西東京市・英集修道院で死亡したという報告を取り下げないまま故人として隠匿されている
「近接戦闘に関しては悠仁は頭一つ抜けてると思うよ。今覚えるべきは呪力の
「いや、やっぱ修行つけてもらうなら五条先生が良いと思ってたから嬉しくて!俺は弱くて、誰も助けらんなかった。それどころか伏黒と金城を殺しかけた。今のままじゃ、あいつらに顔向けできねぇよ。強くなりたい、『最強』を教えてくれ」
「フッフッ、お目が高い」
「先生、自分で最強って言ってたけどね」
虎杖が目指すのは呪術師としての天井、最強の五条悟だとするのならば、指導者としてこれ以上の適任はいない。少年院で痛感した自身の脆弱さを覆すには最強の元で呪術について学び、修行を重ねる他ない。特筆すべきは虎杖の生来の肉体の頑丈さと格闘能力が使いものにならなかったという点、特級相手にも通用する能力を会得しなければならない。
「ではまず、あちらの缶ジュースをご覧ください」
「おおっ!?」
「こっちが“呪力”で、こっちが“術式”」
「なるほど、わからん」
「うーん、そうだね。『呪力』を『電気』、『術式』を『家電』に例えようか。『電気』だけじゃちょっと使い勝手悪いでしょ。だから『家電』に『電気』を流して様々な効果を得るわけ」
誘導された目線の先には、事前に用意していたであろう二つの缶ジュースが、木製の机の上に置いてあった。緑色の缶ジュースは弾け飛んで落下すると、所々凹みながら中身を溢していた。橙色の缶ジュースは原型は留めておらず、中心から捻れて中身を垂れ流していた。前者は『呪力』を衝突させたのみ、後者は呪力を流して『術式』による効果が反映され、呪術で捻った結果である。
「つまり!これからチョベリグな術式を身につけると!!」
「いや、悠仁は呪術使えないよ。簡単な式神とか結界術は別として、基本的に術式は生まれながら体に刻まれてるものだ。だから呪術師の実力は
「いや、俺もサンダーとかファイヤーとかパワーボムとかできると思ってたから…」
「パワーボムはできるでしょ、大仁田か」
「あー……駄目だ、こりゃ〜……
自身も術式を身につけて戦闘に役立てることができると勘違いをしていた虎杖は期待を裏切られ、紙切れのように床にへたり込んだ。しかし、五条は内心ではあるが“今”は術式を使えないだけで、いずれは虎杖の肉体に宿儺の術式が刻まれると踏んでいた。今、できないことは無視して虎杖の長所を伸ばすための技術を提案することにした。
「悠仁の体術に呪力を上乗せするんだ。下手な呪術よりも、こういう基礎でゴリ押しされた方が僕は怖いよ」
「お?」
「さっきも言ったけど、肉弾戦の才能はピカイチだからねえ」
「でもでも!それなら俺もうできるぜ!
「じゃあ、やってごらん。
「ケガしても知んないよ?」
「いいから、はよはよ」
確かに特級呪霊との交戦の最中で、呪力を込めた拳をぶつけた。効果はいまひとつではあったが、呪力を扱う感覚としては悪くはなかったはずだった。体勢を直した虎杖は思い切り力を込めた拳を振るって、五条の手の平に命中させたが、乾いた音が部屋中に響き渡るだけだった。五条は呪力が籠もっていないことを指摘し、虎杖本人も何故なのかわからずに動揺していた。
「呪力の源は負の感情、君の言う“あの時”は怒りや恐怖に満ち溢れていたんだろう」
「あっ、呪力を使う時は常にブチ切れてなきゃいけねえのか。おお、確かに伏黒もいつもキレ気味だったかも」
「違うよ。みんな僅かな感情の火種から呪力を捻出する訓練をしてるんだ。逆に大きく感情が振れた時、呪力を無駄遣いしないようにもね。訓練方法は幾つかあるけど、悠仁にはかなりしんどいものをやってもらうよ」
「ど…どんな?」
「映画鑑賞!!名作からC級ホラー、地雷のフランス映画まで!起きてる間はブッ通しでだ。もちろんただ見るだけじゃないよ。
映画鑑賞を呪力操作の訓練とするのは拍子抜けに思えるかもしれない。五条の手に鷲掴まれていたものは鼻提灯を膨らませ、眠っている呪骸。青のボクシンググローブを両手に嵌めたこの呪骸と映画鑑賞をやり遂げる必要がある。もちろん、学長である
「……で?全然要領得ないんだけど」
「焦らない焦らない、そろそろだよ」
手渡された呪骸をひっくり返してみたり、揉んでみたりするがピクリとも反応を示さない。生物のようで、ぬいぐるみらしさは抜けていない。しかし、寝息を立てていたはずの呪骸は突如として目を覚まし、虎杖の顎先を殴り飛ばす。この呪骸には一定の呪力を流し続けなければ意識を覚醒させ、所持者を襲うような仕組みが施されているのだ。
「さっきも言った通り、ここには色んな映画が揃ってるから…ドキドキ!ハラハラ!ワックワク!泣けて笑えて胸クソ悪くなれる。まずはその呪骸を起こさず、映画を1本無傷で見通すこと。これがどんな感情下でも、一定の呪力出力を保つ訓練、多過ぎても少な過ぎても駄目だよ。今は悠仁でも出せる程度の微弱な呪力に設定してあるけど、徐々に大きな出力を要求してくるから常に気を抜かないようにね」
「抜きたくても抜けねえよこれじゃあ…」
「何から観る?これなんてオススメだよ。ヒロインがムカつくんだけど、最後派手に死ぬの!」
「すんげえネタバレ」
その微弱な呪力を一定の出力で保つことさえも、今はまだ難しく途方もない。両手で押さえ込んでいる呪骸が暴れたり、眠ったりを繰り返しながら未熟さを痛感することとなる。映画のジャンルを選択する際に顔面に呪骸からの裏拳を喰らって、呪骸を思わず投げ飛ばす。感情が昂って苛立ちを覚えようとも呪力は一定に保つ訓練を日々重ねることが、今の虎杖にとっての最善の課題となった。
******
一方、呪術高専にて
「
「よっ、久しぶりだな!ジョジョ!……って、今はもうその名で呼ばない方がいいのか、悪い」
「お久しぶりです。馴染みはあるかもしれないですが、呪術師ジョジョは休業中なので。別に隠してるつもりもないですが。高専生で琢真さんの後輩として、金城譲としてお会いするのは初めてです。改めてよろしくお願いします」
「そう改まるなよ、後輩ちゃん!今日はよろしく、そして入学おめでとさん!譲、そして———嬢ちゃんも」
夏油傑が引き起こした百鬼夜行にて、呪術師ジョジョとして途中参戦という形で手を貸した時以来の再会であった。猪野からの呪術高専入学の祝辞をいただいたところだが、この場には初対面同士の者の組み合わせが一つあった。茶髪のハイツインテールを靡かせる
「初めまして、猪野さん。転入の件はありがとうございました!鈴原美音です」
「噂には聞いてたけど……こりゃ物凄い美人だな。譲も隅に置けねえなあ〜」
「琢真さん、俺たちが反応に困るようなこと言うのはやめてくださいね」
二人とも呪術高専への在籍時に猪野には非常に世話になっているが、無駄口は止めるべきだ。美音が美人であることは本人含めて誰も否定はしないが、二人の関係を聞かれても友人以外の何者でもないからだ。今日、猪野と待ち合わせをしていたのは共同任務だからである。
「んじゃ、仕切り直すか!今回の任務は調査、本来は俺が単独でやろうとしてたところだが、どうもきな臭えから頼みの綱であるお前達を呼んだ!恩も売ってたところだしな!」
「それは人狼と百鬼夜行の件で手伝ったから、便宜を図ってくれたのかと思いました」
「だから任務は手伝わねえってか?冷たいこと言うなよぉ〜、実は満更でもねえだろ?」
「…話を戻しましょう。聞く限りだと人の顔面と犬の体を持つ怪異の目撃情報が増加しているだとか」
「そ、お前らも聞いたことくらいはあるだろ。『人面犬』、人の言葉を喋る日本の都市伝説で噂される程度の存在だ。ルーツとしては江戸時代、同じく人面の犬が産まれたらしいが真偽はわからん。1990年前後にも似たようなので、メディアでも大ブームになっちまった。問題は実際に存在するかしないかじゃない、人の噂から呪いは生まれるんだ」
「確かにネットで調べたら古い情報だけに限らず、最新だと昨夜にも目撃情報がありますね」
嘗ての噂話でしかなかった人面犬という創作物が、噂から生まれ落ちた呪霊として跋扈している。都内では既に数十件の目撃情報があり、「窓」からの連絡も絶えない。今更、人面犬が出没するのは何かしらの要因があるのだろうが、それも含めて追求しなければならない。
「1990年代の術師が祓おうとはしなかったのは何故です?」
「さあな、害がなかったからじゃねえか?最近の人面犬は攻撃性が増して凶暴らしい。やっぱ噂がまた広まって、人面犬という呪霊自体が強くなってんのかね」
「真相はわからないですが、2012年の大災害によって呪いは増加傾向にあります。閑散期に突入しつつあるとはいえ、呪いだって以前よりは数も増え、強いでしょう?」
「まあな。俺も含めてだが、先輩達もそれは身を持って痛感してるとこさ」
全ての元凶とまでは断言できないが、呪いに凄まじい強化を齎したのは2012年のアメリカにて勃発した『ファンタジー・ヒーロー事件』、「人々がカタツムリに変貌を遂げる」異変、エンリコ・プッチ神父による時の加速が関与しているのは間違いない。他の呪霊だけではなく、嘗ては見逃す程度だった人面犬も例外ではないだろう。
「飽くまで調査、討伐じゃねえ。まずは虱潰しに足で探すぞ」
「心当たりとかって、ありますか?」
「美音ちゃん、俺達には
「居そうな場所って……なんだろ」
「当時の感覚なら空き地、ゴミ捨て場、狭い路地だろうな。俺もその年代じゃねえから詳しくはないけどな!」
十分な情報がかき集められているが、イマイチ心許ないのは任務に割り当てられた人員の年代が過去の人面犬の出没時期と外れていることが原因だろうと結論付け、口には出さなかった。美音はSNSで更に情報収集をし、一同はコンビニエンスストアで軽食を買って空腹を紛らわせながら現時点での情報を元に調査を開始した。
******
月明かりに照らされる山道で、しっかりと区切られた車線を守って走行する黒塗りの車の中には運転席でハンドルを握る伊地知、後部座席には五条悟が乗車していた。まだ予定時間には余裕はあるが、夜蛾正道との会合を控えている最中、遅刻魔である五条は珍しく他の予定を詰め込むことはせずにそのまま直行することに決めた。
「……止めて」
「えっ、ここでですか?」
「先行ってて」
「えっ!?こ…これ、何か試されてます?本当に先行ったら殴る的な」
「僕をなんだと思ってるの」
突然、車を停めろと言うのも言葉足らずであることは自覚してはいたが、伊地知の不安から来ているであろう深読みは心底心外だと五条はため息をついた。納得させた上で、車が離れるのを見送っていると背後の満月に人影が映り込み、徐々にそれは接近する。雄叫びを上げるそれは道路の舗装に細かい蜘蛛の巣状の亀裂を無数に刻みながら強い衝撃と共に着地した。
「君、何者?」
「ヒャアッ!!」
小さく砕かれた小石同然の舗装の一部が舞う。余裕たっぷりの笑みを浮かべるそれは単眼で頭部が火山のような異形だ。その異形…
「存外、大したことなかったな。ん?」
「誰が——大したことないって?」
「小童め」
硝煙と熱気が晴れるとそこには無傷そのもの、塵一つ被っていない五条悟が佇んでいる。まるでそれは、五条を中心として円形の“何か”が取り囲んで守護しているかのようだった。そして、五条は目の前の異形が呪霊という存在だというのにしっかりとコミュニケーションを取ることができ、半端ではない呪力量を内包していると冷静に分析していた。結論、未登録の特級呪霊として断定した。尚且つ、現在の両面宿儺よりも強いと交戦経験のある五条が見抜く。
「特級はさ、特別だから特級なわけ。こうもホイホイ出てこられると調子狂っちゃうよ」
「矜持が傷ついたか?」
「いや、楽しくなってきた」
「楽しくなってきた…か。危機感の欠如」
特級同士、互いに構えを取る。五条は口角を上げると指の関節を小気味の良い音で鳴らし、漏瑚を見定める。わざわざ限りなく無人に近い場所を選択したのは、他の術師の加勢を避けたのだと推定する。ポンと音を立てて、漏瑚の頭部から小型の羽のついた虫のような呪霊『
「これ、当たるとどうなんの?」
火礫虫には音と爆発の二段構えの攻撃が仕込まれていた。しかしながら五条にそれが通じた素振りは全くなく、着弾地点とずれた場所に降り立っていた。器用だと褒めている中、真横から漏瑚が詰め寄りながら手の平の火炎で五条の顔面を焼き払った。追い討ちをかけるように背中に手で触れた状態で、紫の炎を発射することで焼却を試みる。
「……こんなものか。蓋を開けてみれば弱者による過大評価、今の人間はやはり紛い物、真実に生きておらん。万事醜悪、反吐が出る。本物の強さ真実は死を持って広めるとしよう」
「このくだり、さっきやったよね。学習しろよ」
「…どういうことだ」
「んー、簡単に言うと当たってない」
「馬鹿な、さっきとはワケが違う。儂は確かに触れて殺した」
「君が触れたのは、僕との間にあった「無限」だよ。教えてあげる、手出して」
漏瑚からしてみれば不可思議そのものであった。無傷、微動だにすらしない五条の余裕綽々な態度にも、攻撃を防いだ原理にも。五条の提案に殺意はないと判断し、術の全貌を知り得るためにも五条の左手に自身の左手を差し出す。すぐにはっと目を見開いて驚愕する。触れようとしても触れることができない。これが「無限」なのかと理解を得て、取り敢えず咀嚼してみることしかできなかった。
「止まってるっていうか、僕に近づくほど遅くなってんの。で、どうする?僕はこのまま握手してもいいんだけど」
「ぐっ…断るッ!」
「照れるなよ、こっちまで恥ずかしくなる」
「ぐううッ!貴様ーーッ!!」
その原理の中でも五条からであれば触れられるようで、漏瑚の手の平にピッタリと手の平を密着させて恋人繋ぎのように固める。戦闘中での侮辱行為と受け取った漏瑚は激昂するが、透かさず五条からの腹部への拳をもらった。破裂音と共に紫色の血反吐を吐くが、片手を塞がれて掴まれたままであるため、その反動を利用して逃亡することも叶わない。とてつもなく迅速、ただ呪力で強化した打撃とも異なる打撃、漏瑚からしてみれば得体が知れない。そのまま左手のみの張り手を連続で喰らい、最後に回し蹴りが炸裂して宙へやっと飛び出した。
「無限はね、至る所にあるんだよ。僕の呪術はそれを現実に持ってくるだけ。「収束」、「発散」、この虚空に触れたらどうなると思う?———術式反転『
右手の人差し指を立てたその先に文字通り、周囲の「無限」から収束して取り込まれたエネルギーが具現化する。それは小さな球体状の真紅のエネルギー、真っ直ぐに漏瑚を捉える。虚数の空間を増幅させる事により指向性を持つ衝撃波を発生させ、森林を薙ぎ倒しながら漏瑚は転がっていく。その拍子に方向転換をして逃げ出すつもりであったが、追いついた五条に殴られる。顔面を鷲掴まれ、地面を抉りながら押し付けられる。成す術はないが、反撃に出た漏瑚は紫の高火力の火炎放射を浴びようとするが、既に背後へと回り込んでいた五条に蹴り飛ばされ、湖へと突っ込む。
『死ぬよ、漏瑚』
ファミレスでの
「ごめんごめん、待った?」
「そいつは…!」
「見学の虎杖悠仁君です!」
ふわりと湖の水面に降り立ち、現出した五条の右手にはパーカーのフード部分を掴まれ、急に知らない土地へ連行されたことで、てんやわんやの虎杖の姿があった。一目見て、漏瑚は彼を宿儺の器だと気付いたが、当の本人は漏瑚の頭が富士山だと喚いていた。五条は漏瑚が復帰するまでの一瞬の時間で、呪術高専に帰還した。呪骸に触れたまま映画に集中するまでに至った虎杖の飲み込みの早さに感心しつつ課外授業として、呪術戦の頂点を目に焼き付けさせようとしたのだ。その為に虎杖を戦場へ運んだ。
******
譲、美音、猪野の三人は日没まで数々の人面犬の目撃情報があった場所へと足を運ばせていた。判明したことは三つ、一つ目は人面犬は非術師からでも目視で確認ができること、二つ目は口数が少ない上に凶暴であること、三つ目は聞く人によって姿形の特徴に差異が出ていることである。美音の調べでは、SNSでぼやけた写真が幾つか投稿されており、そこでも明らかにベースが似ているだけで細かい部分が異なっている場合が殆どであった。
「つまりよ、人面犬は一匹じゃない。ブームが起きた世代の記憶が曖昧で断片的、一つの姿に定まらないケースとしてはあり得るわな」
「残穢はあっても、呪霊の姿は一度も見ていない。人面犬がほぼ同時に別の場所で目撃されていることもわかっていますが…俺達が遭遇していないのは偶然ですか?」
「譲の勘に従うなら、不自然ってことね!不自然といえば、残穢に染みついた呪力の質もなんかおかしくない?表現するなら……本物の呪力に寄せただけの偽物…工作で動物の形にした粘土みたいな感じよ」
猪野の推測は理屈としては概ね通じる原理である。人面犬が話題沸騰した年代の記憶にこびりつくそれの姿は、最早一つに終着することはない。仮説が正しければ人面犬は複数存在、またはその時々で姿形が変化してしまうのだろう。同時に別の場所で出現しているのであれば前者の説が濃厚だろう。しかし、美音の一言で譲と猪野も呪力の残穢に対する違和感を覚えた。残穢は残穢、それが呪力によるものだと勝手に決めつけていた。もし、それが呪力を限りなく再現したもの———または、性質の近い“
「一旦今日は切り上げるか、後日また招集を……うん?」
「足音……!人間じゃあない、四足歩行の歴とした動物の足音ッ!サイズ感は大きくはないはず!!」
「なるほど、人面とは言ってもかなり化け物じみた異形の顔つきをしている。とても話が聞く相手とは思えないッ」
「…来るぞッ!!」
地面から柔らかに弾ませるような音が美音の鼓膜に触れる。反響音のみでその正体が手に取るようにわかり、小型犬のような大きさだと判明した。人面犬とはいえ、人の顔面とはかけ離れたホラーゲームで使用されるようなこの世のものではない見た目だった。具体的に伝えるのであれば、目玉の部分はくり抜かれて空洞となっており、顔面全体は青白い。三人が戦闘態勢に入った時、人面犬は殺気を撒き散らしながら超スピードで突進を仕掛けてきた。それよりも前に筋肉や骨格の軋みから初動を予期した美音の術式《
「子犬でこの威力ッ!?」
「噂じゃあ時速100km以上の猛スピードで走ってたこともあるらしい、噂が強くしまくってんな!ま、どっちにしろ隙が生まれたなら反撃に出ちゃうぞ」
『音重盾』と拮抗している間にニット帽で顔面を覆っている猪野は両手の間から術式《
譲の術式《
「おっさんの顔と…」
「首から下の体は犬…!!」
「正真正銘の人面犬…ッ!!」
馴染みある愛くるしい犬の
******
《パラメータ》
【術式名】 【術者】
無 虎杖悠仁
等級-不明