杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~ 作:redhot
北海道の自衛隊基地は、雪に覆われた白い大地に、いつものように活気が満ちていた。
滑走路に大型輸送機が着陸し、降り立ったのは金髪のショートヘアをなびかせたアレクサンド・アンデルセン神父と、彼を先頭とする武装神父隊の面々だった。
黒い神父服に銀の十字架を輝かせ、狂気じみた闘志を瞳に宿したアンデルセンは、基地の風を胸いっぱいに吸い込んだ。
「はははっ! これがトオル少年のいる基地か!
神の名の下に、ダンジョンの闇を切り裂くぞ!」
彼の背後では、ハインケル・ウーフーと由美江が、緊張した面持ちで周囲を警戒していた。
自衛隊の出迎えを受けた一行は、すぐに会議室へと案内された。
会議室では、煉獄杏寿郎を筆頭に胡蝶姉妹、炭治郎らが待っていた。
最初に行われたのは、自衛隊との連携に関する話し合いだった。
アンデルセンが熱く語る中、問題点がすぐに浮上した。
煉獄が、厳しい顔で言った。
「武装神父隊の主武装が銃であることは理解している。
しかし、10階程度までは銃でもモンスターを倒せるが、それ以降は銃で殺すのが極めて難しい。
特に弾丸の問題が大きい。
ダンジョンの深層では、通常の銃弾など通用しない怪物が多数いる」
アンデルセンは、十字架を強く握りしめ、しばらく沈黙した後、大きく頷いた。
「確かに……!
我々の銃は、人間相手には強力だが、ダンジョンの化け物どもには限界がある。
神父として、認めざるを得ん!」
由美江が、冷静に補足した。
「弾薬の補給も、深い階層では困難です。
何か、良い方法はないでしょうか?」
その言葉を受け、トオルが静かに立ち上がった。
九歳の少年は、杖くんを抱きしめながら、優しい笑顔で言った。
「僕、みんなのために試作したものがあるよ。
魔弾銃……ダイの大冒険にあったような、魔法を撃てる銃。
これなら、魔力を込めて属性弾を撃てるから、弾薬の問題も解決できると思う」
トオルは、工房から持ち出した複数の魔弾銃をテーブルに並べた。
アンデルセンには、特別にミスリル製の銃剣を複数本渡した。
銃剣には「手元に戻る」魔法がエンチャントされており、投げても失わない優れものだった。
さらに、武装神父隊全員に、ミスリル糸で編まれた神父服が贈られた。
軽量で強靭、魔法耐性にも優れた防具だった。
「協力してくれるお礼に……
みんなが、無事に帰ってこれるように、使ってください」
アンデルセンは、魔弾銃を手に取り、目を輝かせた。
「これは……神の祝福か!
少年よ、感謝する!
我々は、これでダンジョンの深淵に挑むぞ!」
話し合いが終わると、基地の食堂で盛大な歓迎会が始まった。
テーブルには、ダンジョン産の極上食材が並んだ。
エンペラーサーモンの刺身、あばれうしどりのステーキ、軍隊ガニの甲羅焼き、クリーム松茸のスープ……
アンデルセンたちは、最初は神妙な顔をしていたが、一口食べるごとに目を丸くした。
「これは……! 神の恵みか!
こんな美味いものが毎日食べられるのか!」
由美江が、フォークを止めて呟いた。
「信じられない……一流のレストランでも、こんな味は……」
トオルは、みんなの喜ぶ顔を見て、幸せそうに微笑んだ。
「みんな……たくさん食べてね。
これから、一緒にがんばろう」
胡蝶しのぶが、優雅に紅茶を淹れながら、
「ふふ……トオルくん、魔弾銃と神父服、喜んでいただけて良かったですわ」
胡蝶カナエが、穏やかに頷いた。
「あらあら……アンデルセン神父様たちも、きっと力になってくれますわ」
煉獄杏寿郎が、豪快に笑いながら、
「うむ! 新たなる仲間よ!
一緒に、ダンジョンの闇を払おうぞ!」
アンデルセンは、魔弾銃を握りしめ、狂喜に満ちた笑みを浮かべた。
「神の名の下に……我々は、トオル少年と共に戦う!
ダンジョンなど、恐るるに足らん!」
歓迎会の笑い声が、基地全体に響き渡った。
トオルは、そんな光景を眺めながら、杖くんにそっと囁いた。
「みんな……仲良くなれてよかった」
杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。
『トオルちゃん……あなたは本当に、優しすぎるわ。
神父様たちにまで、こんな温かな歓迎を……
これから、きっと素晴らしい仲間になるわよ』
基地の外では、雪が静かに降り積もり始めていた。
ガンダムとザクは白く染まり、犬型ゴーレムたちが静かに見守る中、
トオルは、今日もまた、みんなの笑顔を守るために、静かに歩み続けていた。
人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、新たな神父隊との出会いを胸に、
ただ、世界を優しく照らし続けていた。
霧の港町は、少年の光と、雪の白さに包まれながら、輝き続けていた。