長生きしすぎは体と心に良くない   作:ババン

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投稿めっちゃ遅れました、ごめんなさい
縄文時代から刻んで書くのはさすがに話が進まなくて断念しました

なので時間めっちゃ飛びます




二巻目

 

 たしか△月#日

 

 8000年分生きるどころか寿命100歳弱で尽きることが確定したようだ。まさか転生した先が縄文時代とか誰も思わないだろ。

 …まぁやれるだけのことはやろう、それまではかぐやを一人残すわけにはいかない。

 

 かぐやが神様と崇められて、そして俺が神の子としてここに住まわせてもらってから早くも数十年の時が過ぎた。それまでの出来事といえば、この時代の生活様式を覚えるので大変だった。狩りの仕方や、武器の作り方。どんな植物が可食物なのかとか。釣りに関しては現代と変わらずだったが、道具はさすがにお粗末なもの。狩りや釣りなどと言ったものは長や住民のみんなに止められたが、ここに住まわせてもらう以上何もしないわけにはいかない。最初のほうは擦り傷や切り傷といった軽傷が多く大変だった。今では付き添い抜きでも食料調達を熟せるようになった。

 服装に関しては肌触りの悪さと試着したときに「これはマズイ」と本能的に何かを感じ取り、着用をやめた。

 それとどうやらこことは別の集落が遠くのほうにあるらしく、物々交換をしながら交流をしたりもした。目まぐるしく大変な時ではあったけれど、集落の住人たちと仲良くなれたのは嬉しいことだった。

 食事に関しては仕方ないとはいえあんまり美味しくなかったけども…。

 

 そういえばこの数十年の経過で髪や爪が一切伸びたり、髪が抜けるなんてことがなかった。人であるなら否が応でも、成長に加え老いが進行するといったことがあるがそういった身体的変化が一切なかったのだ。このことから俺は転生時に『不老不死』の体質を得たんじゃないかと憶測を立てた。

 不老不死といえば、読んで字の如く『老いることもなければ死ぬこともない』という、転生モノの主人公ならば(恐らく)誰しもが持つもの。もしそうなら8000年という長い時を耐えられるかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 記憶通りなら#月@日

 

 現在年号は『平成』、あれから十どころか百飛んで数千年以上の時が経過した。人や国同士の戦争とともに、科学が発展していき今やっと、俺の知るインターネット普及の時代がやってきたのだ。

 あの縄文時代の△月#日に書いたものがもう懐かしく感じる。これを書くのもだいぶ久しぶりだ。それまでの日記は余裕がなくて書くことができなかったが、今はいろいろと余裕ができたので書き記すことができそうだ。

 

 

 まず縄文時代に住んでいた集落についてだが、俺とかぐやを除いて全員が死亡。これは気候変化が原因だった。狩りも順調、海産物も多く取れるようになりだした辺りからだろうか、少し肌寒く感じるようになった。それまでは気のせいだと思って過ごしていたが、日を追うごとに気温は下がり続ける一方。真冬並みの寒さなので獣は活動しなくなり、海産物の捕れ具合も低迷が続いた。木の実だけでは腹の足しになんてなるわけがなく、結果として食料調達がままならなくなり、集落の全員が飢え死にした。

 一人、また一人と飢えに苦しみながら息を引き取る住人たちを、俺達はただ見ているだけしかできなかった。

 

 

 なんでおれだけしぬことがなかったんだ…おれもいっしょにしねたらよかったのに…

 いやかんがえるな…かぐやのねがいをかなえなきゃだろ(・・・・・・・・・・・・・・・・)、それまではしんだらだめだ(・・・・・・・・・・・・)

 

 

 そこからはあまり思い出せていない。気が付けば縄文時代に住んでいた規模以上の集落に身を置いていた。かぐやが言うには、俺の状態は「一言も話さない状態だったがうなずく反応だけはしていた」らしい。そこからかぐやが指示を出したりして、どうにかして俺を死なないように立ち回ってくれたそうだ。かぐやには感謝してもしきれないな…。

 

 

 

 

 そうして弥生・平安・安土桃山・江戸・明治と、時代の移り変わりを目の当たりにし、その時代に生きる人たちとの交流を経て、俺とかぐやはどうにか生きてきた。賊に襲われたり、戦争に巻き込まれたりもした。その際、放火被害にあってほぼ全身火傷を負い肌が焼け爛れ、俺の不注意で物理的に左腕を失った(・・・・・・・・・・)。この日記は今、片腕を失った状態で記している。

 

 戦火といえば昭和の頃はさすがに死ぬかとおもった。その時は『第二次世界大戦』が終結する前、まだ敵対していたアメリカ軍の爆撃を受けた。『東京大空襲』だ。その時の俺は身を隠しながら生きなければならない状況であったがため、空き家や廃墟を転々としながら生活していた。少しずつ俺たちの時代に近づいている、かぐやの願いをもうすぐで叶えられそうだ。そんな時にあの空襲が起きた。起きてしまった。

 東京は一夜にして焦土と化した。幸いにも俺達が拠点としていた建物は、爆風や爆炎に晒されながらも形だけはどうにか保っていたようで被害はそこまでではなかった。

 爆撃が終わり、外へ出てみれば辺り一面焼け野原。瓦礫に埋もれた人、それを助ける人、いなくなってしまった親を泣きながら探す子供、爆炎で全身焼け焦げた死体も。

 日本に甚大被害を負わせた世界大戦は、アメリカ軍による広島・長崎への原爆投下という攻撃を最後に、ポツダム宣言を以って終戦を迎えた。

 

 この出来事は俺にとっての悪夢となった。今でも夢に見てしまい、夜な夜な戻して(吐いて)しまう時がある。夢を見るのが怖くて寝ない日もあり、今では吐くことはなくなったが俺の中では永遠に消えない傷となっている。

 

 

 

 ところでかぐやについてだが、ある時を境に酒寄彩葉の記憶が朧気になり始めていた。『人の記憶は相手の記憶を忘れていくとき、まず声から忘れていく』という話をどこかで聞いたことがあるが、その時のかぐやが正にそれ。必死に思い出そうとしても違和感を感じ、「彩葉の声と違う」と泣いていた。俺はその少女の話をかぐやからでしか聞いたことがないため、ただ気休め程度に撫でて慰めることしかできなかった。

 幸い、声以外のほとんどのことは何とか覚えているようで、かぐや自身も酒寄彩葉との繋がりが完全に消えていなかったので安心した。

 

 目的のために「もと光る竹が必要だ」とかぐやは言っていたが、片腕の俺ではあの重いタケノコを現在保管されている『正倉院』から運びだすことは難しい。よしんば運び出せたとしても、一人ではリスクが高い。誰か協力者が必要になってくるが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 %月&日

 

 未だ定住がなく放浪状態の俺はかぐやとともに、一旦気分転換に目に入ったバーへ向かった。もう数千年生きているので未成年飲酒の法律は適応されないと思い、俺は思い切って酒を飲んでいた。さすがにいきなり度数高めのは怖かったので、カクテルを頼んだけど。初めての酒は、普通にジュース感覚で飲むことができた。

 

 そこで俺たちは一人の外国人男性と知り合った。言葉を話すウミウシと会話しているところを偶然見られ、声をかけられたのが経緯だ。酒を飲みながら会話し俺たちの素性を打ち明けると、「そうだと思っていたが、少年のほうは予想外だったな」と癖のある笑みで返した。彼の素性もそこで打ち明けられたがなんとCIA職員なんだそうだ。

 俺たちは彼に正倉院への侵入と、そこに保管されているもと光る竹の盗みに協力、加えて俺たちの居住地を確保してもらえないかとダメ元で頼んでみた。かなり無茶な頼み事だったが彼は何も言わず、真剣な表情で肯定の意を示すように頷いてくれた。

 

 そうして、盗み出す日時と侵入・逃走経路を話し合い、明日決行される運びとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 !月@日

 

 もと光る竹を盗み出すことに成功した。タケノコは正倉院の奥深く、木製格子の向こう側に厳重に保管されていたらしい。カギはCIAの活動で身に着けたピッキングで開けたそうだ。俺はその間、警備員の動向を監視していたから中の様子は盗み出せてからかぐやに報告された。初めての文化物窃盗

は、失礼かもしれないが意外と楽しかった。

 

 全てが終わって、空港で彼から「共に来ないか」と勧誘を受けた。しかし俺たちには目的があるため、その勧誘を蹴った。スーツケースに収納されたもと光る竹を受け取り、彼は母国へと飛んだ。別れ際、口角を上げて笑いながら言った「極上のワインは時間が経つほど深まる。悪いことばかりじゃないさ」という言葉が今でも俺の中に残っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 %月$日

 

 引っ越し業者の荷下ろし・荷解きも終えて、ついに居住地を確保することができた。ここ数年はまた身の回りのことで書く余裕を持てなかった。ちなみに場所は東京都内のとある3階建てマンション、その2階・端の二部屋をCIA職員の彼名義で購入。一番端の部屋を俺の自室として、その隣の部屋はかぐやの部屋兼サーバールームとなっている。勿論もと光る竹もその部屋にあり、様々な機械に繋がれた状態で保管されている。

 サーバールームとはどういうことかとかぐやに問うてみたところ、実は俺の部屋の荷下ろし中、いち早く荷解きが終わったかぐやはPCを使ってネットを堪能していたようだ。『yachi8000(・・・・・・・・・)』のコテハン名でチャットをしたことから始まり、『ヤチヨのお部屋』という自作したらしい交流サイトや、とある掲示板にそのコテハン名で『8000年前から地球見守ってるけど質問ある?』というスレを建てていたそうだ。自分のPCで見たがその返レスがネット弁慶特有の強気口調。まぁ8000年分のフラストレーションとかがあったから仕方がないだろうけども。

 それとかぐやはこれから名を変えて『ヤチヨ(・・・)』を名乗るそうで、これからも『かぐや』ではなく『ヤチヨ』と呼んでほしいらしい。そのためのアバターボディも作成済みとのことで見せてもらったが、大きなメンダコが胸の中央に添えられており、まるで『浦島太郎』に登場する『乙姫様』のようなアバターで、可愛いというより綺麗だった。

 

 出会った頃に話した月見ヤチヨというAIライバーの存在が、実はタイムスリップしたかぐや自身であった(・・・・・・・・・・・・・・・・・・)ということに気づいたのは、かぐや改めヤチヨとともに『仮想空間ツクヨミ』製作中のことだった。

 

 

 

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