杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

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杖くんと魔法書の改訂と教師たちの知恵

自衛隊基地の特別会議室は、雪の降る窓から入る淡い光に照らされ、静かな熱気に包まれていた。

トオルは、九歳の小さな体を椅子に座らせ、杖くんを抱きしめたまま、召喚された教師陣と仲間たちを前にして静かに口を開いた。

「みんな……ありがとうございます。

人類のための精霊魔法書を、もっとバージョンアップさせたいんです。

ダンジョン探索者向けに、どんな魔法が必要か。

系統はどう分けるか。

使うために必要な魔力をどうするか。

魔力の少ない人間でも使えるようにするには、どうしたらいいか……

みんなの知恵を、貸してください」

アバン=デ=ジニュアール3世は、爽やかな笑顔で拳を軽く握った。

「ははっ、少年! まずは実戦で役立つものが大事だ。

攻撃魔法はもちろん、防御と回復をしっかり。

探索者なら、暗闇や毒の階層で使える照明魔法や解毒魔法も必須だな。

系統は『攻撃』『防御』『回復』『補助』『探索』の五つに分けてはどうだ?」

マトリフは、白い髭を撫でながら厳しい目で頷いた。

「ふむ……アバンの言う通りだ。

魔力の消費を抑えるために、精霊との契約を簡略化する。

魔力の少ない人間でも使えるよう、外部の自然魔力を引き込む『媒介』を入れる。

以前の精霊魔法書を基に、詠唱を短く、効果を安定させる改良が必要だ」

ダンブルドアは、半月メガネの奥の優しい瞳を細め、穏やかに言った。

「魔力の少ない者でも使えるように……それはとても大切な視点だね。

私の経験から言うと、魔力を『共有』する仕組みを加えるといい。

探索者同士で魔力を少しずつ分け合う『リンク』のような魔法を。

系統は、精霊の親和性で『火・水・風・地・光・闇』の六属性に整理し、

初心者でも選びやすい形にしよう」

ロード・エルメロイⅡ世は、ため息をつきながら眼鏡を直した。

「はあ……面倒な仕事が増えたな。

魔力消費の問題は、魔術回路の簡略化で対応する。

低魔力者向けに、魔導書自体に魔力を蓄積させる『蓄魔』機能をつける。

系統は実用性を優先して『戦闘』『生存』『情報』に大別し、

さらに細かく枝分かれさせるのが効率的だ」

ライネス・エルメロイ・アーチゾルテは、腕を組み、傲慢に鼻を鳴らした。

「ふん、私の知恵を借りるなんて光栄ね。

魔力の少ない人間でも使えるよう、触媒を活用するのよ。

指輪や杖に魔力を預けておく仕組みを。

系統は明確に『攻撃』『防御』『回復』で分け、

各々に低魔力バージョンと高魔力バージョンを用意するわ」

エレナ・ブラヴァツキーは、目を輝かせて身を乗り出した。

「わあ、神秘の改訂ね! 大好き!

魔力を外部から引き込む『精霊共鳴』を強化して、

魔力の少ない人でも自然の力を借りられるようにするわ。

系統は『元素』と『精神』に分けて、精神系の補助魔法を充実させましょう!」

レオナルド・ダ・ヴィンチは、好奇心いっぱいに笑顔を浮かべた。

「天才の私が加われば完璧だね!

魔力の問題は、自動変換装置のような魔法回路を魔導書に埋め込む。

低魔力者でも、魔導書が周囲の魔力を勝手に集めてくれる仕組みだ。

系統は『実戦型』『探索型』『支援型』の三つにまとめ、

各々に初心者向けの簡易版を付けるのがいい」

孔雀は、煙草をくわえたまま豪快に笑った。

「ははっ、俺は実戦派だ。

攻撃と防御をガッツリ強化して、回復も忘れるな。

魔力の少ないヤツでも使えるよう、シンプルな詠唱にしろよ」

王仁丸は、冷たい笑みを浮かべながら、

「甘いヤツらだな。

魔力消費を抑えるなら、呪禁道の技術を混ぜて、

敵の魔力を逆利用する『吸魔』も入れておけ。

系統は明確に分けて、迷わないようにするんだ」

ガンダルフは、長い杖を軽く突きながら、穏やかに言った。

「中つ国の知恵を貸そう。

魔力の少ない者には、精霊との『盟約』を結ぶ儀式を簡略化する。

系統は『自然』『光』『闇』に大別し、

探索者一人ひとりに合った魔法を選べるようにするのだ」

トオルは、みんなの意見を一つ一つ丁寧に聞き、目を輝かせた。

「ありがとうございます……

攻撃・防御・回復・探索・支援……

魔力の少ない人でも使えるように、蓄魔と共有と外部引き込み……

前の精霊魔法書を、みんなの知恵で大きくバージョンアップできそうです。

これで、探索者たちがもう少し安全にダンジョンを進めるようになるよね」

杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……あなたは本当に、賢くて優しいわ。

勇者や賢者、大魔道士や天才たちと一緒に、

人類のための魔法書をさらに良いものにしていく……

それが、あなたの魔法よ』

会議室に、穏やかな決意の空気が満ちた。

トオルは、みんなの顔を見て、静かに微笑んだ。

「うん……一緒に、がんばりましょう。

人類が、笑顔でいられる世界のために」

基地の外では、雪が静かに降り積もり始めていた。

ガンダムとザクは白く染まり、犬型ゴーレムたちが静かに見守る中、

トオルは、今日もまた、みんなの笑顔を守るために、静かに歩み続けていた。

人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、教師たちとの知恵の輪を胸に、

ただ、世界を優しく照らし続けていた。

霧の港町は、少年の光と、雪の白さに包まれながら、輝き続けていた。

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