつものように食堂でみんなと食事をした。

胡蝶しのぶが、優雅に微笑みながら、

「ふふ……トオルくん、今日も50階を越えてきましたのね。

自衛隊の皆さんが、一体で撤退する相手を、あなたは平然と……

本当に、すごいですわ」

胡蝶カナエが、穏やかに頷いた。

「あらあら……群れで来ても、あなたは変わらない笑顔ですもの。

私たちも、もっと強くならないといけませんね」

煉獄杏寿郎が、豪快に笑いながら、

「うむ! トオルよ!

お前がいなければ、我々はとっくに全滅だ!

その強さと優しさ……誇りに思うぞ!」

トオルは、少し照れたように頰を赤らめ、

「僕……ただ、みんなが笑顔でいられるようにしてるだけだよ。

モンスターたちも、生きてるんだから……できるだけ苦しませたくない」

杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……50階以降の怪物たちが群れても、あなたは平然と倒す。

それが、あなたの力であり、心の強さよ。

世界は、あなたの優しさに救われているわ』

基地の外では、雪が静かに降り積もり始めていた。

ガンダムとザクは白く染まり、犬型ゴーレムたちが静かに見守る中、

トオルは、今日もまた、みんなの笑顔を守るために、静かに歩み続けていた。

人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、深淵の新たなる脅威を胸に、

ただ、世界を優しく照らし続けていた。

霧の港町は、少年の光と、雪の白さに包まれながら、輝き続けていた。

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