杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~ 作:redhot
東京の外務省は、雪の気配すら感じさせない緊張した空気に包まれていた。
イギリス政府から、極めて公式で、しかし丁重な連絡が届いたのだ。
「トオル少年と、その杖の精霊を、イギリスへ招待したい。
エクスカリバーの件について、直接お話を伺いたい」
外務大臣は、書類を前に深く息を吐いた。
イギリス王室と政府は、トオルが公言した「エクスカリバーはアーサー王と共に眠っている」という情報を、正式に確認したがっていた。
聖剣が実在し、王を選定する力を持つとすれば、それは国家の運命すら左右する大問題だった。
「トオル少年に伝えたら、喜んで引き受けるだろう。
あちらも、手荒な真似はしないはずだ。
安全は保証されている」
大臣は、静かに頷いた。
日本政府は、即座に自衛隊基地へ連絡を入れ、日時の調整を始めた。
トオル本人の意向を最優先に、英国側と細かな協議を進めることになった。
北海道の自衛隊基地では、その連絡が届いた直後、特別会議室にトオルが呼ばれた。
九歳の少年は、杖くんを抱きしめながら、静かに座っていた。
胡蝶しのぶとカナエ、煉獄杏寿郎、炭治郎らが周囲に控え、穏やかに見守っている。
外務省の担当者が、丁寧に説明した。
「トオル君、イギリス政府から正式な招待状が届きました。
エクスカリバーのことを、直接お聞きしたいそうです。
行きたいかどうか、あなたの気持ちを最優先に考えています」
トオルは、少し驚いた顔をした後、すぐに優しい笑みを浮かべた。
「イギリス……?
エクスカリバーのこと、ちゃんと話せばいいんだよね。
みんなが困らないように……僕、行きます。
喜んで引き受けます」
胡蝶しのぶが、優雅に微笑みながら、
「ふふ……トオルくん、相変わらず優しいですわね。
イギリス側も、安全を保証してくれるそうですから、安心ですわ」
胡蝶カナエが、穏やかに頷いた。
「あらあら……エクスカリバーの話は、世界を動かしていますもの。
トオルくんが、ちゃんと答えてあげられるといいですね」
煉獄杏寿郎が、豪快に笑いながら、
「うむ! トオルよ!
お前がそう言うなら、我々も全力でサポートするぞ!
英国の皆さんも、きっと喜ぶだろう!」
炭治郎が、静かに微笑みながら、
「トオルくん……君の優しさが、また世界を繋ぐんだね」
トオルは、みんなの言葉に照れながらも、杖くんをぎゅっと抱きしめた。
「うん……僕、ただ本当のことを話すだけだよ。
エクスカリバーは、アーサー王と共に眠っている。
それを、ちゃんと伝えてくるね」
杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。
『トオルちゃん……イギリスがあなたを招くなんて、大きな一歩ね。
聖剣の秘密を、優しく伝えてあげて。
あなたなら、きっとみんなの心を温かくできるわ』
日本政府とイギリス政府の間では、日時の調整が急ピッチで進められた。
トオルの安全を最優先に、英国側も手厚い護衛を約束した。
トオルは、基地の窓から雪景色を眺めながら、静かに微笑んだ。
「イギリス……どんなところだろうね。
みんなが、笑顔になれるように、ちゃんと話してこよう」
基地の外では、雪が静かに降り積もり始めていた。
ガンダムとザクは白く染まり、犬型ゴーレムたちが静かに見守る中、
トオルは、今日もまた、みんなの笑顔を守るために、静かに歩み続けていた。
人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、遠き英国の招きと聖剣の問いを胸に、
ただ、世界を優しく照らし続けていた。
霧の港町は、少年の光と、雪の白さに包まれながら、輝き続けていた。