BRAVE STEP ―小さなお菓子屋さんを夢見て― 作:クレナイハルハ
お菓子の個性。
そのお店ならではのお菓子、それが目的でお店に訪れることもあるようなお菓子。
それが、カエデさんの話すお菓子の個性だった。
カエデさんのお菓子はそれこそ、どれもが個性で溢れている。
虫ポケモンをイメージしたものがあり、虫ポケモンのジムリーダーであるカエデさんらしいお菓子の個性だ。
逆に、私のお菓子の個性って何なのだろう。
そんな事を思いながら、私は久しぶりに広げたテントの中で横になっていた。
カルボウが私の元から居なくなって三日。 カルボウへの罪悪感からか、お菓子作りに身が入らず、一度休むことを勧められた私は、テーブルシティから少し離れた丘でキャンプをしていた。
枕元ではグレイシアが丸まり、テントのすぐ外ではアブソルが地面に伏せて周囲を警戒している。
あまりにも見ていられなかったのか、グレイシアがミュウを通じてカルボウが居なくなった理由を教えてくれた。
カルボウは強くなりたくて、バトルをしない私の元を去った。
でも、戻ってくるつもりはある……かもしれない。
グレイシアは、 “戻ってこられる場所だけは残しておくべき” そう言っていたらしい。
空っぽのモンスターボールが、腰のベルトで風に揺れている。
パルデアの空もガラルの空とあまり変わらない。
きっと、誰もがこの空で繋がっている。
そんな事を言っていたキャラがいたような気がするけど、前世の記憶のソレはそんな言葉があったことしか覚えていない。
───強くなりたい。
カルボウは、確かにそう言っていたらしい。
私はそれを、ちゃんと受け止めていただろうか。
彼の望みを叶えようと少しでも思っていたのだろうか。
分からない、これまでゲットしてきたポケモン達が大人しくバトルに積極的じゃなかった。
アブソルはあくまでも私に危害を加える存在に対して戦闘意思を見せる。
グレイシアは自分からはポケモンバトルを行おうとしない。勝負を仕掛けてきたあの子の話が事実なら、グレイシアはかなり強いのだと思う。
考えてみれば、私とグレイシアの出会いはバトルではなく、お菓子だった。
作って消費に困ったお菓子を食べて貰う。
これだけだったのに、気が付けばグレイシアは私と共に来ることを選んでいた。
ポケモンバトルに積極的ではないことから、ポケモンバトルが嫌いなのだろうか。
ジムチャレンジの時も、私がお菓子をあげるという約束をしてようやく戦ってくれていたし。
次にマホイップ、この子もまたバトルではなく私がお菓子屋さんを開く夢を叶えたい。そんな話を伝えてゲットした子で、私と似ていてポケモンバトルにはあまり積極的ではなかった。
最後にミュウ、彼女もバトル無しで前世の縁があってゲットすること……いや勝手にゲットされた子だ。
彼女はバトルには関心がなく、どちらかと言えば私と過ごす事に執着しているような気がした。
改めて考えると、私の手持ちのポケモン達はあまりポケモンバトルには執着するような性格ではない子が多い。
だからこそ、私達の中でカルボウは浮いていた。
私は私の普通を、望みをあの子に押し付けていたのかもしれない。
カルボウは戦いたかった。
もっと前へ進きたかった。
もっと強くなりたかった。
それなのに私は、自分達がバトルする事に意欲的でないことから、戦うことから遠ざけていた。
「……難しいなぁ」
私は小さく笑って、天井を見上げる。
目の前の現実はゲームのポケモンのように好き勝手に出来るものじゃない。
ポケモン一匹一匹に個性があり、心がある。
やりたいことも、夢も、感情も、性格も違うのだ。
アニメに近い、進化を拒否するポケモンやトレーナーを捨てるポケモン、捨てられてもなおトレーナーを求めるポケモンがいる。
「そういえば、ジムチャレンジ以来だな。こうしてキャンプ道具を広げたの」
ジムチャレンジの時は、こうしてワイルドエリアに引きこもり、ジムチャレンジ期間を乗り越えていたっけ。
お菓子も、簡単なものを作ることが多かったっけ?
そんな事を思いながら、私のお菓子の個性について思考を巡らせる。
私のお菓子、私のお菓子を食べるためにお店に来てくれるお客さんが現れるような、そんな個性。
これまで私はトレーナーとポケモンの両方が味わえるお菓子を作りたい、それだけを考えてお菓子を作ってきた。
ノートにどれだけ案を出しても、それは前世の私の感覚が抜けきっていないものばかりだった。
モンスターボールのような色合いになるように生地を合わせたモンスターボールクッキー。
四つ葉のクローバーの形をした幸運を呼びそうなラッキークッキー。
旅やグレイシアの為に作り置きしていた、木の実を使った飴。
全てにおいて、私と言う個性が感じられなかった。
「……結局、私の作るお菓子は
ぽつりと零した言葉は、風に乗って誰に届く事もなく消えていく。
「私には、無理だったのかなぁ」
あれほどまでに決意して、頑張っていた夢への道。
パルデアで更に勉強してお菓子屋さんを開くための糧にする、そう思っていた確かな決意は早々に脆くなり始めていた。
「シ」
「んぇ?」
そんな事を思っていると私の頬にグニっと触れてきた感覚に目を向ければグレイシアが私の頬を足でぐにぐにと踏みつけていた。
その表情は見慣れたもので、私はグレイシアの足を顔から退けてからだを起こす。
「うん、今日の分のお菓子だね」
「シァ」
リュックにいれておいたお菓子の入ったタッパーを取り出す。中にあるのは、カエデさんのお店で作った私なりの個性を出したクッキー達。
テントの外に出てタッパーから何枚か皿を出してもグレイシアの前に置く。
グレイシアはそれを見ると満足そうに頷くと、更に乗せられたお菓子を食べ始める。
「ふふ」
「『とっても良い香りですわね~♪』」
聞こえてきた声にグレイシアから顔を上げるが、誰もいない。
気のせいかと思いながらも振り替えると、そこには驚きの光景があった。
黒い体、そして桃色に輝く鉱石のようなドレス。太陽光を受けて煌めくその姿は、まるで宝石そのものが意思を持って動いているよう。
細くしなやかな腕、背中から広がる結晶のマント。
頭には王冠のような巨大なピンクダイヤの結晶が浮かび、その全身からは幻想的な輝きが溢れている。
その姿は、前世の知識にあるあるポケモンによく似ていた。
「め、メガディアンシー……?」
メガディアンシー、ディアンシーという幻ポケモンがメガシンカした姿と酷似してきた。
ただ、違うとするならその姿。
本来のディアンシーとは違う黒色のそのポケモンは色違いのディアンシーとも思えるけど違う。
ネットで見たそれより、何処か神秘的だった。
「『何処か惹かれてしまうような、甘味な香り。姫たる私に献上する権利を貴方に差し上げますわ!』」
頭の中へ直接響く、鈴のように澄んだ声。
何となく分かる、これは恐らくはこのポケモン?のテレパシーだ。
貰うのが当然だというように両手を腰において胸を張るメガディアンシー?の視線は、ただひたすらにお皿の上に乗せられたお菓子と私を交互へ動いている。
頭に様々な疑問が浮かぶ。
取りあえず、このお菓子を食べたいってことなのかな。
……特別な形も味付けもない、ただポケモンも安全に食べられるという私らしい個性のないふつうのお菓子。
「こんなもので、良ければ」
そう言いながらタッパーの蓋を開けて差し出せば、メガディアンシー?は更に目を輝かせ、胸の前で両手を合わせた。
「『まぁ♪では早速頂きますわぁ!こほん、姫たるもの、常に余裕を持ち優雅に──』」
そう言いながら、メガディアンシー?が手に取ったクッキーを口へと運ぶ。
サクリという音と共に彼女の口へ入ったクッキーが音を立てる。
すると、メガディアンシー?は目を輝かせながら咀嚼しすると口を開いた。
「『あっぁぁぁぁぁあ……あんまぁぁぁぁいですわ~~~!?』」
なんだろう、反応が凄く分かりやすい気がする……。
あと、先程まで感じられたあの神秘性が少し薄れたような気がした。
「『何ですの何ですの何ですの!?供物として頂いていた木の実とはまた違う甘味!?爽やかな木の実の風味とは別に、ガツンと殴ってくるような甘味!!何より噛めば直ぐにほどける優しいサクリという食感!繰り返し手を伸ばしそうになるこの手軽さ!?』」
早口とも言えるスピードでメガディアンシー?から語られるお菓子の感想。
その情報量に思わず考える事を放置しそうになる。
目の前のメガディアンシー?らしきポケモンは何なのか、何処から来たのかなど。
そんなメガディアンシー?は、あまりにも大袈裟な反応に、私は思わず目を瞬かせる。
メガディアンシー?らしき、この子はそんな私を気にすることもなく、目を輝かせながら次のクッキーへ手を伸ばしていた。
「『このような甘美なものが存在しているとは……知りませんでしたわ!手がとまりませんわ~♪』」
「そ、そんなに……ですか?」
「『当たり前ですわ、こんなにも強い甘味は初めてたべますもの!!』」
メガディアンシー?は感動したように両手で頬を押さえる。
美味しそうに、そしてニコニコと笑顔で食べるメガディアンシー?の姿に不思議と私は胸が暖かくなるような感じがした。
「『甘味とは、熟れた木の実か蜜程度のものだと思っておりましたのに……!』」
熟した木の実と花の蜜が甘味って、どういう時代……。
メガディアンシー?の話し方から、違和感しか感じられない。
姫という一人称に捧げられた供物と、
「『これ程の甘味……王へ献上される品ですの?、こんなもの!』」
「王様って、そんな大したものじゃないよ……私のお菓子なんて」
「『何を仰いますの!?』」
ぴしり、と。メガディアンシー?は衝撃を受けたように固まると、次の瞬間にはずいっと私へ顔を近付けてきた。
「『この甘味、この香り、この食感!これほど人を幸福にするものが“大したことない”など、有り得ませんわ!』」
「そ、そう言われても……」
こんなの、レシピを見れば作れてしまう。
誰でも作れるような、お店に行かなくても食べられる。
そんな態々買うようなお菓子とは、思えない。
私のお菓子には、個性がないから。
「『少なくとも、こんな甘味は王族でもなければ口に出来ぬ品ですわよ!!』」
そう言って、メガディアンシー?は大切そうにクッキーを両手で抱える。
「『甘味とは貴重なもの。花の蜜、熟れた木の実……それらを少しずつ分け合い、神へ捧げ、王へ献上する。そういうものですわ!』」
まるで昔話のような話。だけど、その口振りは冗談には聞こえなかった。
「『ですが、この甘味は違いますわ』」
メガディアンシー?はクッキーを見つめながら、小さく笑う。
「『誰かに奪われぬよう急いで食べる必要もない、王へ献上するために飾り立てる必要もない。ただ美味しいと笑い、分かち合える……そのためだけに存在している甘味』」
その言葉に、私は少しだけ目を見開いた。
「『私、好きですわ。こういうお菓子』」
ただ純粋に、美味しいものを食べて幸せそうにしている女の子みたいな感想。
「『それに、このお菓子……優しい味がしますもの』」
「……優しい?」
「『えぇ。誰かに見せ付けるためではなく、“一緒に食べる誰か”を考えて作られた味ですわ』」
その瞬間、胸の奥が少しだけ熱くなった気がした。
一緒に食べる誰か。
その言葉が、心の中へ静かに落ちていく。
私はカエデさんに言われた個性のあるお菓子を、“特別なお菓子”ばかりを探していたのかもしれない。
誰かを驚かせるような見た目。
お店の看板になるような個性。
カエデさんみたいに“その人らしい”と一目で分かるようなお菓子。
でも。
「……そっか」
私は小さく呟きながら、グレイシアを見る。
グレイシアは変わらずクッキーを齧っていてる。
しかも、少し離れた場所ではミュウがこっそり姿を現し、グレイシアの皿から摘み食いをしている。
「あ、ミュウ。いつの間にボールから……」
「みゅ~♪」
バレた?と悪戯がバレた子供のように笑うミュウに、思わず苦笑が零れた。
ミュウはふよふよと浮きながらタッパーから二枚クッキーを抜き取るとテントの中にいたマホイップや、地面に伏せていたアブソルの口へとクッキーを加えさせる。
するとアブソルは最初こそ驚いたようたが、即座に口にあるのが何なのか理解したのか静かにクッキーを咀嚼する。
テントの中にいるマホイップは少しだけ控えめな笑顔を浮かべながら、小さな口で少しずつ少しずつクッキーを咀嚼していく。
みんな、こうして当たり前みたいに私のお菓子を食べてくれている。
それはきっと、ただ甘いからじゃない。
空腹を満たすためだけでもない。
誰かと一緒に食べる時間が好きだから。
そういう時間ごと、味わってくれていたのかもしれない。
そうだ、こんな私の個性のないお菓子でもこうして喜んでくれる人やポケモンがいた。
最初に、それこそ私がお菓子を作った時にコルニ姉さんは美味しいと喜んでくれた。
小さな子供の作った、手作りのお菓子。
他にもお母さんやお父さん、ユウリやホップにマリィさんも私のお菓子を好きだと言ってくれた。
グレイシアも、マホイップも私のお菓子が好き……だと思う。
グレイシアがこうして毎日おやつをねだるのも、そうだから、お菓子が好きだから……だと思いたいな。
私は……私はお菓子を作るのは、自分にとっての夢だから。
みんなが笑わなくても良い、でも食べた人もポケモンも笑えるような、そんなお菓子を。
それが、私の求めていたお菓子だ。
それが、私の作りたいお菓子だ。
「そっか、これが私のお菓子の個性だったんだ」
「『ふふ、良き顔になりましまわね!』」
満足そうに笑いながら、メガディアンシー?はタッパーに入ったクッキーの最後の一枚を口へ放り込む。
嘘でしょ……グレイシア用のおやつ5日分がもう?
そんな驚きと、メガディアンシー?の言葉に少しだけ笑みを浮かべた。
自分のお菓子の個性のなさに……さっきまで落ち込んでいたのが嘘みたいだ。
「『さて、姫たる私にふさわしき甘味を献上した貴方に、褒美を授けますわ!』」
「え?」
その言葉と共に胸を張った彼女は、自信満々に言った。
「『姫たる私を侍らせる栄誉を与えますわ、感謝しなさいな!』」
「え?」
「『ここへ来るまでに様々な人間を見たのですが、人々はみんなその丸いもので私のような物達を捕まえ、隣へ侍らせるのでしょう?貴方に、姫たる私の隣へ立つ権利と栄誉を上げましょう!』」
「いや、でも私……これ以上手持ちを増やすつもりは……」
「『あら?姫たる私の褒美に文句でも?さぁ、姫たる私に相応しい物で捕まえてくださいまし?』」
「で、でも私……他にボールはもってないし」
「『……は?』」
私の言葉にぴたり、とメガディアンシー?の動きが止まった。
元々私は手持ちは増やさない予定だった。
アブソルとグレイシアとマホイップのみでずっと生きていくのだと思っていた。
だからこそモンスターボール等は買わないし、買うつもりもない。
予想外のミュウの加入に博士からカルボウの譲渡と、予想外のポケモンゲットしてしまっている。
だから、こそこれ以上は増やさないようにと、そう思っていた。
「『ない?』」
「は、はい……」
「『何を仰っていますの貴方!?』」
すると突然、メガディアンシー?が信じられないものを見るような顔をした。
「『あんなものを食べさせておいて、“はいさようなら”で済むと思っていらっしゃるの!?』」
「えぇ……?」
「『もう戻れませんわよ!?木の実と蜜だけの生活になど!!責任を取ってくださいまし!!』」
理不尽だった。
あまりにも理不尽だった。
けれど、本人は至って真剣らしく、ぷんすかと怒ったように頬を膨らませている。
「『姫たる私に、毎日あの甘味を献上する義務がありますわ!!』」
「え、えぇ……そんな契約した覚えないんだけど……」
「みゅみゅ~♪」
その時だった。
まるで忘れ物~♪というような鳴き声と共に空中へ姿を現したミュウが、
箱から現れたソレが、私の掌にとぽんっと落ちてくる。
「……え?」
ころん、と。 私の手の中へ落とされたそれは、黒と金を基調にした豪華な装飾のボール。
「これって」
それまだ私がガラル地方でジムチャレンジをしていた頃、エンジンシティの福引きのダイマックス賞として当てたゴージャスボールだった。
手持ちを増やすつもりはなくて、一度も使っていないし箱から出してもいなかったもの。
「『おぉ……!』」
その瞬間、メガディアンシー?の目がキラキラと輝いた。
「『なんですの!持っているではありませんの!!』」
ずいっ、と勢いよく顔を近付けてくる。
「『しかもこの豪華な装飾……!まさしく姫たる私に相応しい器ですわ!!』」
「え、いや、ちょっと待っ──」
「『では、ありがたく迎え入れられて差し上げますわ!』」
言うが早いか、メガディアンシー?は自分からゴージャスボールへと触れた。
一度ころん、と揺れてそれだけで、カチリと言う音が鳴った。
ゲームでも何度も見てきた確定捕獲の演出。
「…………嘘でしょ」
『ふふ、皆様!姫と共に過ごす事に感謝なさい!』
ボールの中から聞こえる、どこまでも満足げな声。
そんなメガディアンシー?の声とは反対に私の困惑と驚愕が入り交じった声が、その場に響いた。
あのあと、メガディアンシー?についてポケモン図鑑を調べたりスマホロトムで様々な解説動画やサイトを見たが結局は分からなかった。
図鑑もディアンシーでないという表記ではなくUNKNOWN、つまりは登録されていないポケモンであることを示していた。
色違いのメガディアンシー?らしき姿のポケモンである彼女についての情報を求めて、私はグレープアカデミーへと戻ってきていた。
エントランスホールには、様々な本が並んでおり自由に読むことが出来る。
ここなら、あの子についての記述があるかもしれない。
そう思い本棚を眺めながら歩く。
そして、そんな本棚の中にある一冊の本に目が止まる。
バイオレットブックと記されたそれ、不思議とソレに引かれた私はその本を手にとってページをめくる。
そしてその中には様々な、それこほ前世で見たオカルト雑誌のような内容の記述が続いていた。
その中にあった一つの記述に目が止まる。
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ヒメタルイシ
観測隊の ひとりが
洞窟の最深部にて 目撃したという
奇妙な存在の記録。
黒曜石を 思わせる身体に
桃色の結晶を 纏っており
王族の装飾品のような姿をしていた。
他地方に 伝わる
ディアンシーという
幻のポケモンに 似ているが
確認された個体よりも
遥かに大型であり
放たれる威圧感も 別物であった。
一部の隊員は
古代に 王へ捧げられた
“宝石の姫”ではないかと
噂している。
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「ヒメタル、イシ?」
「『それ良いですわね、私の名前はソレにしますわ!姫たる私に相応しい名前ですわ!』」
脳内に響いたテレパシーに慌てて周囲を見渡すが、誰もいない。
腰には開いていないゴージャスボールが揺れている。
早歩きで人通りが無さそうな物陰に入る。
流石に一人で話していたら変な人だと思われそうだ、誰も見ていないことを確認してゴージャスボールに触れる。
「えっとじゃあ、ヒメタルイシって呼ぶね」
「『遠いですわね、もっと近く……そう!それこそ姫で構いませんわ!ふふ、貴方に私を姫と呼ぶ権利をあげますわ!』」
「よ、よろしくね……姫」
この子、もしかしてジニア博士とかクラベル校長に報告した方が良いのかなぁ。
そんなことを思いながら私は呆然と呟くのだった。