杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~ 作:redhot
岩内の自衛隊基地、炭治郎の小さな個室。夜の霧が窓を白く染め、机の上のランプが柔らかな光を落としていた。炭治郎はペンを握り、家族への手紙を綴っていた。几帳面な字で、一文字一文字を丁寧に。
家族のみんなへ
元気ですか? 僕も毎日、元気にしています。
最近、基地の周りがますます賑やかになりました。トオルくんが毎日のようにダンジョンを探索してくれて、食材が次々と持ち帰られるんです。ダンジョンサーモンやあばれうしどり、ネオトマトに黄金イクラ……食堂のメニューが毎日変わって、隊員みんなが笑顔です。僕も、朝から晩までおいしいものを食べられて、感謝しています。弟妹たちにも、いつか食べさせてあげたいなって、いつも思います。
トオルくんは本当にすごい子です。七歳なのに、三十階以降の危険な場所へ毎日潜って、怪物たちを倒して素材を持って帰ってきます。僕たちは銃や刀で戦うけど、トオルくんは魔法で……それも、痛みなく安らかに、って祈りを捧げながら。見ていて、胸が熱くなります。国のために働けていることが、こんなに嬉しいなんて、初めてかも知れません。
トオルくんの仲間も、どんどん増えました。仮面ライダーさんたちや、デスナイトさん、エルダーリッチさん、妖精さんたち……それから、最近は本当に不思議な人たちが加わってくれました。グインさんという豹頭の戦士さん、指輪物語のフロドさんやガンダルフさん……そして、吸血鬼ハンターのDさん。みんな、トオルくんを守るためにここにいてくれるんです。
特に、メフィスト先生という方が新しく仲間になってくれました。魔界都市新宿というところから来た、とても腕のいい医者さんです。見た目は少し怖いけど、実は優しくて、どんな怪我や病でも治療できるらしいんです。僕、相談してみたんですよ。今度、トオルくんに頼んで、父親の体を診てもらえないかって。父親の古傷が、まだ痛むことがあるって聞いていたから……トオルくんはきっと、優しく聞いてくれると思います。メフィスト先生も、興味深そうに頷いてくれました。
みんなで、トオルくんを支えながら、毎日を過ごしています。僕も、もっと強くなって、トオルくんを守れるようになりたいです。家族のみんなも、体に気をつけて。寒くなってきたから、風邪を引かないようにね。妹たちが元気に遊んでいる姿を、想像するだけで胸が温かくなります。
また手紙を書きます。みんなに会える日を、楽しみにしています。
愛を込めて
炭治郎
手紙を封筒に入れ、炭治郎は静かに息を吐いた。ランプの光が、家族の顔を思い浮かべるように優しく揺れる。
基地の外では、霧が濃く、港町の灯りがぼんやりと浮かんでいた。食堂では、トオルがみんなと一緒に食事をし、笑顔でネオトマトを頰張っている。メフィストが黒いコートを翻し、くすくすと笑いながら、トオルの体を診察するふりをしている。
炭治郎は手紙をポケットにしまい、立ち上がった。
「トオルくん……ありがとう」
遠い家族への手紙は、霧の向こうへ運ばれていく。
七歳の少年と、その仲間たちの物語は、静かに、温かく続いていた。