貞操逆転世界でクールな先輩にオスガキムーブかましてたら普通に押し倒された   作:しゃふ

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最終話 僕がオスガキをやめた日

 

「脱がすの、手伝って、センパイ」

 

 立ち去ろうとするセンパイへ、ぼくは、ただ一言だけ、そう呟いた。

 

「……天音」

 

 瞬間、センパイの足が止まる。

 ピタッと、ドアの前で、背中を向けたまま。

 

「一人で、脱げるでしょ」

 

「今日のぼくは、王様なので。

 そんなめんどくさいこと、一人でしないんです」

 

 センパイはこっちを向かない。

 それじゃあ駄目だ。

 

 センパイは、もっと、僕を見てくれないと。

 

「こっち向いてくれないと、約束、破っちゃいますよ?」

 

 すこし強引だけど、でもいい。

 赤く火照った僕の身体は、今もずっと、センパイを求めて、止まない。

 

 そして。

 

「……わかった」

 

 センパイが近づいてくる。

 ゆっくりと、その細い足を動かして。

 

 作戦、成功だ。

 

 僕は、センパイが脱がせやすいように、シャツをめくって、お腹を見せてあげる。

 

 恥ずかしい、けれど。

 もう、そんなの言ってられない。

 

 そう思って、僕がセンパイの顔をチラリと見たとき。

 

 その顔は、耳の横にあった。

 

 

「——襲われたいの、天音」

 

 瞬間、呟かれた言葉。

 吐息混じりと重い声に、脳が揺れるのを感じる。

 

 けど。

 

 この言葉、前にも聞いた。

 あのときは、ずいぶんと取り乱しちゃって、好き放題されちゃったけど、今の僕は違う。

 

 ふふっ、舐めてもらっちゃ、困るのだ。

 

「どうでしょうか、センパイ。

 センパイなら、分かるんじゃないですか」

 

 ごく、自然に。

 僕はセンパイの頬に触れた。

 

 暖かい感触が、手に伝わる。

 一瞬のうちに、互いの体温が混ざり合って、センパイの頬も、染まりだす。

 

「……あまね」

 

 センパイの手が、僕の身体に触れる。

 正確には、服の中に。

 

 ——脱がされる。

 

 直感的に分かった。

 

「いい、ですよ。センパイ」

 

 抵抗はしない。

 むしろ、僕は彼女に身体を預けて、脱がせやすいように、腕を差し出す。

 

 そして、瞬きをする間もなく。

 僕の上半身はセンパイのもとへ晒け出された。

 

 雨で濡れていることもあって、少し、寒気を感じる。身体はこんなに熱く火照ってるのに、不思議だ。

 

 僕は温もりを求めるため、センパイにくっついた。下着姿の、センパイに。

 

「今日は、甘えてもいいんですよね、センパイ」

 

 安心する。

 こうやって、センパイにひっついて、抱きついて、ずっと、ぎゅってしてもらえたら。

 僕は、それだけで生きていける。

 そんな気さえ、してくる。

 

 ……だって、僕は。

 センパイの、ことが——

 

 そう思ったときだった。

 

 

 

「——やっぱり、やめよう。

 あまね」

 

 センパイの手が、離れた。

 

 ……いや、違う。

 

 離れてはいない。

 ただ、場所が変わった。

 

 服の中から、僕の、頭の上に。

 

「天音は、良い子だから。

 もっと、ゆっくりでいいんだよ」

 

 ぐりぐりと撫でられてる。

 愛情に溢れた、センパイらしい、優しい手が僕の頭をさすった。

 

 その行為はいつもなら、大好きな行為で、してもらったとき、センパイが恋しくてなって、夜も眠れなくなっちゃう、そんな行為。

 

 でも、だからこそ。

 

「こういうのは、まだ、はや……」

 

 今は、いやだ。

 

「——言わせませんよ、センパイ」

 

 僕はセンパイの言葉が放ち終わる前に動く。

 言葉には、させない。

 そのための方法は、一つしかない。

 

 センパイの顔は、もうすぐそこだ。

 何回も、やられたから、やり方はわかってる。

 

 ……センパイが、教えてくれたから。

 

 そして、僕は。

 

 センパイの唇に、自らの唇を押し当てた。

 

「……ぁま、ね」

 

 言わせない。

 

 心臓は嘘みたいに煩くなってるし、手はブルブルと震えている。

 けど、センパイが教えてくれたこの行為は、やめない。

 

 何秒も、何十秒も、何分も、口付けは続く。

 ただ、唇をくっつけるだけじゃ、ない。

 ずっと、深く、重いものだ。

 

 ふふん、いままで、いっぱいされてきたんです、ぼくだって、すこしは上手になってるでしょう。センパイ。

 

 そう思って、センパイの顔を覗いたとき。

 

 センパイの目は、まるで溶けるように、とろんとしたものへ変わっていた。

 

 今しか、ない。

 

 僕はゆっくりと、センパイから口を離す。

 そして、すぅーと、息を吸って。

 

 

 ——最後の、オスガキを呼び起こした。

 

 

「……あれーっ?

 もしかして、怖気付いちゃったんですかぁ?

 センパイっ??」

 

 とろけきった甘い声、少し上擦った高い声は、センパイのため、何度も練習してきたものだ。

 ……センパイを、堕とすために。

 

「あま、ね——ぁ、ん」

「言わせません」

 

 口付けは、やめない。

 センパイがなにかを発しようとするたび、僕は唇をくっつけて、言葉を止める。

 

 ——ふふっ、こうしたら。

 もう反論できないでしょ。

 センパイ。

 

「ま、センパイみたいなヘタレさんなら仕方ないかもしれませんけどねっ?

 こんなちゅーだけで顔真っ赤にしちゃって、もう、ヘンタイさんなんですから」

 

 身体も、くっつける。

 お互いの肌をひっついて、センパイとまるで一つになったような、そんな感覚。

 

 けど。

 

 ほんとの、意味で、一つになるには。

 センパイの方からも、僕を求めてくれないとダメだ。

 

 だから、近づく。

 センパイが離れてしまうたびに、身体をぶつけて。……もう、逃してなんてあげない、

 

 ——それに、ぼくにはわかる。

 

 

 センパイは、やられっぱなしじゃないでしょ。

 

「ほら、いいですから。

 ちゃんと、してください」

 

 唇を、離す。

 互いの唾液が混じって、糸を引いた体液が、僕のお腹へと落ちた。

 

「いままで、さんざんしてきたんですから。

 ここでお預けとか、そんなのは、なしです」

 

 僕は、まるで挑発するかのように、センパイの首元に歯を押し付ける。

 ふふ、まえの、しかえしだ。

 

「センパイみたいなザコさんに。

 僕がやられると思いますかぁ??

 むしろ、ヘトヘトになるまで、メロメロにしてあげます」

 

 何度も、何度も、声を放つ。

 

 目の前のセンパイは、もう、僕の顔から、目を離さない。くっついた身体には、力がぐっとこもって、もう、動けやしない。

 

 ——そして。

 

「だから、いいですから、ぼくに——」

 

 そう、言いかけた瞬間だった。

 

「天音」

 

 ドン、という音とともに、僕の身体はベッドへと倒れ落ちる。

 

 ——押し倒された。

 そう、理解するのは早い。

 

「——ふふっ、やっと、本気になってくれましたか」

 

 目の前にいるのは、まるで獣のように、息を吐くセンパイ。掴まれた手首は、力を入れてもピクリとも動かない。

 

 こうして、待ち受けていたのは一つの結末。

 

 えへへ、やっぱ。

 勝てないみたいだ、センパイには。

 

 ——誰かが言っていた。

 

 オスガキというものは、心に宿るって。

 オスガキとしての矜持を失ったとき、僕は、ただの男の子になってしまうって。

 

 じゃあ、今の僕は駄目だろう。

 

「あ、あれ、あの、ちょっと力つよすぎませ——ひゃ、ちょ、センパイっ!? そ、そこは、やぁ、だめ、です」

 

 だって。

 

「……あまね、ほんとに」

 

「……いいです、からっ!

 センパイの、好きなようにしてください。

 センパイなら、いいですから」

 

 こんな風に、センパイにむちゃくちゃにされるのを、望んでしまってるんだから。

 

 こうして、僕はこの日。

 

 

 ——オスガキを卒業した。

 

 

 

 

 数時間、後。

 

「シ、シちゃい、ましたね、最後、まで」

「——うん」

 

 すべては、おわっていた。

 隣には、センパイがいる。

 ……なにも着てなくて、はだかの、センパイが。

 

 す、すごかった、あんな、センパイ見たことがない。

 い、いっぱい、かまれて、ちゅーされて、そし、て……

 

 思い出すだけで、頭は沸騰するほどに熱くなる。け、けっきょく、やられっぱなし、だった、し、ほとん、ど。

 

 ……外は、もう夜だ。

 

 あのまま、ずっと、シてたのか、ぼくたち。

 ご飯も、食べずに、ずっと。

 何回も、何回も。

 

 身体を見る。

 そこには、いくつもの赤い痕がついていた。

 センパイにつけられた、愛痕が。

 

 思わず、顔が真っ赤に火照る。

 

 

 ……せ、せんぱいは、どうなんだろ。

 

 そう思って、僕は隣のセンパイの顔を覗き込む。

 

 すると、目が、あった。

 

「……あまね」

「は、はい、せんぱい」

 

 

「——約束、聞かせてくれる?」

 

 直後、センパイから放たれた言葉。

 それを理解すると同時、僕はゆっくりと息を吸う。

 

 そして。

 

「——好きです、センパイ」

 

 僕は、自らの想いを伝える。

 

「会ったときから、ずっと。

 センパイのことが、好きでした」

 

 ずっと、ずっと。

 ぼくは、最初から、センパイに夢中だった。

 オスガキなんてものをしたのも、ぜんぶ、センパイに、少しでも僕を見て欲しかったからだ。

 

 そして。

 

「私も、同じ。

 天音のことが、好き」

 

「えへへ、知ってます。

 センパイは、僕のことが大好きですもんね」

 

 僕はセンパイに抱きつく。

 ……だいすきな、センパイに。

 

「ずっと、一緒ですよ。センパイ」

 

 センパイの体温が、暖かさが、伝わって。

 すごく安心する。

 このまま、永遠にこうしていたい、そう思えるくらいに。

 

 ……でも。

 今日はもうおしまいだ。

 ケーキもあるし、食べ終わったらお家にも、帰らないといけない。

 

 

 けど。

 

「あ、あれ?

 なんでまた、手、掴んでるんです?

 センパイ?」

「……天音、もうちょっと、できるよね?」

 

 

「——へ?」

 

 どうやらセンパイは、まだまだ、満足してくれてなかったみたいだ。

 

「ひゃ、ちょっ!?

 も、もうむりですって、ぁ、だめ、センパイっ」

「天音が悪いんだよ。

 そんな可愛い顔するから」

 

 

 どうやら、ぼくらの夜は、まだ終わってくれないらしい。

 

 

 ふふっ、センパイのえっち。

 




【エピローグ】

 文芸部、部室。
 静寂に包まれていたその空間は、今や毎日のように騒がしい声が響き渡っている。

「えーっ?? センパイ、もしかしてあの程度で僕を堕とせたと思ってたんですかぁ?
 ふふん、最後の方はいっぱいえっちな声出しちゃってたくせにぃ?」
「出してないけど。
 むしろ、天音の方でしょ、それ」
「……んっ、あれはせんぱいがわるいですもん。
 あんなヘンタイなやつ、ぼくしりませんし」

 いつものように、センパイの膝の上に座っているのは僕だ。
 最近はもう、ここ以外に座ることはなくなった。

 ふふん、だって。

 ——僕はセンパイの恋人なんだから。

「ん、そうだね」

 頭を撫でられる感触。

 やっぱ、好きだな、これ。
 そんなことを思いながら、僕は今日もセンパイに向かって声をかける。

「お、わかってくれましたか。
 ふふふ、やはりセンパイはヘンタイさんですか」
「うん、そうかもね、天音」

やけに素直なセンパイ。
 僕は若干の違和感を覚えながら、彼女へと頭を預けようと身体を動かす。

 けど、その瞬間。

「——なら、仕方ないよね。
 天音」

 センパイの両手によって持ち上げられた僕の身体は一瞬のうちに本棚へと押し付けられる。
 
 ……ん、もう。
 仕方ないんだから。

「いいですよ、センパイ。
 その代わり、ヒーヒー言わされても文句言っちゃダメですよ?」

 ま、やるからには本気である。
 なんてったって、僕は。

 ——オスガキなんだから。

 センパイの手が、僕の肩に伸びる。
 何度も経験した行為。
 でも、いつまで経っても、慣れそうにない、甘い、悦楽。

「あ、ちょ、らめぇ、せんぱい、そこは、ひゃっ!?」


 ふふっ、どうやら。
 僕がオスガキをやめるのはもう少しだけ、後になりそうだ。


「——大好きですよ!
 センパイっ!」


 これにて完結になります!
 が、番外編的なのはいくつか書こうと思いますし、オスガキが恋しくなったら続きの話もするかもしれません。もしくはr18版を書くかも。
 そこらへんはまた後日考えようと思います!
 それでは、お読みいただきありがとうございました!
 皆様に良きオスガキが現れることを願っています。
 では!
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