一言だけ印象を挙げるとするならば『不気味』。巨大な肋骨と脊髄の塔が天井から広がり、その骨は周囲を囲う。多種多様な生物の頭骨が積み上げられた山に腰を掛け、袖が広い白の着物を身に纏うのは
「許可なく見上げるな、不愉快だ。小僧」
「なら降りてこい。見下してやっからよ」
「随分と殺気立っているな」
「当たり前だ。こちとらお前に殺されてんだぞ!」
「腕を治した恩を忘れるとはな」
「その後、心臓取っちゃったでしょーが!」
肉体を一時的に乗っ取った宿儺によって心臓をもぎ取られ、死亡したはずの虎杖は死因の張本人である宿儺を睨め付ける。当然かのように宿儺は虎杖を殺害したことの罪悪感など一切無く、寧ろ彼の腕を反転術式で治癒した対価の方が大きいだろうとため息をついて呆れていた。
「ここ、地獄か?死んでまでテメェと一緒なのは納得いかねぇけど、丁度いいや。泣かすッ!」
地獄を模した風景、死して尚も虎杖は『腹いせ』のために頭骨を一つ手に取って宿儺に向かってぶん投げる。宿儺はそれを宙返りしながら避けると脊髄の塔の裏側へと着地する。見下ろせば頭骨の山は崩れ、土埃が舞っている。雄叫びを上げて、巨大な肋骨部分を走り抜ける虎杖は宿儺に向かって拳を突き出す。
「歯ァ!食いしばれッ!!」
「フハッ、必要ない」
踏み込んで勢いを乗せたままの拳で連撃を繰り出すものの、それらは宿儺によって容易く躱され、捌かれる。宿儺からの反撃の拳が顔面を掠める前に屈んで腰を低くし、足元の肋骨部分に虎杖は拳を落とす。端から足場を揺らして宿儺の体軸を崩すための策、躰道の戦法である体の向きを反転させて足技を仕掛けるその術は半月当て。確実に仕留めたと確信した虎杖だったが、空気を透かした感覚に魔の抜けた声が出る。
「お前
虎杖の背後に立っていた宿儺は心底興味のない様子で、虎杖の背中を足蹴にした。肋骨の高所から蹴落とされた虎杖は血の池に丸呑みにされるが、高く昇った水飛沫から這い出る。すぐに背中に強い衝撃が加わり、肺の空気を池の中へと逃してしまう。その背中には宿儺が着地しており、続いて椅子のように腰を掛けて語り始めた。
「ここはあの世ではない、俺の生得領域だ」
「生得領域?伏黒達が言ってたような…」
「“心の中”と言いかえてもいい。つまり、俺達は
「偉っそうに。散々イキっといて結局テメェも死にたくねぇんだろ」
「事情が変わったのだ。近い内、面白いモノが見れるぞ」
宿儺の心象風景もとい生得領域はできれば長居したくない地獄そのもの、宿儺は優勢であることを示しつつ、虎杖よりも大きく開いたその力の差を理解した上で不適な笑みを浮かべる。彼が思い浮かべたのは英集修道院で相対した
「条件は二つ、①『俺が“
「駄目だ。何が目的か知らねえがキナ臭すぎる。今回のことでようやく理解した。お前は邪悪だ、もう二度と体は貸さん」
「ならばその1分間、誰も殺さんし傷つけんと約束しよう。はぁ……うざ」
「信じられるか!!」
「信じる信じないの話ではない。これは“縛り”誓約だ。守らねば罰を受けるのは俺、身に余る私益を貪れば報いを受ける。それは小僧が身をもって知っているはずだ」
そもそも“縛り”とは条件下でのリスクを背負いながら何かしらの対価を得るための誓約。自身への縛りとして、スタンダードとされるのは『術式の開示』による呪力や術式の出力、効果を強化する手法が挙げられる。宿儺が提示した条件を宿儺自身が破ればペナルティが課せられるため、下手な真似はできない。特に虎杖との間で結ぶ他者間での縛りは相応の罰が下る。英集修道院での特級呪霊との会敵、宿儺の力を私的利用した虎杖に下った罰は『宿儺への自由』、それは暫くの間のみ肉体の主導権を奪われた理由だ。
「前は大丈夫だったろ!」
「ん?ああ…あの時は俺も替わりたかった。お前も
「…分かった。退いてくれ、条件を飲む。何がしてえのかよく分からんけど、まぁ生き返るためだしなッ!」
虎杖が伏黒と初めて関わり、特級呪物『宿儺の指』を飲み込み、現代に
兎も角、宿儺との縛りを結ばなければ助かる術はないはずだったが、あろうことか隙を突いた虎杖は宿儺の頬から顔面を思いきりぶん殴った。呻きながらも後方へ突き飛ばされた宿儺は口元を裾で拭い、冷めた視線を虎杖へ向ける。
「なんて言うわけねぇだろ。無条件で生き返らせろ、そもそもテメェのせいで死んでんだよ」
「ふう…ではこうしよう。今から殺し合って、小僧が勝ったら無条件で、俺が勝ったら俺の縛りで生き返る」
「いいぜ、ボコボコに———」
虎杖の牽制は絶好の
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天井に張りついた細長い蛍光灯がジリッと微かな唸り声を漏らした。白く濁った光が何度か闇へと沈み、遅れて届く乾いた瞬きの音だけが、静まり返った空間に不規則な間隔で跳ね返った。呪術高専東京校・霊安室では死亡して遺体となった虎杖の側で、五条が
「僕はさ、性格悪いんだよね」
「知ってます」
「伊地知、あとでマジビンタ」
「マ…マジビンタ…?」
五条の語り出しに伊地知はノータイムで返事をし、彼に性悪であると肯定してしまったため五条に脅された。尤も並みの術師であろうと五条の平手打ちを食らえばひとたまりもないことは確かなので、伊地知だと尚更危険だろう。怯えるのも無理はない。
「教師なんて柄じゃない。そんな僕が何で高専で教鞭を執っているか、聞いて」
「…何でですか?」
「夢があるんだ」
「夢…ですか」
「そっ。悠仁のことでも分かる通り、上層部は呪術界の魔窟。保身馬鹿、世襲馬鹿、高慢馬鹿、ただの馬鹿、腐ったミカンのバーゲンセール。そんなクソ呪術界をリセットする。上の連中を皆殺しにするのは簡単だ。でもそれじゃあ、首がすげ替わるだけで変革は起きない。そんなやり方じゃ、誰もついてこないしね。だから僕は教育を選んだんだ。強く聡い仲間を育てることを。そんなわけで自分の任務を生徒に投げることもある、愛の鞭」
(それはサボりたいだけでは?)
「みんな優秀だよ。特に3年
呪術界を仕切る上層部、呪術総監部は未だに古臭い風習を重んじており、その文化と自らを第一に考える自己中心的な者どもの組織である。呪術師が才能を活かせぬまま、花を開く前に散った仲間を五条は幾度も弔ってきた。呪術界を丸ごと取り壊し、塗り替える呪術師を生み出すことこそが五条の真の目的。蕾である虎杖を摘まれたのは、大きな期待をかけていただけあって腹立たしいことこの上なかった。ただ拳を握り締めて感情を押し殺し、誤魔化すしかないのだ。
「ちょっと君達、もう始めるけど。そこで見てるつもりか?」
呪術高専東京校所属の医師、
「おわっ!フルチンじゃん!」
「ごごごご…!五条さん!!い、生き…生き…」
「ククッ…伊地知うるさい」
「ちょっと残念」
「あの…恥ずかしいんすけど、誰?」
真っ裸のまま意識を取り戻した虎杖に取り乱す伊地知と愉快そうに笑みをこぼす五条、肉体を解剖することが叶わなくなった家入は名残惜しそうにしていた。そんな家入とは初対面の虎杖は一応は異性であるため、全裸であることや陰部を見せつけていることに申し訳程度の恥じらいを見せた。家入は透かさず、服を着せるために青のTシャツを寄越した。
「悠仁!おかえり!!」
「オッス、ただいま!」
晴れやかな出迎えをした五条に笑いかける虎杖は互いにハイタッチを交わし、事は済んだかに思われた。虎杖の死亡報告を修正するところを記録上はそのまま故人としての扱いを送らせることにした。上層部に狙われる前に五条が虎杖に最低限の力を身につけさせるための粋な計らいだ。しかし、五条は京都姉妹校交流会には復学させるつもりのようだ。『若人から青春を取り上げるなんて、許されていない。
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『Cafe' レストラン ライス』店内のテーブル席では、昨年の百鬼夜行を経て絶命したはずの
(俺は今からばっくれるッ!昔から責任感は強い方だった。給料も全部!四人の義妹を大学に通わせるために貯金してる!そんな俺でも抗えない生存本能ッ!あのテーブルに近づけば死ぬッ!!)
店員、彼の人生に於いて義妹が中心であり、大学に進学させるためであれば惜しみなくアルバイトのシフトに自らの時間を捧げ、給料さえも注ぎ込むつもりであった。この場に居座り続け、『テーブルに近づく』というただそれだけの行為が生命線を分つことを瀬戸際にある全身の細胞が知覚している。うっかりで済む話ではないッ!
「ジョースター、か。複数に流れるその血統の中で貴様が真に警戒するのは
「そうだね。実力も知略も経験も経済力も金城譲と同等…いや、上回っているだろう。全盛期と比べれば恐れるほどではないにしろ、それでも彼は現時点で最も邪魔なジョースターの人間、特筆すべきなのは五条悟とも接点があること。手を組んで来られてはこちらの敗北は確定だ」
「そうなれば難しい話にはなるが、殺せば良いのだろう?五条悟よりも先に空条承太郎を屠れば済む話ではないか」
「そう簡単にいくのなら苦労はしないよ、漏瑚。五条悟よりも始末しやすいのはその通り、だけど彼の後ろ盾には
「疑問はあるが、理解はした。不思議なのはその上で先の二人よりも優先して金城譲を暗殺する意味だ」
「端的でもっともな理由を付けよう。五条悟と空条承太郎を繋ぐ存在、つまり呪術界とジョースター一族の両方と容易くコンタクトが取れる存在だからだよ。直結しているのは何よりも『運命力』、彼は私が警戒する人間の中で最も『運命力』が強いよ。うろうろされると厄介なんだよね。早めに決着をつけたいね…たとえそれで、五条悟と空条承太郎という巨大なリスクが降りかかっても。今は漏瑚達の手は借りないよ。さて、本題だった五条悟の方へ話を戻そうか」
総合的に評価すれば、確実に抹消すべき対象は五条悟、空条承太郎、ジョルノ・ジョバーナである。尚も金城譲に固執するのは、とてつもない『運命力』を秘めているからだ。その漏出するそれが巡り巡って呪術界とスタンドを操るジョースター一族を密接に繋いでいる。放置しておけば、先に挙げた三人よりも脅威となる。しかし、夏油は未だ金城譲を牽制する程度であり、本来は五条悟の対処が最優先事項だ。
「五条悟、やはり我々が束になっても殺せんか」
「ヒラヒラ逃げられるか…最悪君たち全員祓われる。殺すより封印することに心血を注ぐことをお勧めするよ」
「封印?その手立ては?」
「特級呪物『
「じゅ…ご…獄門疆!?持っているのか!あの忌み物をッ!!」
「漏瑚、興奮するな。暑くなる」
五条悟を実力で打ち倒すのは不可能に等しい。そこで夏油が用意した代案は『封印』、その手段に必要不可欠となる代物こそが特級呪物『獄門疆』。余程珍しい呪物なのか漏瑚は頭頂部の火山頭をグツグツと煮えたぎらせ、汽笛のような甲高い音を鳴らしながら高温の煙を噴き出す。その時、恐怖に支配されていた先程の店員は急いで店長に退職することを告げて制服のまま出入り口へと駆け出し、外へと一足早く抜ける。
「お客様、ご注文はお決まりです……カ?」
「きゃああああッ!!」
「あまり騒ぎを起こさないで欲しいな」
「これでいいだろう?」
店長が直々に注文を丁寧に急かした瞬間、火だるまと化した。燃え上がる人の形をした肉塊が床に力無く倒れ、湧いた叫び声に気づいた周囲は騒然とし、夏油はその状況で心底迷惑そうにしていた。得意げに漏瑚は親指から中指までの三本を天井に上げままクンッと手前に引くことで、次々と店内の人間達が炎上し、肉の焼ける匂いと立ち込める煙に夏油は咳き込む。
「高い店にしなくてよかったよ」
「夏油、わしは宿儺の指何本分の強さだ?」
「甘く見積もって、8、9本分ってとこかな」
「十分!獄門疆をわしにくれッ!蒐集に加える。その代わり、五条悟はわしが殺す」
脅威の強さを誇る漏瑚は意気込み、夏油を前に単眼を大きく見開いて堂々たる宣言を掲げる。燃え上がる店内で唯一生存していた女性店員は腰を抜かして、体を引きずりながら店外へと通ずる自動ドアが開いた瞬間に焼き尽くされた。「助けて」というSOSには誰かに届く前に灰となって消え入る。
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西東京市・英集修道院にて発生した特級呪霊による被害者の家族の元へ金城譲と
「自分達が現場に着いた時には既に息子さんは亡くなっていました。正直、自分はあそこの人達を助けることに懐疑的でした。でも仲間達は違います。成し得ませんでしたが、息子さんの生死を確認した後も遺体を持ち帰ろうとしたんです」
その後の特級呪霊との遭遇で囮として引きつけるために身代わりとなった虎杖の理念である『正しい死』が脳裏を駆け巡っていた。まだ生存している仲間を置き去りにしようなどとは考えもしなかった伏黒は呪霊との遭遇直後で、『頼む』と虎杖に何かを託されていた気がしていた。逃走の際に遺体から「岡崎 正」と記されていた名札を服から引きちぎったのは感化されていたからだろうか。
「せめて
「…申し訳ありませんでした」
「…いいの、謝らないで。あの子が死んで悲しむのは私だけですから」
遺品である名札を収納したチャック付きポリ袋を岡崎正の母親へと手渡す。直後に謝罪を口にして角度を付けて頭を下げた伏黒に合わせるように同様に謝罪した譲は静かに目を伏せた。母親は泣き崩れていた。呪術師で溢れる彼らは虎杖という仲間だけではなく、他人の家族でさえも救えず失ってしまったのだ。その『証明』が母親の握り締められた手元に形として残っていた。
「……うん」
「…どうした、金城」
「やはり恵君は優しいな、と」
「バカ言うな」
「冗談で口を滑らせるタイミングでもないよ」
「………なあ、金城は呪術師としてどんな人達を助けたいとかあるか?」
「吐き気を催す邪悪、それに魂を売っていない者であれば助けたい。これだけははっきりと言えるよ」
「…そうか」
「人それぞれだ。でも、岡崎正はどちらだろうか…もう、わからないな」
改めて自らが内包する信念と向き合う伏黒は『多くの善人が平等を享受できるように不平等に人を助ける』という行動原理を疑うつもりはなかったが、他の意見も咀嚼するべきだと前を向いた。譲の信念もまた立派なものだが、似ているようでまた相違ある行動原理だと理解した。岡崎正はきっと善人ではないだろうが、譲の言う『吐き気を催す邪悪』ではないのかもしれない。それも当の本人にしかもうわからない。自問自答を繰り返し、帰路に着くと2年生との鍛錬に明け暮れるのだった。
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翌日、太陽がようやく西へ傾き始めていた。昼間の勢いを失いながらも、なお強い橙色の光が呪術高専の鍛錬場に降り注ぐ。その中央で、金城譲は脂汗を滲ませた全身に髪や通気性の優れたシャツを張り付かせて尚も右足を前、左足を後にした体勢を崩さず、右手の先を天井、左手の先を床面に向けまま輪のような形を作った状態で呪力を練り上げていた。
「お、やってるねー譲」
「悟先生…」
「進捗はどう?見た感じは体力ごっそり削られてそうだけど」
「悪くはないはずです。相当な集中力と体力を持ってかれますけど、俺ならできる」
「流石だね。僕が見込んだだけはあるよ」
背後からの声が五条のものであると気づいた時には構えを解いて呪力の使用も取りやめた。挑戦しているのは呪力操作の中でもそこそこの高等技術ではあるものの、呪力総量の少ない譲にとっての難所。しかし、彼はスタンドを行使する最中で呪力操作と密接な関係があると肉体が知覚していたため、かなりの才がそこに刻まれている。
「少年院ではお手柄だったね。まさか敵を捕縛して高専へ運送するために伊地知を使うなんてね」
「俺のスタンドは人をどうこうするものじゃあない。ただ、敵を詰めたロッカーであればただの入れ物としてカウントできたんです。それをミニチュアにして渡しました。それで、スタンド使いの
「それがね、彼の呪術に関する記憶だけすっぽり抜けてる。恐らくだけど、呪詛師と組んでたのまでは間違いない。何らかの縛りで成り立った関係だったんだろうね、波瀬自身が負けを認めた時点で記憶の消去が行われるとか…」
「そうですか…であれば、少年院でのことはその呪詛師が仕組んだと言っても過言じゃあない」
「あり得るね、僕も調べてみるよ。後もう一つ聞きたかったんだけど、宿儺はどうだった?」
波瀬が呪術に関する記憶だけ消去される縛りを結ばれていたのは確定している。戦闘中もこちらの能力は筒抜けであったため、呪詛師が絡んでいるのは間違いないはずである。五条から宿儺のことを聞かれた途端に譲は一瞬だけ苦虫を噛み潰したような顔をしてからしっかりと目線を合わせて向き直った。
「歯が立ちませんでした。あれは一方的な暴虐、戦いとすら言えなかった。弱さを…痛感した」
「うんうん。呪いの王相手に生き残れた時点でもっと自分を褒めていいけどね!」
「……俺は恐怖していた。細胞の一つ一つが怯えて震えていても俺の精神だけは逞しく高潔でなければならないと言い聞かせて、恵君の奮闘する姿の前では絶対に気張らないといけないと俺が突き動かされてやっとでした。宿儺にもそれは看破されていたことでしょう」
「宿儺は君にとっても恵にとってもどう足掻いても格上、何十個も連なる壁の先に居るような存在だ。それをたった二人でよく耐えた。生き残った上で言おうか、君達にとってそれは無謀ではなく可能性になるよ、きっとね」
「…………丸ごと武器にしてやります。悠仁君の分まで呪術師として俺を『証明』してみせる」
宿儺の圧倒的な暴力に死を覚悟していただろう。生存したのは虎杖が自分達にかけてくれた情けと期待だと譲は受け取っていた。その情に必ずや報いてやると絶望的な実力差を突きつけられてもめげていない。自らが強さに至らないことで仲間を喪失する感覚が身に浸透、黄金の精神はそれでも眩さを主張する。
「宿儺には一発も攻撃は当たりませんでした」
「ふーん………一発も?…ということはスタンド能力の詳細ってまだバレてないかもね」
「…悠仁君とも記憶を共有しているようでした。こっちの術式はバレてますけど、スタンドはそこまでかと」
「まだ、不意打ちくらいならできるかもね。それがいつになるのかは知らないけどさ。その時まで備えるんだよ、譲」
「はい、もちろんです」
「さ、今日はもう休みな。明日からまた隙間時間見つけて頑張って!リスク承知で君なら使い熟せると信じて僕が教えたんだ。自分なりに完成してみせてよ、御三家秘伝の領域対策・『
御三家秘伝・『落花の情』習得まで———!!
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《パラメータ》
【術式名】 【術者】
無 伊地知潔高
等級-不明