ひとつの器で六魂共鳴 - 最下層から始まる六人格侵略譚 - 作:z567ug
ベルガルド地下アジト。
長机の上に広げられた地図。
その周囲に、全員が集まっていた。
空気は重く張り詰めている。
一歩前に出る。
「――説明する」
ガイゼル。
その声だけで、場が締まる。
「今回の目的は一つ」
「リヴェルア水上都市の中枢を制圧し、支配構造を破壊することだ」
レオハルトが地図を指す。
「都市構造は三層」
「外縁管理区画、中層居住区、そして中央区画――統治者の館」
「通常侵入は不可能」
ガイゼル。
「だが既に内部への経路は確保済みだ」
「排水路」
「ここから侵入する」
シア達の成果だ。
グレンが続ける。
「罠は既に設置済みだ」
「撤退路と追撃阻止用、最低限な」
レオハルトが補足する。
「敵戦力は圧倒的に上」
「正面戦闘では勝てません」
沈黙。
ガイゼルが言う。
「だからこそ、崩す」
地図に指を走らせる。
「第一段階」
「潜入部隊による内部混乱」
「第二段階」
「外縁からの陽動」
「第三段階」
「中枢への突入、統治者の排除」
シルビアが腕を組む。
「つまり、全部やるって事だね」
「そうだ」
「いいじゃないか」
笑う。
ガイゼルの目が一人ずつを見る。
「役割を割り振る」
「シア、グレン」
「シアとグレンで隠密潜入の後」
「内部撹乱、罠起動、陽動補助」
『了解』
シア。
「任せろ!」
グレン。
「レオハルト」
「後方指揮、情報統制、連携管理」
「承知しました」
レオハルト。
「シルビア」
「前衛突撃部隊の指揮」
「……やっと出番かい」
ニヤリと笑う。
「リーネ」
一瞬、空気が柔らぐ。
「シルビア隊に同行し支援を頼む」
「未来視による行動予測」
「敵の動きを読む“目”になれ」
リーネが頷く。
「……うん」
「あと」
シルビアが横から言う。
「ちゃんと撃てるようになったんだから」
「迎撃にも参加してもらうからね!」
「うん、任せて!」
そして。
「……湊」
沈黙。
「諸々作戦が首尾良く進行したら出番だ」
「中枢突破の要」
「フォクシーと戦ってもらう」
『やっぱりな』
湊が笑う。
『当然でござる』
宗十郎。
『ぶっ飛ばせばいいんだろ?』
羅豪。
「お前ら静かにしろ」
「フォクシーに対抗できるのは」
「おそらく六道継装だけだろう…」
ガイゼルが最後に言う。
「この作戦において重要なのは“勝つこと”ではない」
全員が見る。
「“崩すこと”だ」
静かに。
「この都市の構造を」
「支配を」
「常識を」
拳を握る。
「壊せ!」
沈黙。
そして。
シルビアが笑う。
「……気合い入るね」
その後。
各自、準備へと散る。
夜。
宿屋。
リーネが窓の外を見ている。
「……怖いか?」
湊。
「……ちょっとだけ」
「正直だな」
「でも」
振り返る。
「やるよ!」
その目は、もう揺れていない。
湊が座る。
フォクシーとの戦闘を思い返す。
「……あいつ、強かったな」
「うん」
沈黙。
「でもさ」
湊が笑う。
「なんの確証も無いけど前よりはやれる気がする」
リーネも、少しだけ笑う。
「うん」
その頃。
別室。
シルビアとレオハルト。
「……本気で勝てると思うかい?」
「確率は低いですね」
「正直だね」
「ですが」
少しだけ目を細める。
「“彼ら”がいるなら話は別です」
シルビアが笑う。
「ああ…今までとは確実に違う」
皆が明日に備え休む中。
暗い部屋。
湊の中。
『……いよいよだ』
ガイゼル。
『ああ』
宗十郎。
『楽しみだなぁ』
羅豪。
『準備は整ってる』
シア。
『薬も揃ってます』
セレス。
湊が目を閉じる。
「……やってやる」
翌日。
夜明け前。
全員が集まる。
ガイゼルが前に出る。
「――配置につけ」
静かに。
だが、確実に。
「これより」
一拍。
「リヴェルア解放作戦を開始する」
空気が変わる。
誰も、迷っていない。
戦いが、始まる。