杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

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杖くんと境界を超えた協力と人類の限界

北海道の自衛隊基地は、雪に覆われた白い大地に、連日のように活気が満ちていた。

ダイアモンド・ドッグズの基地と武装神父隊の仮設施設が隣接し、朝から夜まで訓練の声と武器の音が響き渡る。

トオルが開発した魔法の武具を身に着けた者たちが、毎日のようにダンジョンへと潜っていた。

自衛隊の精鋭、ダイアモンド・ドッグズの歴戦の傭兵たち、そしてアンデルセン率いる武装神父隊――

彼らは、主義主張も人種も宗教も全く異なる存在だった。

共産主義を信じる者、王党派の者、無神論者、熱心なキリスト教徒……

しかし、ダンジョンを攻略するという一点において、彼らの間には何の壁もなかった。

「ここは人間同士の争いじゃない。

化け物どもの巣窟だ。

互いに足りない部分を補い合って、生きて帰る。それだけだ」

ビックボスことヴェノム・スネークは、50階の階層でそう言い、

アンデルセンは狂気じみた笑みを浮かべて頷いた。

「神の名の下に! 我々は一つだ!」

孔雀と王仁丸は、呪禁道と密法術を駆使して前衛を支え、

自衛隊のミスリル刀を持つ者たちが側面を守り、

ダイアモンド・ドッグズの隊員たちが魔弾銃で援護射撃を浴びせる。

宗教的な祈りと軍事的な指示が混じり合い、互いの弱点を完璧に補完し合う連携が生まれていた。

単独での踏破記録は、孔雀と王仁丸の60階が最高だった。

自衛隊の精鋭部隊であっても、50階が限界。

大型モンスターが群れを成して襲いかかれば、即座に撤退を余儀なくされる。

空気自体が毒素と魔力に満ち、環境の変化が激しく、視界を奪う霧や突然の地形崩壊が探索者を苦しめる。

人類の力は、まだあまりにも弱すぎた。

しかし、トオルだけは違った。

少年は、単独で深層を潜り、怪物たちの群れを優しく、しかし確実に倒していく。

彼の存在がなければ、人類は50階の壁を越えることすらできなかっただろう。

ある日、50階の森の階層で、ダイアモンド・ドッグズと武装神父隊、

自衛隊の混成部隊が巨大なティガレックスと遭遇した。

咆哮が木々を震わせ、突進が大地を抉る。

隊員たちは必死に連携して応戦したが、徐々に押し込まれていく。

「くそっ……この化け物、強すぎる!」

一人の傭兵が叫んだ瞬間、静かな声が響いた。

「みんな……下がって」

トオルだった。

少年は、杖くんを抱きしめながら、静かに前に出た。

ティガレックスが咆哮を上げて突進してくる。

トオルは、優しい瞳のまま、手を軽く振った。

即死魔法が放たれ、巨大な怪物は苦痛を感じることなく、静かに倒れた。

隊員たちは、息を飲んでその光景を見つめた。

アンデルセンが、十字架を握りしめながら笑った。

「少年よ……お前は本当に、神の使者か」

ビックボスは、眼帯の奥で静かに頷いた。

「トオル……お前がいなければ、我々はここまで来れなかった」

トオルは、倒れたティガレックスの前に短く黙禱を捧げ、

みんなの顔を見て優しく微笑んだ。

「みんな……ありがとう。

一緒に、がんばろうね」

基地に戻った夜、食堂では賑やかな声が上がっていた。

ダイアモンド・ドッグズの隊員がダンジョンサーモンを頰張り、

武装神父隊が軍隊ガニの甲羅焼きを分け合い、

自衛隊の者たちがあばれうしどりのステーキを囲む。

宗教も主義も関係なく、笑い声が響き渡っていた。

煉獄杏寿郎が、豪快に笑いながら、

「うむ! 今日もよく戦った!

トオルよ、お前がいる限り、我々は希望を失わない!」

アンデルセンが、杯を掲げて、

「神の名の下に! 我々は一つだ!」

ビックボスは、静かにトオルを見つめ、

「お前は……俺たちの希望だ」

トオルは、みんなの笑顔を見て、胸がいっぱいになった。

「うん……僕も、みんなと一緒にがんばるよ。

死ぬ人が、一人でも減るように」

杖くんが、トオルの耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……境界を超えた協力……

それが、あなたの優しさがもたらした奇跡よ』

基地の外では、雪が静かに降り積もり始めていた。

ガンダムとザクは白く染まり、犬型ゴーレムたちが静かに見守る中、

トオルは、今日もまた、みんなの笑顔を守るために、静かに歩み続けていた。

人類史上最大の魔法使いは、九歳の心で、深淵の脅威と仲間たちの絆を胸に、

ただ、世界を優しく照らし続けていた。

霧の港町は、少年の光と、雪の白さに包まれながら、輝き続けていた。

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