杖くんと七歳の魔法使い ~深淵から帰還した少年は、今日もみんなの笑顔を守る~   作:redhot

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杖くんと妖精の騎士と勇者

家族向けバーベキュー広場。

あばれうしどりのステーキがジュージューと音を立て、ダンジョンサーモンの香ばしい匂いが漂う中、子供たちの輪がトオルの周りにさらに密集していった。

「もっと魔法見せて!」

「違う精霊さんも呼んで!」

「妖精さん! 妖精さん!」

幼い女の子がトオルの袖を引っ張り、男の子たちが目を輝かせてせがむ。

トオルは杖くんを抱いたまま、困ったように笑った。

「えっと……誰を呼ぼうかな」

そう考えていると、突然、虚空から柔らかな声が響いた。

「私(僕たち)を呼んで」

トオルの瞳がぱっと明るくなる。

「来て」

杖を軽く振ると、空間が淡く歪み、四つの光が現れた。

最初に現れたのは、立派な体躯の女性騎士。

金色の長髪をなびかせ、銀と青の鎧に身を包んだ妖精国の妖精騎士――バーゲスト。

背が高く、堂々とした佇まいながら、瞳は優しく、口元には穏やかな微笑みが浮かんでいる。

その背には、妖精の翼を模したマントが広がり、剣を携えた姿はまさに騎士そのもの。

続いて現れたのは、少年と猿のコンビ。

少年――エスパークスは、赤いマントを翻し、勇ましい表情の少年剣士。

頭には小さな角のような飾り、腰には剣を下げ、まるで勇者のような凛々しさ。

その肩に乗っているのは、キー助。

茶色い毛並みの猿で、人間の言葉を話せる相棒。

小さな体に赤いマフラー、賢そうな目がキラリと光る。

最後に、ナイトガンダム。

SDガンダム外伝の騎士姿のガンダム。

銀色の鎧に青いマント、剣と盾を携え、背中に小さな翼。

身長は人間大だが、存在感は圧倒的。

子供たちは一瞬息を飲み、次の瞬間、大歓声。

「わあああ!」

「騎士さん! 猿さん! ガンダムさん!」

子供たちが一斉に駆け寄り、バーゲストの脚に抱きつき、エスパークスのマントを引っ張り、キー助を肩から引きずり下ろし、ナイトガンダムの盾にしがみつく。

バーゲストは驚いた顔で両手を広げ、慌てて子供たちを抱き上げた。

「わ、私を抱きしめられるとは……! こ、このような小さな者たちに……」

彼女の頰がわずかに赤らむ。

優しく子供たちを両腕に抱え、ぎこちなく微笑む。

「え、ええと……お、お前たち、元気だな……」

キー助は子供たちに囲まれ、慌ててエスパークスの肩に戻ろうとする。

「キー! こら、離せキー! 俺は相棒であっておもちゃじゃねえぞ!」

エスパークスは苦笑しながら、子供たちに優しく手を差し伸べる。

「大丈夫だよ、キー助。みんな、怖がらせないでね」

ナイトガンダムは無言で子供たちを見下ろし、ゆっくりと膝を折ってしゃがむ。

小さな手が盾を差し出し、子供たちがその上に登る。

トオルはバーゲストに近づき、穏やかに言った。

「バーゲストさん……来てくれてありがとう」

バーゲストは子供たちを抱えたまま、トオルを見下ろした。

その鼻が、ふっと動く。

「……マシュの匂いがする」

トオルは頷いた。

「はい、マシュはいますよ。僕を助けてくれてます」

バーゲストの瞳が優しく細められる。

「そうか……マシュ・キリエライトがここに。彼女は元気か?」

「うん! 元気です。いつも盾で守ってくれて……」

バーゲストは深く頷き、微笑んだ。

「ならば安心だ。あの娘は……強い心の持ち主だからな」

子供たちはバーゲストの鎧に触れ、キー助の尻尾を引っ張り、ナイトガンダムの翼を撫で回す。

広場は笑い声で溢れ、軍人たちも家族たちも、静かにその光景を見守っていた。

アメリカ軍人の一人が、隣の男に囁いた。

「見てみろよ……あんな小さな子が、こんな連中を呼び出してる」

もう一人が、感嘆の息を漏らした。

「エルフに妖精騎士に……勇者と猿とガンダムか。俺たちの世界じゃありえねえ」

バーベキューの煙が立ち上る中、トオルはみんなの笑顔を見て、胸が温かくなった。

「みんな、楽しそう……よかった」

杖くんが耳元で優しく囁いた。

『トオルちゃん……あなたの優しさが、みんなを繋いでるわ』

コッコロは子供たちに囲まれながら、長い耳を触られても嫌がらず、優しく笑っていた。

広場は、魔法と笑顔と、焼ける肉の香りに満ちていた。

七歳の魔法使いは、ただ静かに、みんなの幸せを願っていた。

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