◆神の怒りに触れて『不老不死』の呪いを押し付けられた主人公——芹畑髙夜は現代よりはるか昔の時代に転生する。だがそこは現代人にとっては地獄のような世界だった。それ故に彼の心は壊れていく。そして転生して数十年が経ち、彼は1人、無気力に過ごしていた。そんな時、自分の名前を知る『かぐや』と名乗るウミウシと出会う。その出会いが、かぐや——ヤチヨとの現代まで続く長い旅の始まりだった。そして旅の果てに、彼は何を選ぶのか。◆超かぐや姫を見ている最中に思いついた奴です。ぶっちゃけ駄文なので興味ない方はスルーしてもらって構いません。

1 / 1

 性懲りもなく新しい作品に手を出してしまいました……でも反省はしていない。(書きたくなるような作品が多いのが悪い)
 超かぐや姫、初めて見ましたが結構面白かったですね。
 自分はレビュー動画で存在を知ったのでそもそもそんな作品があった事を知りませんでした……。
 とりあえずNetflix版と小説版は1回ずつ拝見しました。……え、映画館?……ちょっと、今忙しいので…また、時間ある時にどっかのタイミングで行ってこようかなぁ……。

 ちなみに今回の話はほぼ主人公の話。彩葉やかぐや達の登場を期待していた人は申し訳ありません。

 それでもよろしければ最後までご覧ください


ハッピーエンドを迎える者達(ただし1人を除く)

 

 俺———芹畑髙夜は突如として見知らぬ場所で目を覚ました。周りには何もない。ただ同じ景色が続いている。そして俺の前には杖を持った何者かが居た。

 

『おお、人間よ。死んでしまうとは情けない』

 

「……は?」

 

 見知らぬ場所で目覚めて最初に掛けられたその言葉に、俺は絶句した。どこか俺を小馬鹿にしたような声と煽りにも聞こえるその言葉に対して腹が立たない奴が居るだろうか。俺は腹が立ったし、そのムカつく顔面をぶん殴ってやろうと考えたが、そんな事をしても自分の置かれた状況が変わると思えない為その気持ちをグッと押し殺した。

 

 だが奴はそんな俺の状況を気にする様子も見せずに次の言葉を吐いた。

 

『残念なことにお前は死んだ。だが案ずる事はない。お前を特別に転生させてやろう』

 

 死んだ? 転生? 一体何を言っているんだコイツは。ガキでももう少しまともな冗談を言う。なぜなら俺の最後の記憶は自分の家のベッドに入った所なのだから。

 

「いや転生とか要らないから生き返らせてよ」

 

 明日も仕事があるのだ。転生だのなんだのという何者かも分からない奴の妄言を聞く気にはなれない。

 

『そうかそうか嬉しいか。では願いを言え。叶えてやろう』

 

 だが奴は俺の言葉を聞いていなかった。それどころか勝手に話を進めていた。俺はそれに対して更なる怒りを覚えながら奴を罵倒した。

 

「話通じてねえのかこのクソジジイ」

 

 俺のその言葉に、奴はようやく俺を見た。その顔は明らかに俺を侮蔑する表情であった。

 

『……何が不満なのだ貴様。せっかく転生させてやろうと言っているのに』

 

 その言葉は、まるで『転生させてやるのだから泣いて感謝しろ』と言わんばかりの傲慢な発言だった。そんな発言なら、感謝なぞしてやるものか。

 

「不満どころじゃねぇだろ。なに人の話聞かずに話進めてんだこのクソジジイ……!」

 

 だから俺も言ってやった。もう一度、奴に聞こえるように『クソジジイ』と。

 

『き、貴様……クソジジイと言ったか⁉︎この神である我をクソジジイ呼ばわりしたか⁉︎』

 

 俺の『クソジジイ』呼ばわりに奴——自称『神』は顔を真っ赤にして怒ったようだった。

 

「話聞かねえテメェなんてクソジジイで十分だろうが」

 

 それか存在Xで充分だろう。奴が本当に神だというならそれ相応の雰囲気と気品という物が必要だ。だが俺の目の前の奴はそんな物を微塵も感じさせない杖を持った変人でしかない。

 

『また言ったな⁉︎貴様、どこまで我を愚弄する気だ……!神である我に対する不敬は許さんぞ……!』

 

 奴がそんな事を言っているが、『不敬』がなんだと言うんだ。

 

「ハッ!テメェなんて敬う価値もねぇだろクソジジイ」

 

 本当に敬って欲しければ、初対面の時から人を嘲るような声と表情をするもんじゃない。それが出来ない時点で、奴を敬うという選択肢は存在しない。

 

『き、貴様ァ……‼︎……いいだろう、貴様がその気ならこちらにも考えがある……!』

 

 そう言って奴は杖を一振りし呪文のようなものを唱える。すると奴の杖の先から黒色の何かが飛び出して俺の身体の周りをぐるぐる回る。そして一瞬止まると俺の身体に飛び込んでくる。

 

 変化はすぐに起きた。俺の両腕に何か刺青のようなものが走り、そして定着する。

 

「なんだよコレ……?」

 

 俺が奴にそう聞くと奴はニヤリと笑って得意げに答えた。まるで子供が玩具を買ってもらい、それを周囲に自慢するように。

 

『今貴様にかけたのは、未来永劫老いる事も死ぬ事もない呪いだ……!』

 

「……は?」

 

 俺は最初、奴の言葉の意味を理解出来なかった。だがだんだんとその意味を理解すると、今まで押し殺した怒りが湧き上がり決壊する。

 

「……オイ、ちょっと待て!ふざけんな!仮にも神の端くれが、ただの人間に対してそんなガキみたいなことして良いのかよ!」

 

 不老と不死。即ち、『永遠の命』。それをただの人間である俺に対して押し付ける奴の幼稚さ、短慮さに反論した。

 

『黙れ黙れ黙れぇ!此処では我が法だ!我が絶対なのだ!いいか、これから貴様にあるのは永遠の孤独と離別だ!2度目の生ではせいぜい我の怒りを鎮める為に必死になって我を崇めるのだな!』

 

 奴がそう怒鳴り散らかして杖を一振りすると俺の周りの地面が消える。俺は態勢を崩してそのまま落ちていく。

 

「ふざっ……けんな……!テメェなんて……誰が崇めるかよ!このクソ野郎が——」

 

 俺が奴に対する罵倒を言い終わらない内に、俺の意識は切れた。

 


 

 そうして転生した俺は見知らぬ場所で目を覚ました。周りには自然だらけで、人工物なんて何一つ見えなかった。だが俺は少し歩けば人がいる場所くらいあるだろうと軽く考えていた。何故なら俺が生きていたのは現代文明。人の手の入っていない場所など殆どないくらいには発展した世界だからだ。それに俺にはスマホもあった。くれたのは存在Xではないだろうが、前世で自分が使っていた物と同じ物だった。アンテナは常に0本だったが、入れていたアプリやネット検索は地図アプリやSNSを除いて問題なく使えていた。

 

 だが、一日中歩いても人のいる場所を見つける事は出来なかった。

 

 おかしい、と大樹の根元にもたれながら俺はそう思った。進む方向を間違えている可能性もあるが、そうだとしても誰か一人くらいは会えるだろうと思っていた。だが出会えなかった。どうする。どうすればいい。ネット検索はできるが、文明社会に慣れ切った現代人がいきなりサバイバルなど出来るはずもない。不老不死とはいえ、ずっと飲まず食わずは精神に影響を及ぼす可能性がある。

 

 仕方ない。どうにかして人を探すのは一時中断だ。最低限の生活基盤を構築しなければ人を探す事も出来やしない。

 

 そして次の日から、俺は少しずつ生活基盤を整え始めた。ネット検索を利用しながら簡単な道具を作り、食料を集め、小さな拠点を築いた。道具を作るだけで1週間は掛かった。その間も食料は集めなければならない。必然的に食事の回数は減った。拠点を築くのには何ヶ月も掛かった。毎日のように食料を集める為、人を探す暇も出来ない。ただ、生きる為だけの時間でしかなかった。

 

 それがどれだけ続いたのか。何年? 何十年? 少しずつ食料集めのやり方は効率化したものの、それでも食料集めだけで1日が終わる。そんな日々が続けば心も体も摩耗する。スマホで遊ぶ時間は無くなった。ただ疲労感が溜まっていくだけだった。

 

 そうして、限界は訪れた。ある日、俺は疲れの残る身体で食料探しに出たが、途中で力尽きて倒れてしまう。

 

 そして気付けば、自分の建てた拠点ではない所で目を覚ました。身体は全く動かなかったが、目だけを動かして周りを見た。建物の中のようだったが誰もいなかった。しかし、その内に誰かが建物の中に入ってきて、目を覚ました俺を見た。そして口を開いた。

 

「○○◆☆※■」

 

「……なんだって?」

 

 思わず聞き返してしまったが俺は悪くない筈だ。何故なら、それは俺がよく知っている日本語ではなかったからだ。しかもその人物の服装も、俺が住んでいた時代では考えられない物だった。それは、歴史の教科書などで見たような植物繊維を編んだ服であったからだ。

 

 俺が驚いていると、さらに誰かが建物に入ってきた。その人物も似たような服を着ていた。

 

「○◆※※☆☆」

 

 後から入ってきた人物が声を掛けると最初に入ってきた人物が駆け寄って俺を指差す。……言っていてどっちがどっちなのかよく分からなくなる。分かりやすくする為に最初に入ってきた人をAさん、後から入ってきた人をBさんと呼ぼう。それからBさんは俺に近づいて何かを言っているが、当然ながらその言葉の意味はさっぱりわからない。その内にAさんは俺に近づいて食事を差し出してくれた。

 

 Bさんはそれに気付いて俺の体を起こしてくれる。俺はその食事を受け取ってパクリと食べた。それはとても酷い味だった。現代人の口には合わないほどに。でも、とても優しい味であった。いつの間にか、俺は泣いていた。目から涙を流しながら食べていた。

 

 それから、俺はそのAさんとBさんの2人と暮らし始めた。2人はある集落に住んでいたようで俺をその集落の人達に紹介した。やはり集落の人達も何を言っているのか分からなかったが、喜んでいる様子を見るに受け入れてくれたのだと思う。

 

 言葉は通じなかったが、集落の人達は余所者である俺に優しく接してくれた。食料の捕り方や料理の仕方、建物の修理のやり方などを教えてくれた。俺はそのやり方を見て仕事を覚えていった。

 

 一年もすれば俺は集落の一員として馴染んでいた。それもあの2人のおかげだった。あの2人がいなければ、俺はここまでこの集落に馴染めなかっただろう。だから、あの2人に恩を返す為にこの集落に貢献したいと思っていた。

 

 でもその思いはある出来事によって打ち砕かれた。

 

 集落を原因不明の疫病が襲った。俺以外の者達は次々と発症し、次々に命を落としていった。俺を集落に迎え入れてくれた2人も発症した。俺は何も出来なかった。日が経つにつれて衰弱していく2人を見ていることしか出来なかった。そうしてその2人がその命を落とした時、俺はあの存在Xが言っていた事を思い出した。

 

『これから貴様にあるのは永遠の孤独と離別だ!』

 

 ああ、その通りだと思った。俺はこの集落に迎え入れられる立場ではなかった。俺は老いる事も死ぬ事もない。誰かと知り合ったとしてもその全員が自分を置いて死んでいく。俺は——この星でずっと独りぼっちなのだ。

 

 俺は絶望した。なんで俺がこんな目に遭うんだ。何故俺に『不老不死の呪い(こんな物)』を押し付けた。ふざけるな。この所業があの存在X(クソ野郎)を崇めさせる為に起きた出来事なら俺だけを狙えばいいだろう。

 

 ……ああ、だからだろう。奴は俺ではなく、俺の周りを傷付けることで己の偉大さを俺に知らしめようとしている。

 

 だったら、俺は誰かと関わってはならない。誰もいない場所で、誰とも関わらず、他者を拒絶し続けなければならない。その前にこの集落の人達を弔わなければ。このまま放置すれば、死体に残った病が蔓延して更なる不幸を呼ぶ。

 

 そうしない為に、俺は集落の人達の死体を一箇所に集め、そして———骨になるまで焼き尽くした。骨は粉々に砕いて海に蒔いた。集落も火をつけて何も残らないように破壊した。

 

 集落が俺の手で滅びていく様子を、俺はずっと眺めていた。

 


 

 あれからどれだけの時が経っただろうか。何十年も経った気もするし、まだ数年しか経っていない気もする。集落が滅んだ後、俺は山の中にある洞窟で暮らし始めた。

 

 あの集落の残骸にはもう足を運んでいない。行っても俺が辛い気持ちになるだけだし、俺があの人達にしてあげれることも一つもない。

 

 良くしてくれた人達を失い、俺の心は再び荒んでいった。集落に拾われる前とは違い、食料を探す事も無くなった。どうせ死なないのだ。無駄な事をして希望を持つくらいなら何もせず、何も考えず、ただ毎日を無気力に過ごせばいい。起きたら洞窟の入り口に座り、1日を外を眺めて過ごし、暗くなれば洞窟内に敷いた草に横になって眠る。

 

 そんな事を続けていく内に、俺の心は擦り切れていき、次第に何も感じなくなっていった。それに付随するように、俺の視界も色を失いモノクロになっていった。

 

 これでいい。奴は俺が人と関わり、そしてその関わりを失っていくのを望んでいる。あの存在Xの思い通りになるくらいなら誰とも関わらず、こうやって一人になり、自分の心を殺してしまえばいい。

 

 そんな時だった。()()と出会ったのは。

 

 その日も俺は、洞窟の入り口で手頃な石に座ってぼーっと外を眺めていた。その時、誰かが俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。

 

「あっ!髙夜?髙夜だよねっ!」

 

 最初は聞き間違えだと思ったし、それどころか幻聴だと思った。ずっとこの場所にいたが、人の声など今まで一度も聞こえなかったからだ。それに俺の知る日本語を話せる者など、いる筈がない。それとも、存在Xがちょっかいをかけにきたのか。ああ、そうだ、そうに違いない。

 

「……新しい思いつきでもしたのか、存在X?お前が何をしようが俺には何も響かないぞ。幻聴を聞かせても無駄だ」

 

 俺はそう言って頭を振り、幻聴を振り払おうとする。存在Xの策には乗らない。乗ってはならない。このまま無視し続ければ奴も諦めるだろう。

 

「存在X?なんのことを言ってるの?てか幻聴って酷い!私はちゃんとここにいるんだよ⁉︎ねぇ髙夜、こっち見てよ〜!」

 

 だがその声は俺の周りをぐるぐる回り、自分の存在をアピールする。俺が反応しないでいると、怒ったように言った。

 

「む〜!だったらこうするもんね!……とりゃ〜!」

 

 俺の膝に何かが飛び乗ってくる。そしてそのまま飛び上がったのか俺の顔に柔らかい何かがぶつかってきて、そのまま膝の上に落ちた。痛みはなかったが、俺は自分の顔に何がぶつかってきたのか確認する為視線を下に向けた。

 

「あっ、やっとこっち見た!も〜ずっと無視するなんて酷いよ!でも久しぶりだね、髙夜!なんでこんな所にいるの?彩葉は?ヤチヨは?」

 

 ()()()俺が視線を向けた事に喜んでいるようで、俺に次々と質問して来たが、俺はその答えを持っていないし、逆に質問したいくらいだ。『彩葉』とは誰だ。『ヤチヨ』とは誰だ。何故俺の名前を知っている?だがそれ以上に膝の上にいる存在に驚いた。

 

「喋る……ウミウシ……?」

 

 そう。俺の膝の上で喋っていたのは白の身体に、黒い点々模様がある小さなウミウシだった。何故ウミウシが喋っているのか。いやそもそもコイツはウミウシなのか。

 

「えっ、何言ってるの髙夜!私だよ!『かぐや』だよ!」

 

 そう言って『かぐや』と名乗ったウミウシは、自分の名前を誇示するように俺の膝の上で二、三度跳ねた。

 

 それが『かぐや』との出会いで。

 

 彼女との数千年に及ぶ長い旅の始まりで。

 

 前世を含めた俺の人生での決して叶わぬ初恋の話。

 

 そして———あの存在X(クソ野郎)にかけられた呪いを解き、終わりを迎えるまでの物語。

 




 ここまで読了ありがとうございます。

 続きはどうしようかな……読む人が多かったり気分が乗ったら続き書こうかな(笑)
 まぁもしかしたら続き書かないかもしれないから軽くネタバレしておきます。現状ハッピーエンドを迎える事が出来るのは主人公——芹畑髙夜くん以外の主要キャラです。

 ……え?主人公のハッピーエンドはないのかって?
 ……まぁ、そこになければないですね。

 ……これ曇らせになるんかね?まぁ百合に挟まるわけじゃないからいっか!(必要ならタグ更新します)

 次回に続く!(未定)

 ……続き書くならキャラの雰囲気とかセリフまわしとかちゃんとしないとなぁ……

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。