ひとつの器で六魂共鳴 - 最下層から始まる六人格侵略譚 -   作:z567ug

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第二十三話 重さの支配者

廃教会。

崩れた柱。

抜けた天井。

差し込む光が、歪に床を照らしている。

 

その中央に――

フォクシーが立っていた。

槍を構え臨戦体制。

湊の意識が沈む。

 

(……こいつ)

「“器”って言ったな」

 

低く、問いかける。

 

「シーマと関係あるのか?」

 

フォクシーが、わずかに首を傾げる。

「さあね」

 

笑う。

「どう思う?」

 

(……当たりか)

 

その瞬間。

 

『代われ』

宗十郎。

 

意識が切り替わる。

――静。

紅丸。

脇差。

二刀。

構える。

 

「……参る」

 

踏み込む。

一閃。

続けて、連斬。

だが。

 

「いいね」

 

フォクシーが、軽く槍を動かす。

受ける。

流す。

回避。

まるで、危なげがない。

 

「……その二本」

 

一瞬だけ目が細まる。

 

「面白いね」

 

距離を取る。

その瞬間。

ヒュン――

槍が飛ぶ。

 

「――ッ!」

 

避ける。

だが。

ガチャリ、と音。

鎖。

槍が、戻る。

 

「……厄介でござるな」

 

『隙がねぇな』

羅豪。

『連携が厄介』

ガイゼル。

 

背後。

「――はぁ!」

フォクシーの隙を埋めるように手下が立ち回る。

 

手下。

斬る。

一人。

だが。

次。

横。

上。

休む間がない。

 

「ちっ……!」

 

「右!」

リーネ。

 

未来視。

動く。

避ける。

斬る。

二人目。

三人目。

だが。

減らない圧。

 

「そんなもんかい?君たちぃぃ!」

 

フォクシーは、余裕の立ち回り。

その目が、リーネへ向く。

 

「……ああ」

 

小さく呟く。

「弱点見ぃっけ!」

 

(まずい――)

 

その瞬間。

ヒュン――

槍。

一直線。

 

「リーネ!!」

 

間に合わない。

リーネが、動く。

未来視。

回避。

だが。

完全ではない。

掠める。

衝撃。

 

「――っ!」

 

吹き飛ぶ。

倒れる。

動かない。

 

「リーネ……!」

 

空気が変わる。

 

「……貴様」

 

宗十郎の声が、低く沈む。

一歩。

踏み出す。

静かに言う。

 

「そんな卑怯な真似をして」

「恥ずかしくはないのか」

 

沈黙。

そして。

フォクシーが、笑う。

 

「は?」

 

心底、どうでもよさそうに。

「勝てばいいんだよ」

 

肩をすくめる。

「それ以外に、何があるの?」

 

沈黙。

宗十郎が、目を閉じる。

ゆっくりと。

紅丸を、鞘に収める。

 

「……気に食わぬ」

 

構え。

空気が、変わる。

張り詰める。

音が、消える。

呼吸だけが、響く。

 

フォクシーの目が、わずかに動く。

「……ん?」

 

違和感。

だが。

止まらない。

 

「武器収めちゃって」

「降参って事かなぁ」

 

手下も同時に動く。

宗十郎の間合いへ――

その瞬間。

抜刀。

見えない。

次の瞬間。

静止。

誰も、動かない。

 

そして――

 

ズバッ――

 

音。

遅れて。

手下が、崩れる。

真っ二つ。

フォクシー。

槍で受ける。

だが。

 

「……っ!」

 

一瞬、遅れる。

顔に、線。

血が、走る。

 

「……は?」

 

触れる。

指に、血。

 

「……はは」

 

笑う。

だが。

その目は、笑っていない。

 

「……いいね」

 

低く。

「やるじゃん」

 

空気が、変わる。

フォクシーが、槍を構える。

 

「……ちょっと本気出すか」

 

一歩。

踏み込む。

 

「――重律支配(グラビトニクス)」

 

その瞬間。

床が、沈む。

空気が、重くなる。

 

「……ッ!?」

 

次の瞬間。

槍が――

消える。

いや。

伸びた。

一瞬で。

宗十郎の間合いを、無視して。

 

「――ッ!!」

 

回避。

間に合わない。

突き刺さる。

脇腹。

 

「……ぐっ!」

 

血。

後退。

 

「……なんと」

 

フォクシーが、笑う。

「これ、初見だと無理でしょ?」

 

宗十郎の視界が揺れる。

 

『……まずい』

ガイゼル。

『剥がれるわ!』

シア。

 

意識が、剥がれる。

強制解除。

――湊。

 

「……あ、がっ……!」

 

痛み。

思考が飛ぶ。

 

「く……そ……!」

 

立てない。

だが。

フォクシーが、歩いてくる。

ゆっくりと。

楽しむように。

 

「どうしたの?」

「もう終わりかな?」

 

(……ふざけんな)

 

歯を食いしばる。

立つ。

震える足。

それでも。

立つ。

 

「……まだだ」

 

『湊』

宗十郎。

『行けるか?』

 

「……行くしかねぇだろ」

 

深く、息を吸う。

意識を、沈める。

 

「――六道継装!!」

 

衝撃。

融合。

感覚が、重なる。

 

「……行くぞ!」

「応!」

 

フォクシーが、槍を振り上げる。

「終わりだよ」

 

その瞬間。

 

「――真空斬り!!」

 

振る。

空気が裂ける。

一直線。

 

フォクシーの目が、見開く。

「……なっ!」

 

砂煙。

視界が、消える。

沈黙。

数秒。

やがて。

晴れる。

 

「……」

 

フォクシーが、いない。

 

「……っ」

 

膝をつく。

紅丸を、地面に突き刺す。

支える。

呼吸が荒い。

融合が、解ける。

 

「はぁ……っ……」

「……危なかった」

 

声。

上。

見上げる。

屋根の上。

フォクシー。

胸に、大きな裂傷。

血が流れている。

 

(……あれで……)

 

フォクシーの目が、細くなる。

「まだそんなの隠してたんだ」

「やるね」

小さく笑う。

 

(……胸当ての質量、最大まで上げたのに……貫通?)

内心。

わずかな、焦り。

だが。

すぐに消す。

 

「……いいよ」

 

槍を肩に担ぐ。

 

「続きは」

 

振り返る。

 

「リヴェルアでやろうか」

 

そのまま。

消える。

静寂。

 

「……っ」

 

湊が、倒れそうになる。

 

「リーネ……!」

 

這うように近づく。

 

「リーネ!」

 

反応がない。

 

『代わってください』

セレス。

 

意識が切り替わる。

診る。

呼吸。

脈。

 

「……大丈夫です」

「気絶しているだけです」

 

安堵。

続けて。

自分の体を見る。

 

「……ひどいですね」

 

手を当てる。

処置。

薬。

圧迫。

縫合。

時間が、かかる。

 

「……これで」

 

終わる。

視界が揺れる。

 

「……限界、ですね」

 

リーネの隣に、崩れる。

そのまま――

意識が落ちる。

 

 

――しばらくして。

 

「……ん」

 

リーネが、目を覚ます。

ゆっくりと、体を起こす。

 

「……ここ……」

 

周囲を見る。

思い出す。

 

「……湊!」

 

隣。

倒れている。

傷。

処置済み。

呼吸はある。

 

「……よかった」

 

そっと、膝に乗せる。

膝枕。

髪を、撫でる。

 

「……無茶しすぎ」

 

小さく、呟く。

静かな教会。

風が吹く。

戦いは、終わった。

 

だが――

終わっていない。

その先。

リヴェルア。

そこに、本当の戦いが待っている。

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