杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

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杖くんと世界の視線

岩内自衛隊基地は、霧の向こうに異様な緊張感を帯びていた。

各国から派遣された特殊部隊と科学者、学者たちの訪問団が、次々と基地に到着していた。アメリカのデルタフォース、ソ連のスペツナズ、イギリスのSAS、フランスのGIGN、西ドイツのGSG-9……そして、各国の生物学者、物理学者、兵器工学者たち。総勢百名を超える異国の面々が、厳重なセキュリティチェックを受けながら基地内に入った。

各国に割り当てられた宿舎は、基地の外れに急ごしらえで建てられたプレハブ群。薄い壁越しに、各国の母語が飛び交う。

アメリカの特殊部隊隊長が、地図を広げて低く言った。

「ミスリル刀、マカライト製の盾、プロテクター……自衛隊がすでに実戦投入してる。あれを見せてほしいな。どうやって加工してるんだ?」

ソ連のスペツナズ将校が、煙草をくゆらせながら頷く。

「ポポの家畜化実験もだ。あの巨体を飼いならすなんて……我々の極寒地帯でも使えるぞ」

フランスのGIGN隊員が、静かに付け加えた。

「トオルくんのライトセーバー訓練、見たか? 魔力の刃だ。あれを解析できれば……」

科学者たちは、別の部屋で興奮を抑えきれずにいた。生物学者が顕微鏡を覗きながら、

「ゼノモーフの遺体……本物だ。酸の血液、耐酸性血管、感覚器……映画が現実になった瞬間を見た。歓喜で失神する者が出たのも無理はない」

物理学者が、映像を繰り返し再生しながら、

「ライトセーバー……純粋なプラズマの刃。エネルギー密度が異常だ。どうやって安定させてる?」

夕食の時間になると、食堂は各国からの訪問団で埋め尽くされた。

テーブルには、ダンジョン産の食材が並ぶ。あばれうしどりの霜降りステーキ、軍隊ガニの甲羅割り、ダンジョンサーモンの刺身、ネオトマトのサラダ、黄金イクラのちらし……。トオル謹製のポーションも、小瓶に入れられて研究材料として配られた。

アメリカの科学者が、ステーキを一口食べて目を閉じた。

「これが……あばれうしどりか。投資価値がある」

ソ連の学者が、ポーションを慎重に味わい、

「再生促進剤……これを量産できれば、戦場が変わる」

フランスの生物学者が、ゼノモーフのサンプル写真を見ながら、

「遺体を見た時……本当に失神した。映画の監督が泣いたのもわかる」

夕食の最中、トオルは食堂の隅でみんなと一緒に座っていた。七歳の少年は、杖くんを抱きながら、各国の視線を感じて少し照れくさそうに笑った。

「みんな、美味しい?」

訪問団の面々が、一斉に頷く。デルタフォースの隊長が、トオルにグラスを掲げた。

「坊や……ありがとう。俺たちの国でも、こんな食事は味わえない」

特殊部隊の者たちは、ミスリル刀やマカライト製の盾を眺めながら、互いに囁き合った。

「これを見せてほしいな……実戦でどうなるか」

「ポポの家畜化……あれも、俺たちの極寒地帯で試したい」

科学者たちは、ポーションの小瓶を手に、興奮を抑えきれずにいた。

「治験を繰り返せば……難病が治る。スポーツ界だけじゃない、軍事医療も革命だ」

トオルはみんなの笑顔を見て、胸が温かくなった。

「僕、もっと採ってくるよ。みんなが、元気でいられるように……」

杖くんが耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……世界中が、あなたの優しさに集まってるわ。基地が、みんなの希望になってる』

食堂の外では、雪が静かに降り続いていた。ガンダムとザクが広場に立ち、犬型ゴーレムたちが山を守り、エルフの戦士たちが訓練を続ける。

各国からの訪問団は、夕食を終え、宿舎に戻りながら、互いに囁き合った。

「次はどんな素材が出てくるか……」

「トオルくんがいる限り、世界は変わり続ける」

人類史上最大の魔法使いは、七歳の心で、世界の渇望と希望を、静かに受け止め続けていた。

霧の港町は、鋼と魔法と、国際的な視線に包まれながら、輝き続けていた。

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