杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

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杖くんとダイアモンド・ドッグズの驚愕

アフガニスタン国境近く、ダイアモンド・ドッグズの隠れ基地。砂埃の舞うテントの奥で、ヴェノム・スネークは葉巻をくわえたまま、スクリーンに映る映像を無言で凝視していた。隣にはオセロットが腕を組み、コードトーカーが静かに座っている。

映像は岩内自衛隊基地から極秘ルートで入手したものだった。十八メートルのRX-78-2ガンダムとMS-06SザクII S型が、雪の広場で資材を軽々と運び、エルフの子供たちを掌に乗せて遊ばせる姿。青白い魔力の光が刃となり、トオルがオビ=ワンやルーク、ベイダーの動きをトレースするシーンも含まれていた。

ヴェノム・スネークが低く呟いた。

「……科学じゃない。魔法だ。だが、サヘラントロプスを凌駕している。二足歩行の安定性、出力、機動性……あれはもう兵器の域を超えている」

オセロットがリボルバーを指先で回しながら、薄く笑った。

「ええ。サヘラントロプスは核を背負った移動プラットフォームでしたが、あのガンダムとザクは……もっと純粋に『力』です。しかも、創造主が八歳の少年。全ては人のために使われている。それだけが唯一の安心材料ですね」

コードトーカーが、皺深い顔を上げて静かに言った。

「私は一度、あの少年と話してみたい。声帯虫の平和的な解決方法を知っているかもしれない。あのポーションや、メフィストという医師もまた、違った解決方法を持っている可能性が高い。輸入を検討する価値はあると思う」

ヴェノム・スネークは葉巻の煙をゆっくりと吐き出した。

「イルカ型や犬型ゴーレムが、世界中で人間を救っているのがその証拠だ。あの少年は、兵器として使おうなどと考えていない。だが……XOFがこれを狙っているのは確実だ。サヘラントロプスを上回る二足歩行兵器を、魔法で生み出す技術……Skull Faceが黙っているはずがない」

オセロットが目を細めた。

「ヴェノム、今の我々はXOFとの戦いの最中です。トオルくんの技術に手を出せば、世界のバランスが一気に崩れます。冷戦など、子供の遊びになるでしょう」

コードトーカーが静かに頷いた。

「だからこそ、まずは話をするべきだ。あの少年の優しさが、声帯虫の未来を変える鍵になるかもしれない」

テントの外では、砂嵐が吹き荒れていた。ダイアモンド・ドッグズの旗が激しく揺れる中、三人は映像をもう一度巻き戻した。

ヴェノム・スネークが、静かに言った。

「……トオルか。八歳の少年が、世界を変える鍵を握っているとはな」

遠く岩内では、トオルが食堂でみんなと一緒にダンジョンサーモンを食べていた。七歳の少年は、杖くんを抱きしめながら、優しく笑う。

「みんな、元気でいてね……」

杖くんが耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……世界の影が、あなたに注目してるわ。でも、あなたの心は変わらない。それが、一番強いことよ』

基地の外では、雪が静かに降り続いていた。ガンダムとザクが広場に立ち、犬型ゴーレムたちが山を守り、エルフの戦士たちが訓練を続ける。

ダイアモンド・ドッグズは、トオルの創造した鋼の巨人に驚きながらも、静かに次の手を考えていた。

人類史上最大の魔法使いは、七歳の心で、世界の欲望と希望を、静かに受け止め続けていた。

霧の港町は、少年の優しさと、鋼の影に守られ、輝き続けていた。

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