大罪背負いしヒーローアカデミア   作:Ks5118

7 / 7
第6話 USJ襲撃事件〈後編〉

 ドンッ!! 

 

 黒霧が広がった瞬間、脳無が消えた。

 

「っ──!」

 

 七罪の視界から完全に消失。

 

 次の瞬間。

 

 ドゴォンッ!! 

 

 目の前に現れた拳が、そのまま叩き込まれる。

 

 だが──

 

 ピタリ、と止まる。

 

 黒い粒子が薄く展開されている。

 

 衝撃は、来ない。

 

 音だけが響く。

 

「……」

 

 七罪は一歩も動かない。

 

 足元も崩れない。

 

 ただ、受け止める。

 

「……なるほど」

 

 脳無の連撃。

 

 ドガガガガッ!! 

 

 拳の嵐。

 

 だが全て──触れた瞬間に止まる。

 

「全部止めてる……!?」

 

 尾白が声を上げる。

 

「いや……止まってるんじゃない……消えてる……?」

 

 飯田が分析する。

 

 七罪は淡々と呟く。

 

「物理は通らない」

 

 ならば。

 

 一歩、踏み込む。

 

 ダンッ!! 

 

 距離を詰める。

 

 真正面。

 

 ドゴォンッ!! 

 

 拳を叩き込む。

 

 脳無の身体が揺れる。

 

 だが──

 

 グニャッ

 

 即座に戻る。

 

「……再生か」

 

 その時。

 

 背後からヴィランが迫る。

 

「囲め!!」

 

「隙だ!」

 

 だが。

 

「動くな」

 

 空気が変わる。

 

 見えない圧が広がる。

 

「なっ……!?」

 

「身体が……重……!」

 

「力が……抜ける……!」

 

 ヴィラン達の動きが鈍る。

 

 完全に足が止まる。

 

「……邪魔はさせない」

 

 七罪は脳無だけを見る。

 

 脳無が再び突進。

 

 ドンッ!! 

 

 拳。

 

 だが、止まる。

 

 完全に無効。

 

「……通らないな」

 

 七罪は結論を出す。

 

「なら内側だ」

 

 踏み込む。

 

 最短距離。

 

 懐へ。

 

「そこだ」

 

 ドンッ!! 

 

 胸部へ、至近距離の打撃。

 

 衝撃を逃がさず、内部へ押し込む。

 

「────!!」

 

 脳無がのけ反る。

 

 さらに。

 

 ドンッ! ドンッ!! 

 

 同一点へ連撃。

 

 内部へ蓄積。

 

 再生が追いつかない。

 

「効いてる……!」

 

 飯田が叫ぶ。

 

 七罪は止めない。

 

「積む」

 

 さらに出力を上げる。

 

 床が軋む。

 

 空気が重くなる。

 

「終わりだ」

 

 最後の一撃。

 

 ドンッッッ!!! 

 

 完全な内部破壊。

 

 沈黙。

 

 数秒。

 

 そして──

 

 ドサッ……

 

 脳無が崩れ落ちる。

 

 動かない。

 

 再生もしない。

 

 完全停止。

 

「……は?」

 

 後方で、死柄木弔の声が漏れる。

 

 七罪は一歩近づく。

 

 倒れたそれを見下ろす。

 

 その時。

 

「……おい」

 

 低い声。

 

 相澤先生が七罪を見る。

 

「さっきの“空間”、もう一度出せるか」

 

「……可能だ」

 

「なら」

 

 一瞬だけ間を置いて言う。

 

「それ、収容してみろ」

 

「……」

 

 七罪がわずかに目を細める。

 

「……生体だぞ」

 

「今は“動いてない”」

 

 即答だった。

 

「やってみろ」

 

 短く、だが確信を持った指示。

 

 七罪は一瞬だけ考え──

 

「……了解」

 

 と答える。

 

 次の瞬間。

 

 空間が歪む。

 

 足元に、静かに“穴”が開く。

 

「また出た……!」

 

 尾白が息を呑む。

 

「これ……さっきの……!」

 

 飯田も注視する。

 

 七罪は脳無に手を触れる。

 

 一瞬、間。

 

 そして──

 

 ズッ……

 

 巨体が、吸い込まれる。

 

 抵抗もなく。

 

 音もなく。

 

 完全に消失。

 

「……え?」

 

 尾白が固まる。

 

「入った……?」

 

「今……入れたのか……!?」

 

 飯田も驚愕する。

 

 相澤も、わずかに目を見開く。

 

「……本当に出来るのか」

 

 低く呟く。

 

 予想はしていた。

 

 だが実際に成立すると、話は別だ。

 

「倒した敵を……そのまま隔離できる……?」

 

 戦術的価値を即座に理解する。

 

 七罪は立ち上がる。

 

「……保管してるだけだ」

 

 淡々とした一言。

 

 その様子に、全員が一瞬言葉を失う。

 

 そして──

 

 死柄木弔が、ゆっくりと笑う。

 

「……マジかよ」

 

 首を掻きむしる。

 

「それ、オールマイト用なんだけど」

 

 視線が七罪に突き刺さる。

 

「壊して、回収?」

 

 沈黙のあと。

 

「……やめだ」

 

「黒霧、撤収」

 

 その判断は、早かった。

 

 明確な“敗北認識”。

 

 ズッ……

 

 死柄木弔と黒霧の姿が、完全に消える。

 

 静寂。

 

「……逃げた、のか?」

 

 緑谷が呟く。

 

「撤退……だと?」

 

 飯田が周囲を見渡す。

 

「助かった……のか?」

 

 誰かが小さく言う。

 

 その瞬間──

 

「ふざけんなよ!!」

 

 怒声。

 

 倒れていたはずのヴィランが、無理やり立ち上がる。

 

「まだ終わってねぇだろ!!」

 

「ボスがいねぇからって引くかよ!!」

 

「やるぞ!!」

 

 空気が一変する。

 

「なっ……!?」

 

「まだ動けるのか!?」

 

「数、まだ残ってる……!」

 

 緑谷が息を呑む。

 

 飯田が即座に叫ぶ。

 

「総員警戒!! 戦闘はまだ終わっていない!!」

 

「はい!!」

 

 だが、その前に──

 

「……来るな」

 

 七罪が一歩前に出る。

 

「海馬くん……!」

 

「下がってろ」

 

 短く言う。

 

 ヴィラン達が一斉に突っ込んでくる。

 

「やっちまえ!!」

 

「学生ごときにナメられてたまるか!!」

 

「数で潰せ!!」

 

 ドンッ!! 

 

 一斉突撃。

 

 七罪は動かない。

 

 ただ一言。

 

「……遅い」

 

 空気が沈む。

 

「なんだ……?」

 

「身体が……!」

 

「くそ、またかよ!!」

 

 動きが鈍る。

 

 それでも来る。

 

「関係ねぇ!!」

 

「突っ込め!!」

 

 その瞬間。

 

 ダンッ!! 

 

「消えた!?」

 

 次の瞬間。

 

 ドンッ!! 

 

「ぐあっ!!」

 

 一人、沈む。

 

「どこ行った!?」

 

「後ろだ!!」

 

 ドンッ!! 

 

「うわっ!!」

 

 間髪入れない。

 

 ドンッ!! ドンッ!! 

 

「速ぇ!!」

 

「追いつけねぇ!!」

 

 攻撃が振られる。

 

 だが──

 

 ガキンッ

 

「は!?」

 

「効いてねぇ!?」

 

「なんでだよ!!」

 

「遅いって言ってるだろ」

 

 ドンッ!! 

 

「がはっ……!」

 

「ひ、引け!!」

 

「無理だ!!」

 

「足動かねぇ!!」

 

 恐怖が混じる。

 

 統率が崩れる。

 

「なんなんだよコイツ!!」

 

「学生じゃねぇ!!」

 

「……学生だ」

 

 七罪が淡々と返す。

 

 そして止まらない。

 

 ドンッ!! ドンッ!! 

 

 一人ずつ、確実に沈める。

 

「助け……!」

 

 ドンッ!! 

 

 最後の一人も崩れる。

 

 完全沈黙。

 

 静寂。

 

 七罪が小さく息を吐く。

 

「……終わり」

 

 飯田が周囲を確認する。

 

「……全員、戦闘不能だ」

 

「制圧完了……!」

 

 緑谷が七罪を見る。

 

「海馬くん……すごい……」

 

 だが七罪は答えない。

 

 視線は、さっきまで死柄木がいた場所。

 

[……転弧]

 

 頭の中でだけ名前を呼ぶ。

 

[間違いない]

 

 拳がわずかに握られる。

 

[でも……]

 

[今は敵だ]

 

 思考を押し込む。

 

「……後でいい」

 

 小さく呟く。

 

 その瞬間──

 

 ドォォォンッ!! 

 

 入口が吹き飛ぶ。

 

「待たせたな!!」

 

 オールマイトの声が響く。

 

「もう大丈夫だ、なぜなら私が来た!!」

 

 だが。

 

 視界に入るのは──

 

 すでに終わった戦場。

 

「……む?」

 

「すでに……制圧済み?」

 

 周囲を見渡す。

 

「君たち、無事か!?」

 

 飯田が答える。

 

「はい! 13号先生以外、負傷者は軽微です!」

 

 緑谷も続く。

 

「海馬くんが……全部……!」

 

 七罪がゆっくり振り向く。

 

「……遅いです」

 

 空気が張り詰める。

 

「ここ、訓練施設ですよ」

 

「生徒しかいない場所で」

 

「襲撃、受けてます」

 

 一瞬、間。

 

「間に合ってません」

 

 静かだが、はっきり言う。

 

 オールマイトが黙る。

 

「……その通りだ」

 

「私の不手際だ」

 

 七罪は数秒見て。

 

「……ならいいです」

 

 それだけ言う。

 

 背を向ける。

 

 だが、その目にはまだ残っている。

 

 戦闘とは別のもの。

 

[……転弧]

 

 消えない違和感が、静かに残り続けていた。

 

 黒い霧の中。

 

 視界も、距離も、曖昧になる空間。

 

 移動中。

 

「……」

 

 死柄木弔は何も言わない。

 

 ただ、首を掻く。

 

 ボリボリと、無意識に。

 

「今回の作戦は失敗です」

 

 黒霧が淡々と言う。

 

「予定外の戦力が多すぎました」

 

「……」

 

「特に、あの生徒」

 

 一瞬の間。

 

「無視できない存在です」

 

 沈黙。

 

 数秒。

 

「……うるせぇな」

 

 死柄木がぼそっと言う。

 

「わかってるよ、そんなの」

 

 さらに強く首を掻く。

 

「ムカつくんだよ」

 

「なにがです?」

 

「全部だよ」

 

 苛立ちを吐き捨てる。

 

「あの目も」

 

「あの態度も」

 

「余裕ぶってんのも」

 

「全部気に食わねぇ」

 

 黒霧は何も言わない。

 

 ただ聞いている。

 

「……なのにさ」

 

 死柄木の手が止まる。

 

「なんか引っかかる」

 

「……引っかかる?」

 

「そう」

 

 ゆっくりと、言葉を探す。

 

「なんか……見たことある感じ」

 

「どこで見たかはわかんねぇけど」

 

「知ってる気がする」

 

 苛立ちと違和感が混ざる。

 

「でも思い出せねぇ」

 

 また首を掻く。

 

「クソが」

 

「記憶の混濁でしょうか」

 

 黒霧が静かに言う。

 

「あなたの過去は──」

 

「うるせぇ」

 

 即座に遮る。

 

「そういう話じゃねぇ」

 

 少しだけ、声が低くなる。

 

「……もっと、こう」

 

 言葉に詰まる。

 

「気持ち悪い感じだ」

 

 沈黙。

 

 黒霧は一歩引いた位置で観察する。

 

「……」

 

 死柄木がぼそっと呟く。

 

「なんであんな顔してんだよ」

 

「なんであんな普通なんだよ」

 

「人ぶってんのがムカつく」

 

 少しだけ間。

 

「……いや、違うな」

 

 自分で否定する。

 

「ムカつくのはそこじゃねぇ」

 

 手が止まる。

 

「……あの目だ」

 

 あの時の視線。

 

 戦場の中で、ただ一度だけ交差した。

 

「……なんだよ、あれ」

 

 苛立ちが、少しだけ弱まる。

 

 代わりに浮かぶのは──

 

 違和感。

 

 理解できない感情。

 

「……知ってる気がすんだよな」

 

 ぽつり。

 

 自分でも理解できないまま。

 

 黒霧が静かに問う。

 

「追跡しますか」

 

「は?」

 

「あの生徒の情報を収集し、排除を──」

 

「……いや」

 

 少し考える。

 

 そして。

 

「いい」

 

 首を軽く鳴らす。

 

「次でいい」

 

 口元が歪む。

 

「どうせまた会う」

 

「その時でいい」

 

「はい」

 

 黒霧が応じる。

 

 空間の出口が見え始める。

 

 光が差し込む。

 

 その直前。

 

 死柄木が、ほんの小さく呟く。

 

「……名前、なんだっけな」

 

 思い出せない。

 

 でも、確かに何かが残っている。

 

 引っかかり。

 

 違和感。

 

 ノイズみたいな記憶。

 

 それが──

 

 少しだけ、消えずに残った。

 

 戦闘が終わった後のUSJ。

 

 倒れたヴィラン達。

 

 まだ張り詰めた空気。

 

「……はぁ……」

 

 緑谷がその場に座り込む。

 

「助かった……のかな……」

 

「一応な」

 

 上鳴が辺りを見回す。

 

「でもさ……あれ、ほとんど海馬一人でやってね?」

 

「うん……」

 

 麗日も頷く。

 

「すごかったよね……ほんとに……」

 

「“すごい”で済ませていいレベルじゃねぇだろ……」

 

 切島が苦笑する。

 

「プロでもあそこまでやるか……?」

 

「いや……普通に考えて異常だ」

 

 飯田が言う。

 

「複数のヴィランを同時に制圧し、なおかつ全体を把握していた」

 

「判断も的確すぎる……」

 

「……ケロ」

 

 蛙吹が静かに言う。

 

「冷静すぎるわね、海馬ちゃん」

 

「うん……」

 

 緑谷が海馬を見る。

 

「ちょっと怖いくらいだった……」

 

「でもよ」

 

 切島が腕を組む。

 

「頼りになるのは間違いねぇだろ」

 

「……ああ」

 

 飯田も頷く。

 

「彼がいなければ、被害はもっと大きかった」

 

「間違いない」

 

 その空気の中。

 

 少し離れた場所で。

 

「……チッ」

 

 爆豪が舌打ちする。

 

「なんだよアレ……」

 

「なんであいつが全部やってんだよ」

 

 視線が海馬に向く。

 

「俺がやるはずだっただろうが……!」

 

 拳を握る。

 

「クソが……!」

 

 緑谷が恐る恐る声をかける。

 

「かっちゃん……」

 

「うるせぇ!」

 

 即座に怒鳴る。

 

「別にあいつが悪いわけじゃねぇのは分かってる!」

 

「けどな……!」

 

 言葉が詰まる。

 

「……気に食わねぇんだよ」

 

 その一言に全部が乗る。

 

 一方で──

 

 海馬は少し離れた場所に立っている。

 

 いつも通り、落ち着いたまま。

 

「海馬くん」

 

 緑谷が近づく。

 

「さっきは……本当にありがとう」

 

「助けられたよ」

 

「……別に」

 

 海馬は視線を向けない。

 

「やるべきことをやっただけだ」

 

「でも……!」

 

「全員無事だろ」

 

 一言で区切る。

 

「それでいい」

 

「……うん」

 

 緑谷が小さく笑う。

 

「やっぱり海馬くん、すごいよ」

 

「そうか?」

 

「うん!」

 

 少しだけ間。

 

「……そう見えるなら、それでいい」

 

 緑谷が少しだけ首を傾げる。

 

「……?」

 

 だがそれ以上は聞かない。

 

 その時。

 

「海馬」

 

 低い声。

 

 相澤先生が呼ぶ。

 

「少し来い」

 

「……はい」

 

 海馬がそちらへ向かう。

 

 その背中を見ながら。

 

「……なぁ」

 

 上鳴が小声で言う。

 

「海馬ってさ」

 

「普通にヒーローなるよな」

 

「“普通”じゃねぇけどな」

 

 切島が笑う。

 

「でもよ」

 

「頼れるのは確かだろ」

 

「うん……!」

 

 麗日が頷く。

 

「ちょっと怖いけど……安心できる」

 

「ええ」

 

 蛙吹も静かに言う。

 

「信頼はできるわね」

 

 その評価。

 

 “怖さ”と“信頼”が混ざる。

 

 そして。

 

「……チッ」

 

 爆豪だけが視線を逸らす。

 

「次は俺だ」

 

 低く呟く。

 

「全部ぶっ壊してでも」

 

「上に行く」

 

 その目だけが、燃えていた。

 

 人気のない一角。

 

 騒ぎから少し離れた場所で、相澤先生は壁にもたれ、海馬を見ていた。

 

「……で」

 

 低い声。

 

「どこまで理解して動いてた」

 

 単刀直入。

 

 海馬は少しだけ間を置く。

 

「全体の構造、敵の数、指揮系統の有無」

 

「それと、ワープ能力の性質」

 

「大体は見えました」

 

「“大体”であれか」

 

 相澤が小さく息を吐く。

 

「正直に言う」

 

「お前の動きは、一年のそれじゃない」

 

「……そうですか」

 

「自覚はあるな」

 

「あります」

 

 即答だった。

 

 相澤は一瞬だけ目を細める。

 

「抑えてたな」

 

「……はい」

 

「全力は出してない」

 

「必要な分だけです」

 

「理由は」

 

 海馬は視線を少し逸らす。

 

「暴れすぎると、周りを巻き込みます」

 

「……だろうな」

 

 短く肯定。

 

「じゃあ逆に聞く」

 

「お前が本気で暴れたら、どうなる」

 

 数秒の沈黙。

 

 海馬は淡々と答える。

 

「味方ごと制圧します」

 

「制御は可能ですが、完全ではない」

 

「だから切りました」

 

「……合理的だな」

 

 相澤が呟く。

 

「だが危険だ」

 

「自覚してます」

 

「ならいい」

 

 そこで一度区切る。

 

 そして、少しだけ声のトーンが変わる。

 

「もう一つ」

 

「戦闘中、お前止まったな」

 

 核心。

 

「……はい」

 

「何を見た」

 

 海馬はわずかに目を伏せる。

 

「……知ってる可能性のある人間でした」

 

「ヴィラン側か」

 

「はい」

 

「確証は」

 

「ありません」

 

「だが気になってる」

 

「……はい」

 

 相澤は数秒黙る。

 

「深追いするな」

 

「今はな」

 

「……」

 

「今のお前は学生だ」

 

「個人的な事情で動くな」

 

「分かってます」

 

 静かな返答。

 

 だが。

 

 完全には切れていない。

 

 相澤はそれを見抜く。

 

「……無理に捨てろとは言わない」

 

「だが優先順位は間違えるな」

 

「はい」

 

 短く頷く。

 

「それと」

 

 相澤が少しだけ視線を外す。

 

「今日の動き」

 

「よくやった」

 

「……」

 

 海馬は一瞬だけ目を見開く。

 

「お前がいなきゃ、何人かは確実にやられてた」

 

「それは事実だ」

 

「だからこれは教師として言う」

 

 一瞬、間。

 

「助かった」

 

 静かに。

 

 はっきりと。

 

「……そうですか」

 

 海馬は少しだけ息を吐く。

 

「なら、よかったです」

 

 それだけ言う。

 

 相澤が立ち上がる。

 

「戻るぞ」

 

「はい」

 

 並んで歩き出す。

 

 その途中。

 

「海馬」

 

「はい」

 

「次はもっと早く俺を呼べ」

 

「一人で抱え込むな」

 

 少しだけぶっきらぼうに。

 

 だが確実に“教師”の言葉。

 

「……善処します」

 

「善処じゃなくてやれ」

 

「……はい」

 

 短いやり取り。

 

 だがその距離は、ほんの少しだけ縮まっていた。




 この話から、七罪の第一ヒロインを決めたいと思います。誰が良いか投票して下さい




 作者個人は、芦戸が好きですけどね

七罪の第一ヒロイン

  • 渡我 被身子
  • 芦戸 三奈
  • 葉隠 透
  • 八百万 百
  • 耳郎 響香
  • 蛙吹 梅雨
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

個性が幾つもある転生者が無自覚ハーレムしてしまう物語(作者:天童真影)(原作:僕のヒーローアカデミア)

神の手違いで死んだ主人公。謝罪として個性を幾つも選んでいいって言われて選んだ。


総合評価:39/評価:-.--/連載:6話/更新日時:2026年04月15日(水) 21:06 小説情報

僕が蒼を纏う理由 ―かつて十天の頂点だった男のハーレム戦記―(作者:鵲くん)(原作:ハイスクールD×D)

グラブル世界のオリ主をハイスクールddの世界に飛ばしたらどうなるだろう、読みたいな→無い→書くかってなった作品です。▼オリ主は十天衆番外っていう別枠の強さ持っているんで最強系です▼小説書いたことないんで全然わかってないですが温かい目で見守ってください▼評価、感想大歓迎です、むしろ下さい、モチベ向上で安定して投稿出来ます。▼更新は2日から3日に一回の予定ですが…


総合評価:128/評価:-.--/連載:18話/更新日時:2026年05月12日(火) 20:00 小説情報

個性:斬魄刀ガチャ(作者:らいこう)(原作:僕のヒーローアカデミア)

 『BLEACH』と『ヒロアカ』のクロスオーバーです。▼ 能力だけクロスオーバーしてます。▼ 名前:玩真 漂白(がんまひょうはく)▼ 個性:『斬魄刀ガチャ』▼ 魂石というエネルギーを消費して、斬魄刀をランダムで獲得する能力。▼※更新停止します。▼


総合評価:272/評価:5.33/未完:12話/更新日時:2026年03月08日(日) 20:53 小説情報

ボンゴレ10代目の孫、雄英ヒーロー科に入る(作者:息抜き型のんびり屋三太郎)(原作:僕のヒーローアカデミア)

1万を超えるマフィアを傘下におく『ボンゴレ』その10代目、沢田綱吉は伝説になった。▼中国、軽慶市で生まれた光る赤子。そこから爆発的なまでの異能の発現。それにより一時、世界は混沌に包まれた。▼超常黎明期。70年近く前の事だ。個性がまだ異能と呼ばれていた時代。沢田綱吉は裏社会を牛耳まいと行動する自身を『魔王』と呼称する男と戦い、勝利する。▼そして時は流れ、80を…


総合評価:102/評価:-.--/連載:3話/更新日時:2026年03月04日(水) 23:27 小説情報

個性『スーパー戦隊』 うん。……ちょっと待て?????(作者:翠吏)(原作:僕のヒーローアカデミア)

 拝啓、特撮オタクの親友へ▼俺はどうやら「僕のヒーローアカデミア」という漫画の世界へ転生してしまったようです。それだけなら何んだ?と言うでしょう。個性が『スーパー戦隊』でした。俺頑張るよ。▼ ▼※掲示板あり。基本的に控えめ。▼初投稿です。▼なので誤字脱字、キャラ崩壊等があると思いますが、温かい目で見守ってください。


総合評価:505/評価:5.75/連載:18話/更新日時:2026年05月04日(月) 19:30 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>