今日から俺は変わる。今までのようにはいかんぞ。

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第1話

 

THUYOSHI・・・SUCCESS

 

「ツヨシ!ご飯はどこ!?ないならビールでも持ってきな!」

よしこの声が家中に響いて朝を迎えた。

けいこ、のりこ、あつこが同時に目を覚まし、口々に命令をする。

「つよし、暖房ついてる?」

「つよし、今日はコンビニの弁当」

「つよし、部屋汚れてるけど?」

 

しかしいつものようにかいがいしいサポートはなかった。

母と姉が茶の間に行くと、つよしはソファをどこからか持ってきて、腕を広げて背もたれにかけて、足を汲み、左手にはブランデーが揺れている。

 

「つよし、偉くなったもんだねぇ。飯はどうした?!」

「よしこ・・・この家の屋号はなんだ?答えろ。答えられないならそこにいるアホ面の女3匹に言わせてもいいんだぞ?あ?」

「井川だ。おまえの母親だぞ!?」

「よく言った。俺の苗字はなんだ??あつこ、答えろ」

「な、なにを言ってるの!?」

ツヨシはブランデーの瓶を叩きつけた。豪快に割れて香りが部屋を包んだ。

割れた部分をけいこに向けた。

「おまえ言え。一人日本語が理解できてないのがいる。俺の苗字は何だ?」

「井川よ。文句ある?」

「よしこ、お前の戸籍の最初の名前、フルネーム。」

「何様のつもりだつよし!いい加減にしないとひどい目に遭うぞ。」

つよしはよしこの顔面をつかみ後頭部を壁に押し付け、耳元に自らの顔を寄せた。

「広川・・・いいのか?井川の長男、つまり次の家主、世帯主様にそんな口をきいてよ?」

ゴスッ、ゴスッ、ゴスッ、3度叩きつけた。

「ぐああ・・つ・・・つよし・・・」

壁が朱ににじむ。

「動くな女ども。長男の俺に本気で勝てると思ってるのか?コメの糠も洗えねぇ軟弱な手でひっぱたいてどうこうできるとでも思ってんのか?おおん??のりこぉ、言ってみろよ???」

「・・・・」

チッ、つよしは舌を鳴らす。

「けいこ、雑巾しぼってみろや??少なくとも・・・・」

つよしはよしこの服を破り、ぎゅっと握ってみせる。血が流れ落ち、しめっぽい程度の布の塊になった。軽く投げてけいこにあたった。

「両手をゆるしてやっから、そんくらいまでしぼれ。でなけりゃ、飯も酒もコンビニも、自分で行くんだな・・・髪のセットもできなきゃ、着替えも遅いてめぇが我慢しきれるかは・・・保障しないがな・・・さて・・・」

つよしはたちあがりよしこを片足でグッと踏みつけた。

「ガフッ・・・ぐぇぇぇぇ」

「次に這いつくばりたい奴はどこからでもこい。はん、わかってる。まとめて来いよ??いつもみたいにしつけてみなよ、おねえさまたち????」

そのころ、けいこ、のりこ、あつこは震え上がっていた。

つよしは再びソファでふんぞり返り、タバコを加えてジッポを手のひらでするりと転がすような躍らすようなしぐさのあと、キンと音を立てシュッと閉じた。火種を姉たちに向け、

「花嫁修業だ!おまえら生意気にも結婚願望があるってんなら、このつよし様、次期ご主人様、現ご主人様代行に仕えろ。さもなくばテメーらのブサイクなツラにこいつぶち当てて消えない化粧してやんぞ!ぼさっとすんな!とっととやれ!!!」

 

「痛い、冷たい、米白いままだよ。」

「雑巾いくらしぼってもつよしみたいに拭けない。べしゃべしゃする」

「お茶ってどれくらい??」

 

つよしはテレビをみて爆笑しながら

「気がきかねぇ、クズな女ども、真っ先にビール持ってきたらアドバイスやるぞ。お手本ほしけりゃ1対3の泡の割合で酌をするんだな!聞いてんのか!?ああ???」

3人が缶ビールをこぞって持ってきた。封を切らずに缶を3人の姉の顔面に叩きつける。

「話聞いてねぇな。サルか?おまえらは。酌しろっつってんのに、グラスはどうした!?こら??あ??」

そんなことをしていると、電話が鳴った。

「い、井川です」

「あんさんアニキのお母さんですか?うち、〇〇会の末席の村中いいまんねん。つよしのアニキおられますか?」

「つ、つよし・・・」

「んだてめ・・・」

「さま。お、お電話、む、むらなかさまです・・・」

すっと受話器を取るつよし、

「おやっさん!アニキはやめてくれよ。誤解されちまうよ。んで、また義理人情で俺が行くんかい!?高くつくぜ。今日はおやっさん特製のタコ焼きで手を・・・いやいやいや、それ以上の要求は図々しいよ、男が下がっちまう。よかよか。よろしゅう~」

 

「なにしてんだ?この俺がこれから出かけるつってんだ。ぼさっとしてねぇで飯つくるんだよ!!ひでおが泣くぞ!?わかってんのか??にぶちん。いつまで寝てんだ年増ぁ!てめぇも主婦道っつーもん見せろや!!!」

よしこの脇腹に容赦ないケリが入った。

 

老人ホーム ほのぼの苑

「つよしちゃん、また来てくれてうれしいよ。」

「おばあちゃん。・・・おもたい!」

「まぁ!!女に重たいなんて!」

「そうさ、枯れてない。この前よりもしっかりしてるじゃないの。」

「人が悪いねつよしちゃん」

「うえるせぇやい。じーちゃん、白髪がすこし黒くなってないか?喜寿なんてまだまだ成長期だろ」

「小僧にしてはゴマの擦り方がうまいじゃないか。」

「小僧いうな。こんなイケメンの家事全般できる男ってのはレアなんだぜ?」

完全に打ち解けたつよし。月収はだいたい50万円である。

 

つよししっかりした。

 


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